TVアニメ『古見さんは、コミュ症です。』只野仁人役・梶原岳人さんインタビュー|普通の男子高校生が喋っているような、自然な喋り方や空気感で――
普通の男子高校生が喋っているような、自然な喋り方や空気感を大事にしています
――只野くんを演じるにあたり、事前にどのような役作りをして臨んだのでしょうか?
梶原:只野くんは基本的にボケよりもツッコミに回ることが多いんです。なので、個性の強い周りのキャラクターに負けないリアクションや、その温度感に上乗せするツッコミで盛り上げていかなきゃと思って、最初にベースを作りました。そうやってアフレコに臨んだら、「リアクションだとしても普通であって欲しい」「只野くんは本当に普通の高校生であることを意識して欲しい」と監督から言われて。(最初に作ったのは)ちょっと違うなと思い、だんだん修正していきました。アニメの中というよりも、本当にそこら辺にいる男子高校生を意識しましたね。
――普通が一番難しいと言いますよね。
梶原:そうなんです。アニメだと、どうしてもデフォルメしてしまう部分がありますから。僕はこれまでファンタジー作品に出ることが多かったこともあって、日常的な作品で生きる“普通の人”にすり合わせるのに時間がかかったのかもしれません。ただ、(収録が進んだ)今でも普通にしすぎない方がいいときもあるんですよ。そういったところでのリテイクはよく受けます。只野くんのギリギリのラインを攻めたつもりがやりすぎてしまったり、逆にこのぐらいで止めた方がいいと思ったら、もうちょっと出して欲しいと言われたり……その塩梅が難しいです。
――リアクションやツッコミは相手もいることですからね。そのほか、只野くんを演じるときに意識していることはありますか?
梶原:大まかな感覚ではあるのですが、自分の“自然な喋り方”を大事にしたいと思っています。アニメだからといって変な節回しにするのではなく、本当に自然に喋るトーン、雰囲気は持っていたいなと。今話したように、最初は少し作り込みすぎてしまう部分がありましたけど、自然でありたいというイメージは変わらず持っていて。帰り道のシーンでも、いろいろ味付けするよりも、本当に男子高校生が帰りながら喋っている空気感を大切にしているんです。
――アフレコは、古見硝子役の古賀葵さんと長名なじみ役の村川梨衣さんとは基本的に一緒にやられているとお聞きしました。
梶原:そうですね。アフレコ自体もそうですけど、僕たちの前にやられている方の収録が終わるまでの待ち時間に3人でコミュニケーションを取っていて、それがありがたいなと思っています。全然喋ったことのない状態でやるよりも、どんな人か知っている方がリラックスしてできますので、毎回何かしらのお話ができているのは心的にもありがたいです。
――掛け合いなどで大変だったことはありますか?
梶原:古見さんはうまく喋れず息でのリアクションが多いこともあり、本番は古見さんパートを別に収録しているんですよ。でも、テストは一緒にやるので、本番では「こういう感じでやっていたな」と想像しながらやっています。そういうところは難しかったですが、徐々に慣れてきました。
――ちなみに、映像はアフレコの時点でどの程度完成しているのですか?
梶原:話数によってバラつきはありますけど、色がちゃんと付いていて、ほぼ完成形の絵になっているところも多々ありますね。
――では、そこからPVでも見られる実際の映像をご覧になった感想をお聞かせ下さい。
梶原:本当に綺麗ですし、原作の雰囲気をすごく踏襲していますよね。原作を読まれていたファンの方にも喜んでもらえる絵作りというか、雰囲気になっているんじゃないかなと思います。
僕自身は昔から変わったところが結構あると思います
――やはり、これは聞いておきたいと思うのですが、梶原さんはコミュ症ですか?
梶原:すごくコミュ症ですね。好きなことに関してはめちゃくちゃ喋れるんですけど、ちょっとした空き時間にシーンとしているから何か喋らなきゃと思っても、うまく喋れなくて……。話題を探しちゃって、流れるような会話ができないと自分ですごく感じます。
――うまく喋れないタイプですね。空気を読まずに喋ってしまうのもコミュ症の一種らしいですが。
梶原:それもありますね。空回りしちゃうことありますし(笑)。
――只野くんにちなんだこともお聞きします。この仕事をしていると個性豊かな方もいっぱいいると思いますが、自分自身は普通だなと思うことはありますか?
梶原:そうですね。トークの面白くなさ、ネタがあまりない点では普通だなと思います。イベントや番組とかに出た時、先輩たちはいっぱい笑いを取って盛り上がっている中で、話を振られても普通のコメントしか言えないことがあって。
ただ、どちらかというと、僕は自分のことを結構変だと思っています。昔から、家にいる時とかよく1人でモノマネをしたり、ずっと歌っていたり、動きが変だったり、変なところがいっぱいあるんですよ(笑)。
――ものまねは友達に見せたりも?
梶原:中学生や高校生の頃は、見せていました。主に先生の真似とかでしたけど。
――それなら結構クラスの人気者だったのではないですか?
