秋アニメ『ブルーピリオド』後半の見どころは“八虎の生き様”。矢口八虎役の峯田大夢さん、鮎川龍二役の花守ゆみりさんインタビュー「彼の苦しみの表情を見届けて欲しい」
一番狂ってるのは八虎だということに気づいてほしい
──終盤のストーリーの注目ポイントを教えてください。
峯田:まず、ここまで見ていただいた皆様に感謝しかないです。終盤になるにつれて、皆さんと同じ気持ちでワクワクしていたり「これからどうなるんだろう」とハラハラしたりしています。
作品を彩る色や音はもちろん、役者の皆さんたちの演技もすごいんです。僕はただガムシャラに演じましたが、先輩方の緻密で、繊細な演技が素晴らしいので、細部までご覧いただければなと思っています。
花守:八虎は視聴者目線のキャラクターなんだと思わせておいて、この作品において、一番狂ってる存在だと思ってるんですよ(笑)。それに、そろそろ気づいてもらえたんじゃないかなって。
峯田:そう、彼は実は天才なんですよ(笑)。
花守:才能を努力でなぎ倒す、人の人生を狂わせる存在なんです。その彼の目線だからこそ面白いんですよね。一見才能が無く「だからこそ努力で埋めなきゃいけないんだ」と凡人気質で突っ走っているんですが……ユカちゃんや橋田、世田介、マキちゃんから見ても、怖い存在だと思うんです。だって3ヵ月でなんであんなに絵がうまくなるのか分からないし(笑)。
そんな彼が蕁麻疹を出し、ふらふらになりながら受験に向けて絵を描き続けて。それくらい絵に魅せられた八虎の存在が、皆さんの心を掴んで離さないんだなと思っています。そんな八虎が果たして、藝大受験をどうやって生きていくのか── “乗り越える”じゃなくて、どうやって生きるのか。
峯田:生きざまが、ね。
花守:そう。どのキャラクターも、一分、一秒、ずっと筆に想いを掛けるその表情がすごく魅力的です。特に八虎の表情を見ることがアニメでも漫画でも多いと思うので、最後まで彼の苦しみの表情を見届けてもらいたいです。
峯田:それは本当にそう(笑)。
花守:続編があったら、もっと苦しむシーンがあるのになと(笑)。(続編があることを)視聴者として楽しみにしています!
峯田:僕も楽しみにしてます(笑)。アニメとしてはこれでいったん一区切りになると思うんですが……続編はファンとして見たい。みんなの苦しむ姿を見たい……!
花守:見たい! 橋田くん回も、世田介くん回も、そっちにいかないとないから……。
峯田:原作では橋田くん、世田介くん、それぞれの人間が描かれますからね。八虎が観測する視点に立ちながら「自分もそうだったな」と思い返す場面もあって。
花守:(世田介役の)山下(大輝)さんも、すごくやりたがってるもんね(笑)。
峯田:最近は(原作の最新話で)マキちゃんも出てきてるんで、そこのアニメで観てみたいなぁ……。
──最新話も読まれているんですね。
峯田:めちゃくちゃ読んでいますね(笑)。ファンなので。
──さきほど峯田さんが“生き様”とおっしゃっていましたが、この作品はそれぞれの生き様を生々しく描いた作品ですよね。
峯田:それぞれの生き様を切り貼りしていて。もう「怖い」と思うくらい。
花守:それぞれに根の深い地獄があるもんね。
峯田:みんながいる一枚絵が張ってあって、それを掘り下げていくのが今は八虎なだけであって。後半になるにつれて、龍二や他のキャラクターの葛藤も描かれていくので、そこも楽しみにしていてほしいですね。
一世一代の大勝負をするときに、日々の積み重ねが生きてくるんだなって
──改めて、この作品からおふたりがもらったメッセージを教えていただけますか。
峯田:チャレンジすること、悔いを残さないこと。日々を地道にこつこつ積み上げていこうって。普段からそう思っているんですけど再認識しました。
一世一代の大勝負をするときに、日々の積み重ねが生きてくるんだなって。やってきた分、自分が味方をするというか。そういうものってあるんだろうなって。
花守:私ははじまる前も、終わったあとも、ユカちゃんのセリフの「悔しいと思うなら、まだ戦えるね」を胸に、ずっと戦っている気がします。
悔しいと思えることはまだ足りないところがあって、頑張らなきゃいけないと思っている証拠だから。「まだ燃やせる」って。
峯田:諦めてないってことだもんね。
