GARNiDELiA(ガルニデリア)5thアルバム「Duality Code」発売記念ロングインタビュー|それぞれのソロ活動を経て見出した、“GARNiDELiAらしさの答え”とは?
ファンから見た“GARNiDELiAらしさ”に困惑!?
――「my code」と「オトメの心得」のMVのコンセプトについてもお聞かせください。
MARiA:「オトメの心得」はビッグバンドな感じで、ちょっとレトロ風というか、みんなでワーっと一斉に撮ったので、すごく華やかで楽しい雰囲気になっています。これまではカメラを睨みつけたり、ずっと闘っていたりすることが多かったから珍しいと思います。
――確かに、今までのMVはあまり色味も明るくなかったです。
MARiA:そうですね。それが今回はピンクで「イエイ!」って(笑)。コメントも「こんなに笑ってるMV初めて」みたいな感想が一番多かったです(笑)。これまでだったら「アイコトバ」くらいかな? あれはダンスの要素も大きかったので、ポップではありましたが、ここまで「ハッピー!」って感じではなかったと思います。
逆に「my code」は今までに近い感じです。めっちゃ睨みつけています(笑)。あと、「春がきたよ」もMVを作っていて、こちらはドラマの映像をつないで作っていただいています。
――ここからは個別に曲のお話をお聞きしたいと思います。「Live On!」は、アルバムのオープニングなので、アルバム全体のメッセージも多く含めていると感じました。
MARiA:そうですね。ほかの曲は「Duality Code」というタイトルが付く前から制作を進めていた曲の中から選んだものなのに対し、「Live On!」「my code」はアルバムを作ろう、と思ってから書いた曲なので、アルバム全体のメッセージに近いと思います。
ライブのために書いたというのもあって、今までモヤモヤしたり、辛かったりしたことも含めて作りました。きっと私たちだけじゃなく、みんなも思っていたことだと思いますし、それをぶつける曲というか。ステージに立ったときの気持ち、ステージから見える景色、みんなの顔など、ステージに立った自分たちをすごく想像して書きましたね。
ライブのステージに立って、私が伝えたいことはサビの言葉に詰まっていると思います。「めっちゃしんどいことがあっても、このために生きてるよね!」みたいな感じですかね。
――「起死回生」に近いといいますか、「閉塞感を打開しよう」という雰囲気があります。一方、そこから先の曲はバラードチックな、ミディアムテンポな曲が続きます。こういった曲がここまで連続する構成は今までなかったので驚きました。
MARiA:曲順は意図してやっています。先ほども言ったように、このあたりの曲はアルバムのために書いたというよりは、「今、どんな曲書きたい?」とその都度書いていた曲なので、自由度が上がっていましたね。
このアルバムを作るうえで、「ウチららしさってなんだろう?」と改めてすごく考えたのですが、結果「何を書いても、歌っても、ふたりで作っていたらGARNiDELiAになるな」と確信したもので(笑)。
「オトメの心得」「春がきたよ」など、昔やっていたらもしかしたら納得しなかったかもしれませんが、受け取ってくれるファンの皆さんも変わってきていると思うんです。「オトメの心得」のMVを出したときに「やっぱコレがGARNiDELiAだよね!!」というコメントがあって。
一同:(笑)
MARiA:んん!? と(笑)。「めっちゃイイ!」「GARNiDELiAが戻ってきた!」と口々に言うのですが、こっちは「戻って来た……?」と困惑して。
toku:どこに居たことにされていたんだろう(笑)。
MARiA:確かに、和モノだし、ハッピーなパーティソングというか、「踊っちゃってみた」シリーズに近いような、「極楽浄土」に通ずるところはあるかもしれないです。アゲていくというか、みんなでハッピーになろう! みたいなテンションがGARNiDELiAだと思ってくださっている方も多くいらっしゃるのかな、と。
でも多分、3、4年前にもしこの曲をリリースしていたら「なんかちょっとGARNiDELiAっぽくなくない?」と言われていた気がします。けれど現実は「これがGARNiDELiAだよね!」となったワケで。「これなら何をやってもイケるな」と思いました(笑)。
今までだったらシングルのカップリングにそっと忍ばせていたような曲というか。本当はこういう曲もめちゃくちゃ好きだけど、今まで隠していたものなんですよね。ブランディングとして一貫したイメージで作り続けていたのもあって、タイミングはずっと見続けてきていました。
なので、ここからの曲はもう何も怖くないというか。「今までの私たちだったらやらなかった曲もきっと楽しんでくれるでしょう!」という自信が付きました。なので、このアルバムでは、選曲は自由にやって、曲順はしっかりと考えています。
――ソロをやったことで、肩の力が抜けた歌い方になっているのも影響しているのかな、と思いました。
MARiA:そうですね! 今までは常に200%くらいだったというか(笑)。
「オトメの心得」初披露で「これはイケる!」と確信
――ここまでアルバム全体の曲の流れをざっと訊きましたが、ほかに注目してほしいポイントなどはありますか?
