『スター・ウォーズ:ビジョンズ』『THE TWINS』レビュー|トリガー&今石監督節が炸裂! 戦闘機に戦艦、ドロイドに殺陣ありのロマンよくばりセット! 運命に翻弄された双子の戦いの行方は!?【全作レビュー連載第9回】
あの名物コンビを彷彿とさせるキャラクターも登場
旧三部作・新三部作・続三部作で主人公と主要な登場人物が変わるのも『スター・ウォーズ』」の特徴ですが、そんな中シリーズを通じて活躍するのが「C-3PO」と「R2-D2」という2体のドロイド。『スター・ウォーズ』の生みの親であるジョージ・ルーカス監督が、黒澤明監督から影響を強く受けているのは非常に有名な話ですが、C-3POとR2-D2は、黒澤明監督の映画『隠し砦の三悪人』に登場するのっぽの農夫・太平と、小柄な農夫・又七がモデルになったという逸話もあります。『スター・ウォーズ』をほとんど知らないという方でも、ダース・ベイダーとこの2体のドロイドだけは見たことがあるのではないでしょうか。
本作にも、C-3POとR2-D2とそっくりの外見をもつドロイド「B-2ON」「R2-DUO」が登場します。ただ見た目が似ているだけではなく、「R2-DUO」が妙に口が悪く、主人公顔負けの大胆な行動力を見せれば、「B-2ON」はとにかくおしゃべりで口数が多かったり、キャラクター性もどことなく2体のドロイドを連想させます。とくにR2-DUOは、映画の中のR2-D2を思わせる、スター・ファイターを操縦するシーンもあり、『スター・ウォーズ』ファンならニヤリとできること間違いなしです。
ダークアーマーのギミックにも注目
今回の「THE TWINS」は、『プロメア』製作時に結成されたチームが中心となっており、本作でもキャラクターデザインをコヤマシゲトさんが担当。『プロメア』でも健在だった、ややコミックテイスト調の独特な作画や色彩も引き継がれているので、しっかりと『スター・ウォーズ』の世界観を描きながらも、アニメファンが見れば「これは紛れもなくトリガーの作品だ」と見分けられるほど、トリガーらしさも表現されています。
一方で、『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』でも今石監督とタッグを組んでいた大島ミチルさんが担当する楽曲は、『スター・ウォーズ』らしさに溢れたフルオーケストラ楽曲となっており、これまでのトリガーの作品とは一味違った雰囲気を演出することに成功しています。
トリガー作品といえば忘れてはいけない、ダイナミックなアクションシーンも満載で、とくにカレとアムのライトセーバーとフォースを使っての殺陣のアクションは、とにかく迫力満点。日本語吹き替え版では、『呪術廻戦』の虎杖悠仁役、『機動戦士ガンダムNT』のヨナ・バシュタ役などで大活躍中の榎木淳弥さんがカレ、『ハヤテのごとく』の綾崎ハヤテ役、『絶対可憐チルドレン』野上葵役など、幅広い役柄を演じてこられた白石涼子さんがアムをそれぞれ担当しており、両者が対峙するシーンでは、圧倒されそうになるほどの熱演を見せてくれています。
また個人的にときめいたのが、アムのダークアーマーのギミック。アムのダークアーマーには、蜘蛛の手足のような機械式のアームが搭載されており、最大で6本のライトセーバーを巧みに操って戦う、エピソード3に登場した名悪役・グリーヴァス将軍のライトセーバー4刀流を思わせる戦闘スタイルを披露してくれます。
筆者が『スター・ウォーズ』シリーズでとくに好きなのが旧・新3部作を通して活躍するオビ=ワン・ケノービで、エピソード3におけるオビ=ワンとグリーヴァスの戦いも非常に印象的なシーンとなっているのですが、「グリーヴァス将軍の戦闘スタイルは、その死後も帝国に受け継がれていたんだ!」と思わず興奮してしまいました。6本のライトセーバーを使っての殺陣は、アクションシーンとしても非常に見応えがあるので、アムの戦い方にも注目していただきたいです。
『スター・ウォーズ』ファンはもちろん、筆者のようなSFガジェットやトリガーのファンなら、大興奮間違いなしの『THE TWINS』。『スター・ウォーズ ビジョンズ』でしか見られない、新たな『スター・ウォーズ』の世界を、是非ともご覧ください。
[文/米澤崇史]
連載バックナンバーはこちら!
◆【連載第1回】「The Duel」レビュー◆【連載第2回】「タトゥイーン・ラプソディ」レビュー
◆【連載第3回】「赤霧」レビュー
◆【連載第4回】「T0-B1」レビュー
◆【連載第5回】「村の花嫁」レビュー
◆【連載第6回】「九人目のジェダイ」レビュー
◆【連載第7回】「The Elder」レビュー
◆【連載第8回】「のらうさロップと緋桜お蝶レビュー」
◆【連載第9回】「THE TWINS」
『スター・ウォーズ:ビジョンズ』とは
ディズニープラスにて独占配信
ジョージ・ルーカスが黒澤明作品や日本文化から多大な影響を受け制作した「スター・ウォーズ」の創造のルーツとも言える日本へルーカスフィルムが強いリスペクトを込めた「スター・ウォーズ」史上初の一大アニメプロジェクト。「スター・ウォーズ」の創造のルーツとなった“日本”、そしてその日本から新たに誕生する、「スター・ウォーズ」への期待が、世界的に高まっていく中で、エグゼクティブ・プロデューサーであるジェームズ・ウォーは「これは私たちが愛する“アニメ”という文化を生んだ日本へ贈るルーカスフィルムからのラブレターです。」と日本アニメに対する熱い想いを語る。参加したクリエイターたちが、<スター・ウォーズ>そして<日本のアニメ>への熱い情熱を持って創り上げる、独自のビジョンで描いた9つの「スター・ウォーズ」は9月22日(水)16時よりディズニープラスにて全9話一斉に日米同時配信される。
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