花守:そうそう。もともと、ユカちゃんは「人は神と自分を比べることができないから」と言っていて。そばにいるけど、いちばん遠いところにいるという存在だったから。
峯田:ユカちゃんのセリフってすごく詩的だよね。
花守:なんか……良いよね。
峯田:良い。
花守:そういうところもユカちゃんの魅力なのかなって。ユカちゃんって「この子の隣にいるのは限られた時間だけなんだろうな」とも思わせるような、刹那的な存在だなとも思っていて。ユカちゃんの生き様を見ていると「頑張れるところまで頑張りたい」って私も思えるんですよね。
──おふたりがもらった八虎とユカちゃんのパワーは、視聴者にも受け継がれていって。この作品を見て「諦めてたけどチャレンジしてみようかな」と思える作品だなと思います。
峯田:何かが伝わっていたら幸いだなと思います。
花守:「頑張ろう」って踏み切る後押しをする作品だと思います。一方で「ここで諦めよう」という判断もくれるというか。いろいろな意味で背中を押してくれる作品になったと思います。
──ところで、インタビューの中で花守さんが龍二じゃなくて“ユカちゃん”と呼んでいることに、ものすごく愛情を感じていました(笑)。
花守:ふふふ、ありがとうございます。ユカちゃんはユカちゃんだから……っていつも思いながら(笑)。
峯田:龍二は“ユカちゃん”として生きているからね。でも(八虎は)ユカちゃんって呼んだことないと思うんですよ。龍二で統一しています。
花守:嫌なのに、龍二って呼んでくるんですよ(笑)。「そっちの名前で呼ぶな」って最初に言ってるのにね(笑)。
峯田:でも結局そう呼んでる。なんとも言えない距離感。
花守:ふたりの、そんな悪友関係も好きなんです(笑)。
【インタビュー・逆井マリ 写真・MoA】
TVアニメ『ブルーピリオド』作品情報
放送情報
・MBS/TBS系全国28局ネット“スーパーアニメイズム”枠
10月1日より毎週金曜25時25分~
・BS朝日
10月3日より毎週日曜23時00分~
・AT-X
10月7日より毎週木曜日21時00分~
毎週(月)9:00 ※リピート放送
毎週(水)15:00 ※リピート放送
配信情報
Netflixにて9月25日~毎週土曜日 テレビ放送より国内先行配信
イントロダクション
成績優秀で世渡り上手な高校2年生・矢口八虎は、悪友たちと遊びながら、毎日を過ごしていた。誰もが思う“リア充”……そんな八虎は、いつも、どこかで虚しかった。
ある日、美術室で出会った1枚の絵に、八虎は心を奪われる。「絵は、文字じゃない言語だから」絵を通じてはじめて正直な気持ちを表現できた八虎は、美術のおもしろさに目覚め、衝動のままにスケッチブックへ向かっていく。
そして八虎は、ついに進路を固める。「第一志望 東京藝術大学」実質倍率200倍、入学試験まで、あと650日──!
国内最難関の美大を目指して青春を燃やす、アート系スポ根物語、開幕!
スタッフ
原作:山口つばさ『ブルーピリオド』(講談社「アフタヌーン」連載)
総監督:舛成孝二
監督:浅野勝也
シリーズ構成・脚本:吉田玲子
キャラクターデザイン:下谷智之
美術監督:仲村謙・金子雄司
美術設定:緒川マミオ・中島美佳
撮影監督:服部安
色彩設計:歌川律子
3DCG監督:大見有正
編集:関一彦
特殊効果:福田直征
音楽:井上一平
音響効果:小山健二
音楽プロデューサー:酒井康平
音楽制作:DMM music
音響監督:菊田浩巳
制作:Seven Arcs
主題歌:
オープニングテーマ「EVERBLUE」Omoinotake
エンディングテーマ「Replica」mol-74
キャスト
矢口八虎:峯田大夢
鮎川龍二:花守ゆみり
高橋世田介:山下大輝
橋田悠:河西健吾
桑名マキ:宮本侑芽
森まる:青耶木まゆ
佐伯昌子:平野文
純田:福西勝也
恋ケ窪:神尾晋一郎
歌島:橘龍丸
海野:平塚未玖
白井:長谷川育美
城田:根本優奈
山本:古賀葵
大葉真由:和優希
岡田さえ:陶山恵実里
石井啄郎:村田太志
桜庭華子:大西沙織
原作情報
『ブルーピリオド』著:山口つばさ
第1~11巻好評発売中! 定価:726円(税込)
コラボ情報
◆ルーピリオド×YOASOBI『群青』スペシャルコラボPV 公開中
◆コラボプロジェクト『ブルーピリオド × ArtSticker』開催中
https://bit.ly/2Y6cRbA