【金曜ロードショー放送決定!】「泣ける」と評判の感動作『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の魅力を考察!ーー何故多くのオタクは涙を流すのか
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは。
暁佳奈先生の原作小説を、2018年に日本を代表するアニメーション制作会社、京都アニメーションによってTVアニメ化した”泣けるアニメ”として話題の感動作品である。
多くのアニメファンが涙を流した本作は劇場作品が2作品公開、配信サイトでも続々と配信されており感動の輪は広がり続けています。最近ではタレントさんやYouTuberの方が企画で紹介したりと、その様子が伺えます。
そしてついに2021年10月29日から2週連続で「金曜ロードショー」での放送が決定しました。金ロー放送は名作の証! ファンとしては嬉しい限りです。本稿では金ロー放送を機に『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の魅力を伝えねばならない、という勝手な使命感で本作の魅力を考察!
興味はあるが手を出せずにいる人、既に作品のファンである人、皆に届けこの想い!
ヴァイオレット・エヴァーガーデン
ヴァイオレット・エヴァーガーデン|アニメ声優・あらすじ・キャラクター・登場人物・最新情報一覧
何故「泣けるアニメ」「感動作品」と言われているの?
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』という作品で最も重要なテーマは”愛”です。物語を進行させる軸や観客に感情移入させる装置として、また作品に込められたメッセージとしても愛が描かれています。
これまでいろんな創作物で語られてきた、普及のテーマである「愛」が根幹にあるからこそこの作品は幅広い人に受け入れられています。
またその愛を語るストーリーやキャラクターの設定も、誰もが感動するような王道な展開を網羅しておりキャッチーな作品になっています。そして本作を製作する「京都アニメーション」はキャラクターの繊細な心情表現に長けており、脚本や美しい美術背景でファンを魅了する大人気アニメ会社です。
原作小説である『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は京都アニメーションが主催する小説コンクールに投稿された作品であり、唯一大賞を受賞した作品になっています。制作サイドにも思い入れのある作品なので原作と製作の相性が良いのは言うまでもありませんね!
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』はどの人間も感じたことのある「愛」をテーマにした作品であり、多くの人間が愛情を込めて制作した物語なのです。だから多くの人が共感し感動する作品となっています。
「異議あり!!!」
確かに「愛」というテーマは普遍的ですが、これまでにもたくさん作品が生まれているじゃないか!この作品も王道な感動モノなら、ありきたりで新鮮さがなかったり、ただ泣かせようとする作品なんじゃないの?
と疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかしこの作品にはその予想を裏切る工夫があるのです!
工夫その1 「王道+α」のアレンジがすごい!
上記の通り本作は王道なストーリー展開やテーマを軸にした物語です。感情を持たない少女が自己を獲得していくという物語の根幹も特別珍しいわけではありません。しかし登場するキャラクターの心情や設定が、王道でありながらも少し捻りが加えられています。
伝えたいメッセージは、「家族愛」であったり「真実の愛」という昔ながらの普遍的なことだけれども、愛を伝えるエピソードや設定に捻りが加わることで物語にフレッシュさが生まれます。
そして、その小さな+αによってキャラクターが生き生きと動き出し、いつの間にか視聴者は感情移入してしまう。そこに王道の感動要素や細かな心情表現、名ゼリフがなだれ込んできて、涙を流してしまうのです。
例えば『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』に登場する「政略結婚によってある王家に嫁ぐ幼い姫」のお話。
「政略結婚」というテーマを聞くと、お姫様は望まない婚約を交わすことになっており、本当は下町に住む鍛冶職人の息子が好き。しかし運命を変えることがヴァイオレットには出来ず、本当の思いを綴った手紙を鍛冶屋の息子に渡す……
みたいなお話を想像しますが、全く違います。
実際は、子供っぽい1面を持ちながらもしっかりと姫としての自覚を持って行動しているよく出来たお姫様になっていて、その上で自分の本質を見抜いてくれた王子様と出会います。
しかしこの結婚に納得行ってない様子の姫。ですが彼女は本当に好きな相手がいるわけではなく、もっとリアルな悩みを抱えているのです。そこにヴァイオレットが寄り添っていく、というお話に展開していきます。
「政略結婚」「真実の愛」のようなパッケージとしてはよくある設定で、展開や涙ポイントもなんとなく予想できてしまうけれども、蓋を開けてみるとより繊細なキャラ心情の描写や+αの設定があり、本来のメッセージである「真実の愛」や姫の気持ちにグッと共感できるのです。
キャッチーなメッセージや設定はそのままに、独自のアレンジを加えることによって感動を増幅させる仕組みが『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』にはあります。だからこそ、説教臭くならずに新鮮な気持ちで見ることができ、心から感動できるのです。
それにプラスしてヴァイオレットという存在もキーになっていきます。
工夫その2「ヴァイオレット・依頼人・視聴者」の3層構造がすごい!
「愛」を知らないヴァイオレットが、手紙の代筆を依頼され様々な愛の形に触れていく。そして愛やいろんな人間の感情を獲得していく物語。これが『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の基本的な道筋です。
これを軸とした3層の構造でこの物語は構成されています。
1層.「仕事を通して感情や愛を獲得していく”ヴァイオレット”」
2層.「ヴァイオレットを通して自分の中にある愛を再確認する”依頼者”」
3層.「彼らを見て自分の身の回りにある愛情を再確認する”視聴者”」
というような構造です。「ヴァイオレット」の存在が私達が感動するミソになっています。
悲しいことや幸せな物語が繰り広げられているのを直接見るのではなく、あくまでも感動的な出来事に遭遇し学んでいくヴァイオレットを私達は見ているのです。
ヴァイオレットというフィルターを一枚挟むことで、作品に込められたメッセージが伝わり感動するという仕組みになっています。
たとえ私達が何度も見聞きした、愛の関係であったとしてもヴァイオレットという真っ白な少女からみると、どれも不可解であり、初めてであり、極めて感動的な愛の形になっているのです。彼女のリアクションもまた純度の高いものになっています。
作品が説く感動的なテーマに、ヴァイオレットの原始的な心の動きが加わり見ている人の心にじんわりと感動と自分自身の初期衝動が伝わっていき、身近な人物たちへの想いを実感していきます。だからこんなにも感動してしまうのではないでしょうか。
「ただのお涙頂戴じゃない!」京アニの結晶をみよ!
今回は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の感動する理由を勝手に考察させていただきました。
しかしここで紹介した魅力はほんのごく一部。誰がどのような角度で見ても楽しめるような細かな作り込みがされている作品ですので、ヴァイオレットのビジュに悶えるもよし、ヨーロッパ風の建築物の元ネタを解明するもよし自由に楽しんでいただけるのが1番です。
1つの原作小説からスタートし、深夜帯にアニメが放送されそこから配信サービスなどでジワジワと拡散されていった『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。この作品が歴史の長いテレビ番組である「金曜ロードショー」に取り上げられることは、本当にすごいことなんです。
どんなときでも私達を楽しませ暖かい気持ちにしてくれる本作品。原作者の暁佳奈先生、製作の京都アニメーションの方々に感謝しても感謝しきれません。数ある苦難を乗り越えた先にある素朴な愛の物語、心ゆくまで楽しみましょう!
[文/ヨウイチロウ]