toku:やっぱり、ソロを経て歌詞の書き方が変わったところですかね。そこに合うストーリーがこれだけたくさん書けるというのも見たうえで、先ほど話に出たミディアムな曲がアルバムには必要だと思いました。特に「aquarium」「ピエロ」といった女性目線の歌詞は、今までのGARNiDELiAになかった雰囲気の曲だと思います。いい30代を迎える女性の感覚なのかな、と(笑)。
MARiA:うるさいんですけどー!
一同:(笑)
MARiA:確かに、肩の力が抜けたのは年齢もあるとは思います。大人の女性の余裕というか。聴いているお客さんも一緒に育っているので、私が等身大で書けば、同年代の女の子たちにも絶対共感する部分があるはずで。
ただ張りつめているだけじゃなくて、「分かるよ」と思えることが背中を押すこともあると思っていて。自分が女性アーティストとして伝えられることというか、同世代の女の子たちにもちゃんと音楽を届けられたらいいな、と思っています。「aquarium」「ピエロ」は特に、肩の力が抜けたからこそ「等身大を書こう」と思えた曲ですね。
――このあたりの楽曲のライブ会場はビルボードライブ東京(もしくはBillboard Live TOKYO)のイメージです。
toku:確かに。そういう影響もあると思います。
MARiA:うん。引っ張られているところはあると思いますし、あとは家にいる時間がすごく長かった時期に書いた曲なので、家で聴く音楽、室内で体を揺らして聴く曲というか、ひとりで聴いても楽しい感覚にしよう、という面が強いと思います。
toku:「ガッツリとライブをやる」というテンションではないイメージの中で作った曲だと思います。
――日曜日の朝にミルクティーを飲んで、ホッとしながら聴く、みたいなイメージです。
MARiA:「ミルクキャラメル」に引っ張られているのでは(笑)?
――今まではビール! みたいなイメージだったのに。
MARiA:ビール! 日本酒! レモンサワー! みたいな(笑)。
――「オトメの心得」は、ハロパで初めてお客さんの前で披露されたと思いますが、そのときの反応はいかがでしたか?
MARiA:ハロパは、ライブ自体が久しぶりだったと思うので、「やっと聴けたー!」という感覚が強かったと思います。あとは、もともとライブで聴きたいという声も多かったですし、「サビのところはクラップですよね!」とノリ方も分かっているというか。
「アイコトバ」とは全然違う感覚でしたね。あれは最初「これ、ライブでどうやったらいいんだよ」みたいな感じで(笑)。ライブで育っていった感覚ですね。
一方、「オトメの心得」は、聴いたときにみんなライブのイメージができていたと思います。イントロからバーン! と上がってくれて、初めての披露とは思えないというか。「これはイケる!」と確信に変わった瞬間でしたね。
――初めて聴いたときは“GARNiDELiAらしくない曲”という印象だったのですが、ライブを観たときはファンもすごくノリノリで。なにがそうさせたのでしょうか?
toku:結局、MARiAが歌ったらGARNiDELiAになるんだろうな、と思います。まあ、演奏していたときは、この曲が難しすぎるので、あんまりお客さんの反応は見ていなかったのですが。
一同:(笑)
MARiA:正直だなあ(笑)。でも確かに、初披露って緊張するんですよね。
toku:自分で作っておいてアレですけど、この曲、ムズいんですよね。
MARiA:ね。歌も超ムズい。でも、新曲をやるとしても、12年続けてきたのもあって、お客さんとの信頼感というか、初披露しても楽しんでくれる、という自信はあったりしますね。「オトメの心得」も初披露のとき、めっちゃ楽しかったから、次のツアーではどこに入れようかな~と。
toku:音色とかもシンプルになってきているところもあって。このアルバムで一番変わったところではあると思います。もっと歌を聴かせたいというか。