梶原:いや、そんなことはないです。小さい頃から一緒だった人とか、僕のキャラを知っている人の前でやっている、という感じでしたから(笑)。
――でも、モノマネを見せていたなら、中二病といった感じではなかったのですね。
梶原:そういう感じもありましたよ(笑)。僕の場合は高校に入ってからですけど、「縛られることが嫌いだぜ!」みたいに思っていて。学校に行くふりをして遊びに行ってみたり、授業から気づかれないように抜け出せるかチャレンジしてみたり。それで先生や親に迷惑もかけました。普通とは違うことをしたいと思っていたんですよね。
――普通な只野くんとは対称的に、本作の登場キャラクターは性格がそのまま名前になっていて、みんな個性が際立っていますよね。その中で特に共感するキャラクターはいますか?
梶原:そういった意味でいえば、やっぱり古見さんですね。古見さんは喋るときに言葉が出なくて「たたたたた……」みたいになることが多いのですが、それは僕もあるなと思って。すごく憧れていた先輩や、きちんと喋らなきゃいけないと思っていると急に滑舌が悪くなったり、緊張から全然喋れなくなったりすることがたくさんあります。古見さんを見ていると、自分もそうなるときあるなぁ、と共感しますね。
――では、そのようなキャラクターたちのように、もし梶原さんが本作に登場するために性格を反映した名前をつけるなら、なににしますか?
梶原:なんだろうなあ……「天野ジャック」くんですかね。僕は天邪鬼な部分があるので(笑)。口から出る言葉と心で思っていることが違ったりして、人に「ちょっとわかんねーよ」と思われることもありますし、天邪鬼なところがあるのかなと。
――名前の響き的にはしっくりきますね。
梶原:いそうですよね(笑)。
――最後に、放送を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。
梶原:家で準備をするとき、どういう演出、音楽、カット割りになるのか考えながら台本を読んで、最後にリハV(リハーサルVTR)を見て終わるんです。そのリハVの時点で、すでに絵や音楽、エンディングへの入り方などが素敵になっていて、1人で「いいなぁ〜」と言っちゃうんですよ。そのぐらい完成度が高く、心の中がじんわり温かくなる作品になっています。僕自身もすごく楽しみにしていますので、皆さんも放送を楽しみに待っていただけたら嬉しいです。
[文&撮影・千葉研一]
TVアニメ『古見さんは、コミュ症です。』番組概要
『古見さんは、コミュ症です。』2021 年 10 月 6 日より毎週水曜日 24:00〜テレビ東京ほかにて放送開始!
毎週水曜日 25:35〜テレビ大阪、26:05〜テレビ愛知にて放送!
10月11日より、「おはスタ」(テレビ東京系列、朝7:05〜)内にて、毎週月・火曜にセレクション放送!
10月7日より Netflix にて独占配信開始
イントロダクション
“コミュ症”とは──人付き合いを苦手とする症状。またはその症状を持つ人を指す。
留意すべきは──苦手とするだけで、他人と係わりを持ちたくない、とは思っていないことだ。
桜舞う高校1年、極度のコミュ症である古見さんが出会ったのは、“普通すぎる”クラスメイト・只野くん。
人前で緊張してしまう古見さんの夢は、「友達を100人作る」こと。古見さんの「1人目の友達」になった只野くんは、残り99人の友達づくりを手伝ってくれることになりました。
個性派ぞろいの高校で、古見さんの夢は叶うのでしょうか?
伝えたい、でも伝えられない…そわそわ、どきどき、思わずにやにや
でも時折、胸にチクリと突き刺さる?
沈黙の美少女・古見さんのコミュ症コメディーです。
スタッフ
原作:オダトモヒト(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
総監督:渡辺歩
監督:川越一生
シリーズ構成:赤尾でこ
キャラクターデザイン:中嶋敦子
美術監督:佐藤勝
色彩設計:林由稀
撮影監督:並木智
編集:小島俊彦
音楽:橋本由香利
音響監督:渡辺淳
音響制作:HALF H・P STUDIO
アニメーション制作:オー・エル・エム
制作:小学館集英社プロダクション
オープニングテーマ:サイダーガール「シンデレラ」
エンディングテーマ:Kitri「ヒカレイノチ」
キャスト
古見硝子:古賀 葵
只野仁人:梶原岳人
長名なじみ:村川梨衣
山井 恋:日高里菜
中々思春:大久保瑠美
上理卑美子:藤井ゆきよ
矢田野まける:前島亜美
井中のこ子:潘めぐみ
尾根峰ねね:青木瑠璃子
尾鶏かえで:森山由梨佳
地洗井茂夫:赤羽根健治
園田大勢:佐藤悠雅
忍野裳乃:小野賢章
鬼ヶ島朱子:ブリドカットセーラ恵美
古見秀子:井上喜久子
古見将賀:星野充昭
古見笑介:榎木淳弥
只野 瞳:内田真礼
ナレーション:日髙のり子