声優・芝崎典子さん『てん、てん、てん』リリース記念インタビュー! 初めて作詞・作曲した「(機種依存文字)」など6曲入りミニアルバムの魅力は?──「いろいろな私を聴いていただいたり、発見していただけるミニアルバムになった気がします。」
「(機種依存文字)」は曲名がテーマ。SNS等でモヤモヤする気持ちを歌詞に
――そのご自身が作詞・作曲された1曲目の「(機種依存文字)」がどのように着想されて、どんな歌詞やサウンド感になったのか、教えてください。
芝崎:とりあえず曲のテーマを決めて、使いたい単語をいっぱい書き出すところから始めました。最初は「改札」とか街をイメージした歌詞にする予定でしたが、もう少し範囲を狭めたほうがいいなと思って。
日頃から自分が発信する言葉は相手にそのまま伝わるかどうかはわからないなと感じていて、それって私がメールなどを送った時、相手の使っているスマホやPCによっては文字化けすることがあることに似ているなと。そこから「(機種依存文字)」がパッと浮かんできて、タイトルにして、そこから歌詞を広げていくことにしました。
作曲はメロディを思いつくたびにスマホに吹き込んで、歌詞もつなぎ合わせていきました。何とか提出期限に間に合いそうだなと思いましたが、締め切り当日に「何か違う!」と思い立って、急にサビとAメロを取り替えたり、曲も変えたりして。結果的には滑り込みセーフでした(笑)。
――「消えない気持ちにパスワードかけてさ」や「私もやがてサイレントモード」などスマホを駆使する女子たちっぽい表現が並んでいるし、サウンドもガーリーでポップなかわいさもありますね。
芝崎:ありがとうございます。でも、スタッフさんから曲順の案を見させていただいた時、この曲が1曲目だったので、「これでいいんですか?」と尋ねたんです。アルバムを手に取ってくださった方のイメージと違っていたり、ビックリするんじゃないかと思って。
でも「この曲で一気に世界観に引き込まれるはずだから」と説明されて、「じゃあ、それでお願いします」と。
――お気に入りのフレーズを挙げるとすれば?
芝崎:オチサビ前の「切り捨てい!」は、『水戸黄門』が大好きな私らしさを入れ込めたかなと。その他にも「雲散霧消」など固めな言葉を時折入れることで、かわいさだけでなく、チクっとするような部分も出せたらいいなと。
――レコーディングで意識した点とどんなディレクションがありましたか?
芝崎:「芝崎さんがやったことが正解なので、お好きにどうぞ」と言われました(笑)。デモ音源は家でひとり、アカペラで歌ったものを録音しました。同居している両親に聴かれたら恥ずかしいので、こそこそ歌ったんです。
ただ、提出する前に聴いてみたら「この感じいいかもしれない」と感じて。なので、その声を仮歌にして、音源を付けたものを送っていただいたら「この世界観にピッタリかも」と手応えがあったんです。なので、同じ感じでレコーディングしてみようと。
オケは賑やかだけれど、声はなるべく潜めて、優しく歌おうと心がけました。
――ささやき声みたいな感じがモノローグにも聴こえるし、ちょっとプライベートを垣間見ているような感覚もありました。
芝崎:そういうイメージです! そう感じていただけたのなら嬉しいです。
――他に聴きどころや注目して聴いてほしいポイントは?
芝崎:誰しもSNSをしていると、自分の中でモヤモヤする気持ちって何かしらあると思うんです。モヤモヤした時に、この曲を大きめの音で聴いてもらいたいなと思って、声がキンキンしないように歌いました(笑)。
そんなモヤモヤや、やるせない気持ちを抱えながらも、一緒に頑張っていこうねという想いで作ったので、そわそわしたり、気分がすっきりしない時に聴いてください。音量大きめで聴く時はヘッドフォンなどで周りへの配慮もお忘れなく(笑)。
あとかわいいリリックMVのショートバージョンも公開中なので、そちらもぜひチェックしてみてください。
――2曲目の「moment」はEDM風なのに、どこか東洋の雰囲気を感じるサウンドで、歌詞も大人のロマンスを匂わすような。
芝崎:このミニアルバムの中で最初にレコーディングした曲です。ミニアルバムのリード曲で、歌詞も主人公は妖艶なイメージでジャケットのビジュアルにもピッタリです。
私も妖艶な女性のイメージで歌おうと意識しながらレコーディングしましたが、歌うたびにどんどん気持ちがノッていきました。まさに歌詞の「酔いしれてゆく」みたいに。
サウンドは今風の打ち込みを使いつつ、現代ではない時代感や異国感も感じさせて、浮世離れした不思議な曲ですね。
――歌詞を見ると、ちょっと古めの難しい言葉が結構使われていて、今ではない昔の時代のラブストーリーを描いているのかなと。
芝崎:私もこの曲の歌詞でいろいろ勉強になりました。「刹那の可惜夜(あたらよ)」とか「暁闇(あかときやみ)手を引いて」とか。また最初の「月夜」は「つくよ」なのに、終盤の「星月夜」は「ほしづきよ」だったり、言葉の選択や読み方の違いなどが世界観を色濃くさせている気がします。
――レコーディングで意識した点はありますか?
芝崎:今までのように物語の女性になり過ぎず、「自分がもしそこにいたら?」とイメージして、歌詞を自分に手繰り寄せる気持ちで歌いました。
配信イベントでも歌わせていただきましたが、楽しかったし、気持ちよかったです。ただ視聴されていた皆さんは驚いていました(笑)。でも「好きな曲調です」と言っていただける方が多くて、改めて挑戦してよかったなと思いました。