TVアニメ『時光代理人 -LINK CLICK-』の魅力を解説! 写真の世界へタイムリープして依頼を解決していく姿に心の琴線に触れる……! サスペンスの物語は意外な結末に
アニメ『時光代理人 -LINK CLICK-(以下、時光代理人)』。この作品は2021年4月に、中国の動画サイト「bilibili」にて配信され好評を博しました。
日本でも2022年1月からTOKYO MXなどで日本語吹替え版の放送が開始されています。
主人公2人のバディが、写真の中へタイムリープをすることでクライアントの依頼を解決するというSF要素の高い作品でありながら、観る人の心を震わすヒューマンドラマも織りなしています。
2人の目を通して再現されるクライアントやその関係者たちの人生の1シーンは、視聴者にも似たような経験があることを思い起こさせるものばかり。
彼らの「後悔」を“追体験”することで、これから歩みを進めていく自分の人生についても何かしらの“気づき”をもたらしてくれるかもしれません。
本稿では、最終回が近づいて来た『時光代理人』の魅力をご紹介! みなさんも『時光代理人』の世界へ「ダイブ」してみませんか。
目次
中国アニメ作品では珍しい現代×タイムリープ!
まずは軽く作品の全体像を振り返りましょう。舞台は現代中国、街の一角で営まれている「時光写真館」。この写真館は、程小時(チョン・チャオシー)<コードネーム:トキ>と陸光(ルー・グアン)<コードネーム:ヒカル>が共同で経営をしています。
トキの幼なじみであるリンが持ち込む依頼を、トキの「写真の中に入り込める」能力と、ヒカルの「写真の世界の出来事を読み取る」能力によって解決していきます。
写真の中に入り込む、つまり撮影された時間軸に遡って、クライアントの依頼を解決するタイムリープ作品となっています。
キーワードは
「過去を問うな、未来を聞くな」
「過去を改変するな」
「タイムリミットは12時間」
撮影者に憑依して過去の世界を行動するトキと、そのトキに現代から助言し導くヒカル。
日本語吹替え版ではお互いを「トキ」「ヒカル」という、日本でもなじみのある名前で呼び合っているのも、作品の世界観へすんなり入り込める要素になっています。
現在の日本では、中国発アニメ=「古代」が舞台、というイメージが強めですが、本作の舞台は「現代」。そういった目新しさはもちろんのこと、視聴者にとってもなじみやすい世界観であることが、作品の魅力となっているのではないでしょうか。
作品の魅力をピックアップ
作品の簡単なおさらいをしてきましたが、実際に『時光代理人』の魅力とは何なのでしょうか? タイムリープ作品というのは、数多く存在しており、みなさんもいくつかご覧になったことがあるかもしれません。
その中でも『時光代理人』が他の作品と違うところは、“気づき”にあります。
タイムリープで依頼を解決するも、過去改変の危機!?
トキとヒカルは、手を合わせることによってそれぞれの能力を掛け合わせ、依頼された写真の世界へのタイムリープを実現します。
トキが写真の世界へダイブし、ヒカルはトキを解決まで導く役目を負います。
ヒカルは、サポート役ということもあり、冷静な判断や忠告をトキにしていくのですが、クライアントたちの人生を追体験していく中で、トキはつい「なぜ彼はこの時こうしたのだろう」と疑問を抱いてしまいます。
しかし、前述したようにトキとヒカルは、タイムループする上でルールを定めています。
「過去を問うな」
「未来を聞くな」
依頼解決の先に起こる未来を知るヒカルは、あえてトキにそれを共有せず、依頼を忠実にまっとうするため冷静に指示を送ります。
そうすることで任務が遂行され、心残りが解消されたり、目的を達成するクライアントたち。その結末を目にした視聴者にも、心温まる瞬間が訪れます。
しかし、時には過去を改変してしまう危機に立たされたり、たどり着いた先の結果に愕然とする場面も……!?
一筋縄ではいかないストーリー展開は筆者激推しです!
「過去を改変するな」
2人のタイムリープはこのルールを守り続けられるのでしょうか。行く末が気になります。
思わず自分の体験も重ねてしまう、解決までの過程で得る“気づき”にも注目!
