音楽
声優・永塚拓馬|アーティストデビュー記念インタビュー【前編】

当初は自分がどう見られているのか不安だった――自身が語るこれまでの声優人生|声優・永塚拓馬さんアーティストデビュー記念インタビュー【前編】

自分の限界を探り続けている声優業界

——声優としていろんな現場をこなしながら、いろんな現場で悩みもあったと思いますが、壁にぶち当たったときの乗り越え方というものはありますか?

永塚:自分はとにかく回数をこなすしかありませんでした。何度も何度もやるトライアンドエラーみたいな。トライしてエラーをしても、以前より少しマシなエラーになったり。でも、それをやったら「全然違う」と指摘されることもあるんです。

現場によって音響監督さんの考え方が違いますし、それに合わせていかないといけない。表現をしなければならない現場もあれば、逆に表現を抑える現場もあります。

ただ、全部に共通して言えるのは「滑舌」。なので、そこは千本ノックのようにやっていくしかありませんが、ほかの表現に関してはトライアンドエラーです。もがいてもがいて何とか自分の中で得ていく感じですね。

——そのトライしようとする姿勢、エネルギーはどこから来ているのか気になります。挑戦すること自体にためらうときもあるので、永塚さんは何が原動力になっているのかなと。

永塚:試さざるを得ないというか……やっぱり作品を作る上で、自分の中の安全なところにいるとダメだと言われるのがこの業界なんです。

常に挑戦していかないと、音響監督さん的には役者としてダメという判断になってしまう。なので、試さざるを得ない状況に身を置いています。

そういう意味では、自分が試したいからやっているというよりも、試さないと生きていけない部分があるのかもしれません。これは自分だけでなく、他の声優さんも共通していることだと思います。

皆さんが試して自分の限界を求めている中でやっているので、守りに入ってしまった時点でその限界を求めている声優さんには勝てない。オーディションも絶対に受かりませんし、安全なところにいる人は挑戦しようとする人に勝てない。

常に、みんながみんな自分の限界を探っているんじゃないかな、限界のところで戦っているんじゃないかなと思います。

 

 

——確かに……いろいろな声優さんにインタビューさせていただいたり、現場を見たりしてきましたが、思い当たる節が結構あります。

永塚:安定した業界なら自分に合っているものだけで生きていけるのかもしれません。声優は常にオーディション、競争なので、自分が1番と思っている人に打ち勝たないといけない。それは安全なところにいたら勝てるわけがないんです。

——現実は……厳しいですね……。

永塚:はい。養成所の中でもトップだった人が事務所に所属して、さらにその事務所の中でも競争がある。そこでトップになったとしても、ほかの事務所のトップにいる人と争わないといけない。本当に大変な業界だと声優をやっていて思います。でも、大変さの中でも競い合いながら自分自身を磨くことができるので、やりがいもあります。

——声優としてのお仕事の中で印象に残っているエピソードや、思い出に残っている出来事などはありますか?

永塚:たくさんありますが、『キンプリ』は僕の中で衝撃的な作品でした(笑)。ほかの作品とは違うというか、今まで出会った作品とはまったく違う攻めた作品だったので印象に残っていますし、演じていて面白かったです。

声優として活動してきて、いろいろ悩んだり壁にぶち当たったりしたこともありましたが、苦しみを乗り越えた先に何かがあるからこそ楽しいというか。今まで認めてもらえなかった人が認めてくれるようになったときには大きな喜びを感じます。

なかなか認めてもらうことはできませんが、それでもやっぱり、褒めてもらうことがすごく増えてきて、役者として成長できている実感が得られるのはすごく楽しいです。

正直な話、周りの反応の中には、「新人だから出してもらっているんじゃないの?」という意見が結構ありました。今もまったくないわけではありませんが、それが少しずつなくなってきて“演技力”を見てくれているのかな、と思える現場も増えてきているんです。

“永塚拓馬”として見てくれていることを感じると、僕の演技を求めてくれているんだと嬉しくなります。でも、まだまだ辛いことのほうが多いですし、オーディションも百戦百勝みたいなわけではありません。圧倒的に落ちる現場のほうが多いですし、不合格になるたびに落ち込みます(笑)。

——実績のあるベテランの方でもオーディションに落ちることがあるって言いますもんね。

永塚:そうですね。オーディションは基本的に落ちるもので、それはトップランナーの人でも同じです。毎回落ち込みますし、こればかりは何度経験しても慣れません。

好きな仕事で全力でやっているからこそ“自分じゃなかったんだ”と否定されているような気がして。そこはずっと慣れないことなんだろうなと、一生の戦いなんだろうなと思います。

ある種、声優という仕事に対して割り切っていれば落ち込むことはないかもしれませんが、僕は声優という仕事が大好きなので落ち込んでしまいますね。

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