TVアニメ『王様ランキング』日向未南さん(ボッジ役)×櫻井孝宏さん(デスパー役)が1クール目の名言&名シーンを語りつくす|見ていくうちに、キャラクターの印象がどんどん変わっていく作品
『王様ランキング』名言&心に刺さったセリフ~第1クール編
――この作品は名言が多く、とても素敵な言葉がたくさん出てきますが、その中でもお好きなセリフや心に残ったセリフはありますか。
日向:好きなセリフはたくさんあるんですけど、デスパーの「……ボッジ君。あなたが気にしていることは、もしかしたらあなたの長所なのかもしれない」(第十一話)というセリフが印象的です。
気にしているからこそ、強みになっていくというようなことをデスパーが言っているんですが、『王様ランキング』という作品を見ていると、自分のことと重ねてしまうところがあります。
私はけっこうネガティブなところがあって、アフレコ収録の時もディレクションを受けると、沈んじゃうこともあるんです。それで沈んだとしても、その経験を糧として、「もっと頑張ろう!」と自分を奮い立たせる時がありました。。
デスパーの言葉で「沈んでいる時間も、私の中で強みになっていくんだな」と自分自身を振り返ることができて、すごく心に響きました。
例えば、活舌が良くないとか、声に特徴がないなど気にしていたことが積み重なって、努力を重ねていったから、自分は今ここにいるんだなと思ったので、デスパーの「気にしていること」という言葉が私は大好きです。
――櫻井さんはこのセリフについて、どのように感じられましたか。
櫻井:たぶん大人からすると、けっこうみんなわかっていることだったりするんですよね。デスパーぐらいの年齢の人がボッジぐらいの小さい子に何か言葉を与えるのって、わりと造作もないことだと思います。なので、逆に間違えないように、シンプルに、的確に伝えることがたぶん大事で、言っている内容というのは、ベーシックで本質的なことだと思っています。
でも大人になってくると、その辺がよくわからなくなってきて、物事の良し悪しがないまぜになってしまう。ただ、弱点だと思っているものほど、実は武器だったりするというのは、ある程度年齢がいくと、何となくわかってきて、長所って何かよくわからなくなってくるんです。
例えば、優しいって、当たり前になっちゃうから、デフォルトになってしまうけども、何かが苦手というのは、そういうところほど実際はすごく印象的だったり、それが転じて武器になったりする。発想を変えれば、使えるものになるんです。
特にデスパーはそういう人だと思います。彼は圧倒的な兄に対して、すごく劣等感を覚えて、今のポジションに至った人なんですよね。
経験に基づいた意見になっているから、ことさらすごく思いを込めようというよりも、わりとスッキリ言おうと思っていましたね。心に刺さるセリフって、改まって言うのは恥ずかしいじゃないですか(笑)
一同:(笑)。
櫻井:「(口調を変えて)きみの弱点こそは!!」
一同:(笑)。
櫻井:ね?ちょっと怪しく思うでしょ(笑)? 急にそんなことを言ってきたら「は?」って言っちゃう(笑)。
日向:あのサラッと感がいいのかな。
櫻井:ね。ボッジにはこれまでそんなことを言う人がいなかったし、だからこそ響いたし、嬉しかったんだろうなと思いました。人はどうしても嫌なことには蓋をしたいと思いますからね。デスパーは、そういう言葉をいっぱい持っているんですよね。
日向:ありますよね。あとは、「大事なのは勇気」(第七話)。あのシーンは『王様ランキング』の中でも大事な名言ですよね。
櫻井:そうですね。
日向:カゲの「オレは、これからどんなことがあっても、お前の味方になりたいんだ」(第二話)というセリフも名言です。
櫻井:心からの「味方」ってなかなか言えないですよね。
日向:ボッジが欲しかった言葉というか、この王宮内にも味方はいますけど、そうやって面と向かって言われるということは、ボッジの気持ちを大きく変えたと思います。ヒリングもボッジ的には味方ですけどね!
