武蔵に乗せられたものの、実は鬼退治にまだ乗り切れていない!? 人間味溢れる小次郎は世界とどう向き合うのか――冬アニメ『オリエント』鐘巻小次郎役・斉藤壮馬さんインタビュー【連載第2回】
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物語の舞台は、強力な力を持つ鬼に支配された日ノ本。鬼に立ち向かい続ける“武士団”に憧れる武蔵と小次郎は、“最強の武士団”結成を誓い合い、夢のために武士として険しい道を進むことになります。
アニメイトタイムズでは、キャスト・スタッフ陣へのインタビュー連載をお届け! 第2回は、鐘巻小次郎役の斉藤壮馬さん。作品の印象や演技のこだわり、放送直前となる第2話に関するお話を伺いました。
クールに見えて人間味溢れる小次郎。その胸に抱く複雑な感情とは?
――原作をご覧になった感想を教えてください。
鐘巻小次郎役・斉藤壮馬さん(以下、斉藤):壮大なスケール感、探究心をくすぐるワクワク感といった王道の面白さがありながらも、キャラクター造形やストーリーに関しては大高先生のオンリーワンな感性が詰まっていると思いました。主人公だから熱血、その相棒だからクールというわかりやすいキャラクター造形なのかなと思いきや、全くそうでないところも魅力だと感じました。
――小次郎は一見、クールなポジションと思いきや、実は人間味が溢れたキャラクターです。武蔵との対比も見どころになるのかと思います。
斉藤:武蔵は物語を牽引する器の大きさを感じられる人です。そんな彼のことを小次郎は尊敬している反面、自分は彼のようにはなれないという引け目と言いますか、なぜそこまでいけないんだろう?という葛藤を抱えているんだと思います。でもそれは彼の個性でもあって、そうであるが故に、細かいところに気付いたり、まとめ役になることがあったり。彼には彼のオンリーワンな立ち位置があるのだけれども、冒頭の段階ではまだ自覚できていなくて。序盤はまだ武蔵に一歩遅れている感覚を持っているんです。
――人間らしさに溢れていて、もしかしたら視聴者が一番共感できるキャラクターかもしれませんね。
斉藤:そうかもしれません。でも、武蔵のモノローグや独白も丁寧に表現されているので彼に寄り添って観ていただくも良し、小次郎目線で武蔵に翻弄されるも良し。色々な角度から寄り添って楽しんでいただけるのではないかと思います。
――原作を読み、実際に演じてから作品に対する印象は変わりましたか?
斉藤:武蔵と小次郎がなぜ旅立つのかという物語の導入部分が、原作でもアニメでもとても丁寧に描かれていると再確認できました。原作がまだまだ続いている作品の場合、アニメーションの尺に落とし込む上である程度の省略や順序の入れ替えは当然生まれると思います。しかし、今作に関しては、特に序盤がほとんど原作準拠になっていて。物語が次から次へとハイスピードに進むわけではなく、第1話であれば武蔵、第2話であれば小次郎の心情にじっくりと寄り添った組み立て方になっているんです。
少年漫画のバトルアクションものであれば、極端な話、第1話で旅立ちまでが描かれることも多いかと思います。でも今作には原作のエッセンスを忠実に表現するという強い意思を感じました。
――たしかに。スタッフ陣のこだわりを随所で感じます。
斉藤:『オリエント』という作品は心を揺さぶられる熱いシーンがたくさんありますが、それだけではなく、人間の心の機微やままならなさといったものが丁寧に描かれているんです。そして、そんな細かい部分を丁寧に表現しようというスタッフさんたちの気概をシナリオや画作りから感じています。
――壮大な世界観ですが、第1話序盤はナレーションのおかげで話がすごく伝わりやすかったです。
斉藤:ナレーションがいてくれると安心感がありますよね。武蔵と小次郎は世界の真実をまだまだ知らない状態で旅に出るので、俯瞰した立場のナレーションがいてくれると、視聴者としても安心できるんだろうなと思いました。
――ナレーションは小次郎の父である鐘巻自斎役もされている小西克幸さんでした。
斉藤:素敵なナレーションです。わかりやすさはもちろん、すごくワクワクしました。第2話以降も要所要所でナレーションが挟まれるので、ぜひ楽しみにしてほしいです。