ホーとの対決で気づかされた、リャンハの「底知れなさ」|TVアニメ『殺し愛』リレーインタビュー│第4回:リャンハ役・下野 紘さん&ホー役・前野智昭さん
Fe原作によるTVアニメ『殺し愛』が、1月12日よりTOKYO MXほかにて好評放送中。アニメイトタイムズでは、本作の出演キャスト陣によるリレーインタビューを実施している。
第4回は前回に引き続き、リャンハ役の下野紘さんとホー役の前野智昭さんが登場。放送されたばかりの第4話では、シャトーを人質に取られたリャンハと復讐を果たそうとするホーが、第4話でついに対峙することとなった。二人はその思いをどう受け止め、どう演じようとしたのか……?
「冷酷」と「激情」####――リャンハとホーの温度差が印象的だった
――第4話では、ついにリャンハとホーが相対することとなりました。
前野智昭さん(以下、前野):ホーがリャンハを煽って心を乱そうとしても、全然挑発に乗ってくれなかったのが印象的でした。
下野紘さん(以下、下野):動じてなかったよね。
前野:ホーに達成感や高揚感があったぶん、リャンハを前にしてちょっと空回りしている感じもありました。前半、リャンハからの電話を受けたときに、タバコを吸ってむせるシーンがあるんです。やっとリャンハの居所を掴んで、スンウさんの仇を取れるという喜びに溢れたシーンなんですが、リャンハがまったく取り合ってくれない。その温度差が面白かったです。
――逆にリャンハは常に冷静でしたよね。
前野:シャトーを人質に取られて内心キレていたのかもしれませんが、なかなかそれを表面に出さないんです。唯一、爆発があった直後にシャトーを心配したような表情を見せたくらいですよね?
下野:そうですね。あとは、演出でリャンハの表情がうまく隠されていたのもいいなと思いました。たとえば、前野君が言ったホーと電話をするシーン。怒っているのかなと思わせつつも、その表情を見せず、心情が汲み取れないような演出になっているんです。
前野:底知れないキャラクターなのがよくわかりました。ホーのような直情型の人間は、きっとイライラさせられると思います(笑)。
下野:演者としては表情が見えなくて大変なんですけどね。少ない情報から感情を汲み取って、さらにその感情を抑えていかないといけないので……。
前野:テクニカルな話になってしまいますが、この作品はアフレコの段階で画ができているのがとてもありがたい一方で、オフゼリフ(画面外の声や話者の口もとが見えないシーンのセリフ)のタイミングがすごく難しいんです。
下野:映像ができているということはカット番号やボールド(セリフのタイミングと尺を示すガイド)がないということなので、完成しているからこその難しさはあります。ただ、画ができているほうが圧倒的にやりやすいよね?
前野:そうですね。キャラクター同士の距離感やアクションが非常にわかりやすいです。
下野:リャンハは表情が見えないときもありますが、見えるときは細かい表情のニュアンスがわかるので、本当に助かっています。
――そのリャンハが「しまった」と声を出すシーンもありました。
下野:シャトーが単独で襲撃犯を追っていったところですね。ここも案配を探るのが難しいポイントでした。最初はもう少し感情を込めたのですが、「そこまで出さなくて大丈夫です」とディレクションをいただいて、軌道修正したんです。
最後の爆発の直後も同じでした。台本には「――!!」と書かれていたんですが、シャトーの危機に動揺を見せつつも、感情を出しすぎてしまうと余計な含みをもたせてしまうかなと思い、ほとんど息づかいを入れなかったんです。「アドリブ(の息づかい)を入れてください」と言われることもなかったので、台本に「……」や「――」と書かれていてもあまり息を入れないほうがいいというのが、ようやくわかってきました。
前野:今回、リャンハが動揺する姿を見て思ったんですが、やっぱりシャトーは何か特別な存在なんでしょうね。
下野:リャンハ自身のバックボーンはまだまだ謎だらけですが、シャトーが大切な存在であるというのは確実だと思います。どういう感情によって大切だと思っているのかはまだわからないですが……。少なくともリャンハにとって重要な存在だというのはよくわかりました。
前野:好意を寄せつつも、距離感をはかりかねているところもありますよね。
下野:確かに、つきまとってグイグイいくわりにどこか一線を引いたところがあります。手は出さないぞ、というような(笑)。それもまた彼女を大切にしているように見える部分です。
前野:シャトーとしても、距離感を掴みづらいですよね。信用するには危険すぎるし、油断したら殺されてしまうかもしれない。
下野:そういった意味では、シャトーの不安感、不信感はすごく共感できます。