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『メガトン級ムサシ』レベルファイブ代表取締役社長・日野晃博インタビュー

『メガトン級ムサシ』レベルファイブ代表取締役社長・日野晃博さんインタビュー|往年のロボットアニメをリスペクトしながら現代に! 語り継がれる衝撃的な展開でお茶の間も唖然!?

『妖怪ウォッチ』や『イナズマイレブン』『ダンボール戦機』を生み出したレベルファイブが新たに手掛けるロボット作品『メガトン級ムサシ』。TVアニメは絶賛放送中で、その壮絶なストーリー展開で話題を呼んでいます。2021年11月11日は待望のゲームも発売されるなど、今後の展開から目が離せません。

レベルファイブの作品といえば、先にも挙げた『妖怪ウォッチ』などの子供向け作品の印象が強い方も多いことでしょう。もちろんそちらの作品群も魅力的なのですが、今回の『メガトン級ムサシ』はこれまでとは一味違った展開をしていく模様。

そう語るのはレベルファイブの代表取締役社長であり、『メガトン級ムサシ』で総監督/企画・原案、シリーズ構成/脚本を担当している日野晃博さんです。

アニメの放送が進み、物語の片鱗が見えてきた今、このインタビューを読めば、日野さんが仕掛けた壮大な計画の一端が見えてくるはず。常に挑戦をし続けてきた“ロボットもの”ファンの情熱に迫ります。

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第1話は前代未聞のCMなし!?

ーー『メガトン級ムサシ』の構想はどこから生まれたのですか?

日野晃博(以下、日野):やっぱり僕は“ロボットもの”が大好きなんです。自分が子供の頃に見ていたロボットが登場するアニメ作品は今でも大好きで。自分自身で世の中に作品を打ち出していく側になった時に、“あの頃の好きだったロボットもの”を作ってみたいという強い思いでつくりました。

過去にはロボットものとして、いくつかの作品をつくってきましたが、まだやりきれていないことが残っていて。なので『メガトン級ムサシ』を作る時は、とにかく自分が子供の頃に「ロボットってカッコいい」と感じた部分を追求してみたいと思いました。一度そういう原点の作品を作ってみたいという気持ちがあったんです。『メガトン級ムサシ』は自分の中の「究極のスーパーロボットもの」を作りたいという所から生まれました。

ーーアニメの先行上映会で第3話まで見させていただきましたが、胸からビームが出たり、ロケットパンチがあったり、主人公が熱血漢であったり、物語も絶望的な状況からスタートしたりと、まさに昔のロボットアニメの面白いところや特徴が詰め込まれていました。それを現代の解釈でやっているというか。

日野:まさにそれですね。僕が子供の頃に最初に見たロボットものっておそらく『マジンガーZ』なんです。そのマジンガーZへのスーパーロボットとしてへのリスペクトもあります。ロケットパンチしたり、胸からビームを出したりするのもね。

そしてもうひとつ僕がこの作品を作る上での、リスペクトしたり、いろんなヒントを貰ったものが『宇宙戦艦ヤマト』なんです。

ーーだから“ムサシ”なんですね。

日野:はい。過去のロボット作品から進化しなければいけないみたいな意識はしなかったんですけど、やっぱり『宇宙戦艦ヤマト』とか昔のSFアニメ作品は気になりました。子供の頃に感じたSF作品へのかっこよさ。『宇宙戦艦ヤマト』でオペレーションコールをするところとか、波動砲を打つシーンとか熱い部分があるじゃないですか。ああいった部分ってみんな好きなんじゃないんですかね。

そういったかっこよさって最近の作品では少なくなってきたのかなとも思うんですよ。なのでそういうのも「ロボットもの」として組み込んでみたかったんです。『メガトン級ムサシ』に出てくる司令室などの計器類って全部丸い形になっているんですよ。モニターなんかも含めて。

そういうのって全部『宇宙戦艦ヤマト』とか松本零士さんが『銀河鉄道999』などでやっていたものだと思うんです。ノスタルジーSFというか。そういう意味もあって今作にも採用されています。最近はホログラムになって宙に浮いたりするモニターも多いですが、古い作品を意識して新しく解釈するという部分はすごくあります。

ーーこの作品の懐かしさみたいな要素はそういうこだわりから感じていたんですね。

日野:でも実は、お話全体はそんな感じじゃなくて(笑)。1~3話だと作品全体を通して言いたいこととは全く逆のことを言っているというか。

ストレートな見え方を重視しているんですが、4話以降に徐々に核心に迫っていきます。そこからが『メガトン級ムサシ』の面白い所じゃないかなと思っています。最初から徹底して同じことを言うのではなくて、徐々に視聴者に提示されるものが進化していく作りになっていて、後半はかなり激しく物語が動きますので、驚くと思います。決して奇想天外な展開になったりするわけではなく、「こんなテーマの作品だったの?」っていう感じですね。

ーー全く予想ができません。

日野:そうですよね。1クール目が終わる頃には皆さんの『メガトン級ムサシ』へのイメージが変わるかもしれません。

ーー作品の構想はいつごろからされていたのですか?

日野:発表したのが5年前なので、その1年前くらいですかね。『妖怪ウォッチ』とか他の作品もやっている最中、裏でやっていたんです。

しかし、商業作品を作るのってすごく難しいんですよ。商品戦略と同時に設定やストーリーも考えないといけない。登場するメカの数とかにも制約があったり、色んな要素があるんです。そのルールの中で商業作品を作るということは、根気のいる作業なんですが、それはそれで大変ながらも楽しくやってきました。

ですが『メガトン級ムサシ』はちょっとそれから外れています。商業作品要素は薄く、自分の子供の頃から好きだった“ロボットもの”を作りたいという気持ちが先行しています。もちろん商品展開としても手は抜きませんが、今回は作品としての成立を優先しています。本作では真っ向からロボットのヒーローイズムをストレートに描きたいと思っています。

ーーご自身が伝えたいテーマを盛り込むということですね。

日野:そうですね。そんなことを考えながら作っていることもあり、やはりいちばん迷ったのは「1話でロボットのバトルまでいくかどうか」ですね。最初からヒーローが活躍しないっていうのは子供向けの作品だとちょっとアウトなんです。そもそもこの作品は子供向けとしてつくってないんですけどね。

やはり、ロボット好きとしては『初陣』を盛り上げたかった。さんざん迷った結果、ロボットのバトルを一話でやって、振り返りで必要性や世界観を語るよりも、順を追って流れをつくり、「主人公ロボットの必要性」を感じてもらってから発進プロセスを見せるほうが、熱いだろうなと思いました。

実は、最初のプロットでは1話の冒頭から戦闘シーンがある予定だったんですけどね。それも商業的な要素をぐっとこらえて、作品を重視した結果かなと思います。

ーー確かに。今回は先行で3話まで続けて見させていただきましたが、視聴者は1話ずつ見ていくのでまた違った感覚がありそうです。

日野:1話と2話は、一度に見る方がわかりやすいっていうのはありますよね。第1話は戦闘がない代わりに、長めの次回予告が入るようになってます。1話が順を追いすぎているので、先出しでエキサイティングなシーンをチラ見せする作りです。

そこまでしても、主人公ロボの必要性を語ってから出撃させるということにこだわりました。それと、実は1話の放送を見るとわかるのですが、CMを一切流していません。CMを潰して本編尺を長くしました。1話に入れておきたいことが多くて(笑)。

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