櫻井:出会って間もないころ、ヒリングがボッジにいろいろとアタックするけど、逃げちゃうっていうね(笑)。
日向:切ないけど、かわいい(笑)。
櫻井:それを見たドルーシ(CV:田所陽向)が「不器用なお方だ……」(第九話)って言うのも……(笑)。
一同:(爆笑)。
櫻井:実感のこもったひと言だなと……。
日向:ボッスとミランジョ(CV:坂本真綾)がダンスしているシーンあるじゃないですか。あそこのボッスの「……ミランジョ。今、この時を楽しもうではないか」(第九話)というセリフが好きです。
私の考えなのですが、ボッス王は、あの時、ミランジョにこの先、つらい未来が待っているかもしれないと思ったのではないかな…と。ボッスは今のこの幸せな空間を楽しむためにそんなことを言ったんだろうなと思いました。
櫻井:この作品は台本上の字面でいいなと思うセリフももちろん多いのですが、セリフとして音で聞いていいなと思うことも多いなと思いました。
日向:私もそう思います。印象が変わりますよね。
櫻井:わりとさりげないひと言が耳に残ったりするんですよ。
日向:さりげないひと言といえば、第八話のドーマスがホクロ(CV:山下大輝)を助けたシーンで、その後にボッジが生きていたことがわかり、思わず笑顔になって「良かった」と言うんですけど、あの1シーンは、もともと、マンガで好きなシーンではあったのですが、アニメでの顔の表情もよくて…。画の力があるからこそ、短い言葉でも伝わってくるんでしょうね。
櫻井:そうだね。
――櫻井さんはいかがですか。
櫻井:作中で、人となりがわかるような生っぽい言葉がけっこう好きです。
例えば、デスハーがオウケンを逃してしまった部下に対して言った「お前の責任ではない。」(第十一話)というセリフ。「お前は悪くないよ」という目線と、それをさりげなく描いているのがいいですよね。
「この人はこういう人なんだ」と見ている人からすると、わりと情報として大きいんですよね。デスハーはけっこう怖い人だというイメージがあるんですけど、その辺は公明正大で、しっかり見ている人なんだとわかります。
この作品は、その人がどういう人なのかというのが、よくわかるセリフがさりげなく置いてあって、そういうところが素敵だなと思います。
それこそ、ヒリングを見たドルーシ(CV:田所陽向)が「不器用なお方だ……」(第九話)って、すごく不器用な人が言うわけですよ(笑)。
一同:(笑)。
櫻井:あのセリフもすごく心に刺さりました(笑)。こんな不器用な人が「不器用なお方だ……」って(ヒリングは)相当不器用なんだろうなって……(笑)。そういうところは見る人の手助けにもなりますよね。
名言っぽいものは、どうしてもキャラクターの意志や役割が乗っているので、それはそれで心に響くんですけど、『王様ランキング』はキャラクターが無意識に言っているその人の本質的なものが見えるセリフが多いので、さりげないセリフでも心に響いたりするのではないでしょうか?
日向:そもそも、セリフがすごく少ないじゃないですか。
櫻井:そうだよね。
日向:「お前の責任ではない」とか、デスハーのセリフは少ないのに、すごく伝わってきますよね。
櫻井:多弁じゃないからこそ、言葉の重みがあるんだろうね。デスハーは軽くOKと言えないポジションにいるので、どうしても厳しめに見えるんですよ。
彼のように強いと言われている人は、強すぎてしまうがゆえに、それをどうしても周りに強要してしまうところがある、「これぐらいできるだろ」と。言われる側からしてみると「いやいや、あんただからできんのよ」と思うことはありますよね。
デスハーはその辺のところが冷静で、きちんと見極められる人なんだなと思いました。ひっくり返していうと、「能力はちゃんと把握できているので、逃がしちゃっても仕方ないよな」というのも、割り切って考えられている人かもしれないんですけど、キャラクターのセリフの説得力はすごいなと思います。
<インタビュー第2クール編(後半)へ続く>
[取材&文・宋 莉淑(ソン・リスク)]
TVアニメ「王様ランキング」作品情報
【放送情報】
フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて毎週木曜24:55~放送中!
Amazon Prime Videoにて見放題独占配信!
※放送時間は予告なく変更になる場合があります。
【STORY】
国の豊かさ、抱えている強者どもの数、そして王様自身がいかに勇者のごとく強いか、それらを総合的にランキングしたもの、それが〝王様ランキング〟である。
主人公のボッジは、王様ランキング7位のボッス王が統治する王国の第一王子として生まれた。
ところがボッジは、生まれつき耳が聞こえず、まともに剣すら振れぬほど非力であり、家臣はもちろん民衆からも「とても王の器ではない」と蔑まれていた。
そんなボッジにできた初めての友達、カゲ。
カゲとの出会い、そして小さな勇気によって、ボッジの人生は大きく動きだす―――。
【STAFF】
原作:十日草輔 『王様ランキング』(ビームコミックス/KADOKAWA 刊)
監督:八田洋介
シリーズ構成:岸本 卓
キャラクターデザイン・総作画監督:野崎あつこ
サブキャラクターデザイン・総作画監督:河毛雅妃
副監督:今井有文
チーフ演出:渕上 真
メインアニメーター:大城 勝/小笠原真/藤井 望
美術監督:金子雄司
美術設定:藤井一志
色彩設計:橋本 賢
撮影監督:出水田和人/上田程之
編集:廣瀬清志
音楽:MAYUKO
音響監督:えびなやすのり
音響効果:緒方康恭
アニメーションプロデューサー:岡田麻衣子
アニメーション制作:WIT STUDIO
【CAST】
ボッジ:日向未南
カゲ:村瀬 歩
ダイダ:梶 裕貴
ヒリング:佐藤利奈
ドーマス:江口拓也
ベビン:上田燿司
アピス:安元洋貴
ドルーシ:田所陽向
ホクロ:山下大輝
ボッス:三宅健太
シーナ:本田貴子
魔法の鏡:坂本真綾
デスハ―:下山吉光
デスパー:櫻井孝宏