劇場版『図書館戦争　革命のつばさ』声優コメンタリーがWOWOWプラスで放送！　収録直前の井上麻里奈さんと前野智昭さんにインタビュー「『図書館戦争』は今でも特別な作品。まだまだやりたいことがある」

憧れの石田 彰さんとの会話

──今も台本を大切に保管されているというエピソードひとつからも分かる通り、おふたりにとって『図書館戦争』はそれだけ特別な作品。改めて『図書館戦争』に対する思いを教えていただけますか。

井上：テレビシリーズでは1クールしかやっていないんですけど、ものすごく思い出深作品なんですよね。もちろん、他の作品それぞれに思い出も思い入れもあるんですけど、風景を思い出せる作品というのはそう多くはなくて。

「あのときのアフレコで、あそこに座っていたな」とか。こんなに鮮明に当時のことを思い出せるってすごいなって。『図書館戦争』に出ていた声優さんに別の現場で会うことも多いんですが、私の中で前野くんは堂上だし、（沢城）みゆきちゃんは（柴崎）麻子だし。あの時に作り上げられた絆が未だ続いている作品だなと感じています。

前野：（井上さんの話を聞いてうなずきながら）アニメのメインキャラクターを担当させていただいたのが初めてだったので、自分の中で大きなターニングポイントになった作品です。僕にとって大切な作品。何年、何十年と経ってもこの思いは変わらないんだろうなと。

未だに「堂上 篤というキャラクターだったらこういう時、どう考えてどんな言葉を発するんだろう」って日常的に考えています。それが今の自分のキャラクターとの向き合い方、仕事に挑むスタンスの基本につながっていて……僕の役作りの基本になっているのが堂上 篤という存在なんです。『図書館戦争』が役者・前野智昭を作ってくれたといっても過言ではないなと。今いろいろなお仕事をさせていただいてますけど、こういう状況があるのも彼のおかげですね。

すごく覚えているのが、テレビシリーズの時は浜町のスタジオだったんですよ。近くに明治座があるんですけど、明治座のそばに小さな稲荷神社（明治座稲荷神社）があって。

井上：へえ！

前野：アフレコが16:00からスタートだったので、毎週15:00くらいに浜町に着くようにしていて。お賽銭を入れて「良いお芝居ができますように。そしていろいろな方に見ていただけますように」と祈ってから、現場入りしてたんですよ。

井上：（驚きながら）神頼みしていたんだ！　良いお話。それはみんなやったほうがいいね。

前野：やったほうが良いかもしれない！（笑）　もしかしたらそのおかげで、いろいろな方に見ていただけたかもしれない……！　そういうこともしていましたし、収録が終わった後はみんなで飲みに行っていて。それもすごく楽しかったですね。

井上：出演者の年齢幅が広かったのに、みんな距離感が近かったよね。

前野：うんうん！　それはすごく感じていました。メインキャラクターとして携わらせていただいたことで、いろいろな方とコミュニケーションを取らせていただき……その中で “あの”石田 彰さん（小牧幹久 役）と普通にお話ができたんですよ……！

セリフが一言、二言の役ももちろんありがたいんですけど、メインの方とはなかなかお話できないんですよね。村人Aの立場で「石田さん、ちょっといいスか？」とはなかなか言えないですから(笑)。メインキャラクターじゃないと見えない景色を見させていただいたなと思ってます。

──当時石田さんとはどのようなお話をされたんでしょうか。

前野：いろいろなアドバイスをしてくださったんですよ。僕がガチガチに緊張していたということもあって、序盤のうちはイントネーションを説明してくださったり、「ここはもう少しこうしたほうが」って教えてくださったり。

後々石田さんとお話させてもらったときに「後半はあまり（アドバイス）してくださらなくなりましたね」と言ったら「もう大丈夫かなと思って」と。そんなふうに思ってくださっていたんだと。本当にありがたかったです。

──さきほど井上さんが出演者同士の絆が続いているというお話をされていましたが、やはり前野さんとしても井上さんにお会いすると……。

前野：もちろん郁を思い出しますね。さっき麻里奈ちゃんも言ってましたけど、石田さんも、他の皆さんもそうですし。僕の中で区切りはつけていないつもりなので、皆さんにお会いすると「またいつか一緒に……」とひそかに思っています。