「SSR鉄平」が果たした沙都子というキャラクターの掘り下げ──アニメ『ひぐらしのなく頃に 卒』川口敬一郎監督が自信をのぞかせる原作と旧作の終着点【インタビュー 前半】
旧作を意識した物語構成。今作ならではの様々な気持ちが交錯するシーンとは?
――「綿騙し編」「綿明かし編」では、魅音がL5を発症する展開となりました。
川口:魅音に関してもなんて酷いことをするのだと、我ながら思いました(笑)。
――やはり視聴者目線なのですね(笑)。
川口:魅音の葛藤だけを堪能している間もなくプロットを読み進めたので、記憶をリセットしてじっくり見返したいと今でも思っています。きっと純粋に「沙都子は酷いな」とか「魅音は可愛いな」と思うのだと思います。
――お話の通り、魅音の葛藤が印象深いです。
川口:『業』は自分でシナリオも書いていたので、旧作の展開をなぞりつつ、合間に各現象がここで起きている、というのを想定しながら制作していました。ですので、今回ようやく裏側をお見せ出来ましたね。
旧作で描かれたシーンが、『業』では描かれていなかった理由がわかるので、ぜひ旧作と併せて見返してほしいです。
――裏ではもしかしたら?という描写が多かったですからね。
川口:そうですね。(古手)梨花ちゃんを便槽に落としていたり。
――改めてここに注目してほしいというポイントはありますか?
川口:クライマックスの魅音と沙都子の対決は、最後のシーンを一瞬『業』でお見せしていたので、視聴者としてはお話が繋がるポイントなのではないでしょうか。
このシーンではほかにも、沙都子はもともと銃の技術を魅音から教わっていましたが、『卒』の世界で(魅音は)それを覚えていなかったり。こういった様々な気持ちが交錯するシーンになっていて……良いシーンです(笑)。
――『業』『卒』における沙都子の立ち回りは、事前に竜騎士07先生のプロットに書かれていたものなのでしょうか?
川口:現象についてはほぼ用意されていましたが、アニメとしての描写は任せていただいたので、そこは強烈に描かせてもらいました。竜騎士07先生の感想はまだ伺っていませんが(笑)。
――こんなご時世ですから、あまりお会いは出来ていないのでしょうか?
川口:そうですね、アフレコ中に何度かお会いしたくらいですね。ただ、先生の会社の方が収録に毎回立ち会ってくださったり、レスポンスは密に取れていたので、先生からの要望なども随所に取り入れる事が出来ました。
今作に限らず、リモートでの作業が多くなった為、後半は役者さんともあまりお話する事が出来ませんでした。収録前半は同じブースで密にやり取りできたので、意思の疎通に関しては問題ありませんが、可能であれば他愛のないお話もしたかったです。