峰不二子という大女優といろんなドラマの撮影に行っている気分――秋アニメ『ルパン三世 PART6』沢城みゆきさんインタビュー│ずっと見ていた小林清志さんの戦い
小林清志さんが昔の自分自身と戦っていた姿を、しっかりと目に焼き付けてきました
――そして、今回から次元大介役が小林清志さんから大塚明夫さんに交代となりました(※)。それを聞いた率直な気持ちをお聞かせ下さい。
沢城:『ルパン三世』の歴史の中でも大きな大きなことが起こりました。私たちは寂しさや諸々の気持ちを自分で決着つければいいですけど、一番大変なのは明夫さんですよね。
並々ならぬ思い、並々ならぬ清志さんへの敬意、並々ならぬ技術をもっておそらく挑んでいらっしゃると思いますので、私も楽しみにしています。ただ、コロナ禍ということもあり(取材時点では)アフレコをご一緒していないので、私自身の気持ちはまだふわふわしています。
※初回放送「EPISODE 0 ―時代―」は小林さんが最後に次元を演じ、それ以降は大塚さんが次元を演じます。
――お会いしてもいないのですか?
沢城:収録の順番が近いとすれ違えて、雑談する機会には恵まれているんですが、『ルパン三世』の話は一切していないですね。
――そこで「次元をやられるんですね」と話してはいないと。
沢城:「明夫さんおはようございます〜! わ〜、(会えて)嬉しい。いってらっしゃ〜い!」って(笑)。
――普段はそうなりますよね。では、これまでの小林さんの姿から得たものや学んだことは、どのようなことでしょうか?
沢城:10年前、私たちが世代交代をすることになった時のスローガンは、「視聴者の方に違和感がないように、似せられないけどなるだけ肉薄する。なるだけ寄せる」でした。いわゆる、前任のキラキラしたキャラクターとの戦いだったんですね。
でも、清志さんは「昔の小林清志 対 今の小林清志」という戦いをされていて。これはおそらく、私たちよりも大変な戦いで。私はまだ自分が年を重ねていった先のことを想像できないけど、自分自身の老いとの戦い、自分がイメージしたものに近づけない日との戦い――それって最も大変な戦いだったと思うんです。
清志さんが「何かが違うな。もう1回」とご自身でリテイクを出されながら収録されている様、その戦いを、私たちはただただ静かに目に焼き付けてきました。見守るでも見届けるでもない、悪い意味ではなく貝になるというか。
それが後々、どういう意味を持って私の人生に作用してくるかはわかりません。清志さんにようにはなれないと思うのか、自分もかじりついていくのかわからないですけど、その姿をしっかり見ました、という感じです。