「時光写真館」に持ち込まれる依頼をきっかけに、視聴者もクライアントやその関係者の人生を一緒に体験することになります。
その過去は、どこか共感できる部分も多く、視聴者の中に存在する“似た記憶”が掘り起こされることがしばしば……。
第1話「エマ」では、とある会社のCEO秘書を務める女性エマが主人公。エマが日々の激務や都会暮らしに疲弊していく中で触れた、田舎の両親からの“娘を大切に思う言動”に感情を揺さぶられる場面があります。
依頼のためエマに憑依したトキも、そのエマの感情に思わず自身の幼少期の両親との記憶をリンクさせてしまいます。
誰しもが思わず自己投影をしてしまうようなエピソードの数々に視聴者も、何気ない日々を大切に生きていこう、かけがえのない人に素直な気持ちを伝えておこう、後悔のない人生を過ごしたい、などのような“気づき”が得られるのも、この作品の魅力のひとつかもしれません。
観る者の心の琴線に触れ、共感や郷愁を呼ぶドラマ。あなたの目にはどのように映り、そしてどのようなメッセージとして受け取るでしょうか。
作品を観ることで心に思い浮かぶ人がいたら、それはあなたの大切な人かもしれませんね。
感情的なトキと冷静なヒカル、動と静の対比
物語の中で時折、断片的に挿し込まれる2人の出逢いのシーンでは、ヒカルに手を差し伸べる笑顔のトキの姿があります。このシーンからもトキが明るく人懐こい人物であることが窺えます。
一方、口数も少なくクールな印象のヒカル。
写真の世界へダイブ出来るトキが「動」であるとするなら、指示を出し結果を待つのみのヒカルはまさに「静」。
この2人の主人公の対比もまた鮮やかで、ストーリーのスパイスとなっています。
トキは、時にヒカルの指示を無視し、つい自身の感情や記憶・体験を重ねてしまったり、その人物の日々に疑問を持つなど、自分の中に生まれる感情を素直に露呈させる場面も。
一方ヒカルは、自身の能力で見えた写真の中の結末を知りながらも、トキに知らせることなく隠し「過去を問うな、未来を聞くな」といさめ、的確な指示を送り続けます。
過去の世界にいるトキが唯一頼れるのはヒカルのみ。
その先の未来を隠され、コントロールされるだけのトキは、そのことが原因でヒカルと衝突してしまうことも……!?
対照的であるがゆえに引き起こされる2人の行き違いがこの先のバディ関係にどのような影響を与えていくのか。今後の展開も予想がつきません。
日本語吹替え版の声優は実力派の2人
また、豪華声優陣が吹き替えを務めているのも作品にのめりこめるポイントです。
明るく情熱的なトキを演じるのは、明朗快活なキャラクターボイスを手がけることも多い豊永利行さん。
対比となるヒカルを演じるのは、悪役からさわやかな青年まで、幅広く様々な役柄を演じて来た櫻井孝宏さん。
また、トキの幼なじみリンを演じるのは古賀葵さん。明るく闊達な印象のリンですが、幼少期のトキとの過去も徐々に明かされたり、「借金返済」というワードが飛び出すなど、その関係性も気になります。
実力派の声優陣が紡ぐことで、物語もより一層色鮮やかに彩られています。
最後に
中国では第2期制作も発表されているアニメ『時光代理人』。第1話の結末となった“とある出来事”が、実は本作品の鍵となっているかのように思わせられるシーンもあります。
飛び抜けたスタイリッシュさが光るOP・ED曲や中国アーティストの歌唱と思われる挿入歌にも注目したい作品です。
「過去を改変しない」タイムリープの行く末を、あなたも目撃してみませんか。
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TVアニメ『時光代理人 -LINK CLICK-』作品情報
放送情報
2022年1月9日(日)〜放送中!
TOKYO-MX:毎週日曜21:30
BS11:毎週日曜22:30
CS ホームドラマチャンネル:2022年2月26日(土)より毎週土曜21:30(2話連続)
配信情報
Amazon Prime Videoにて1月9日(日)よりオリジナル版最速配信
ABEMAにて1月9日(日)より放送版地上波同時配信
ほか各配信プラットフォームにて配信
ストーリー
繁華街の一角に佇む「時光写真館」。そのさびれたドアの奥には、 特殊な能力を持った2人の男がいた――。
写真館を経営するのはトキ(程小時)とヒカル(陸光)。トキの幼馴染・リン(喬苓)を通じて顧客から舞い込む依頼を遂行すべく、 「撮影者の意識にリンクし、 写真の世界に入ることができる能力」を持つトキと、 「その写真の撮影後12時間の出来事を把握できる能力」を持つヒカルはコンビを組み、 過去を引きずるクライアントからの依頼を解決していく。
『絶対に過去の改変をしてはならない』ルールのもと依頼を遂行していた二人だが、 正義感の強いトキはつい過去に干渉してしまい、 その行動はやがて少しずつ未来を変えていく――。
スタッフ
監督・脚本:李豪凌/リー・ハオリン
キャラクターデザイン原案:INPLICK
キャラクターデザイン:LAN、 黄思萌/ホワン・スーモン、 熊丹/ション・ダン
演出・総作画監督:LAN
美術監督:丹治匠、 朝見知弥、朱立朴/ジュー・リープー
撮影監督:山条裕香 
音楽:天門、 yuma yamaguchi、 av4ln
アニメーション制作:瀾映画
日本版製作:株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ 株式会社アニプレックス
日本語吹替版キャスト
トキ/程小時(チョン・シャオシー):豊永利行
ヒカル/陸光(ルー・グアン):櫻井孝宏
リン/喬苓(チャオ・リン):古賀葵
主題歌
●日本版オープニングテーマ「Dive Back In Time」
bicaso feat. Gen Kakon(ソニー・ミュージックエンタテインメント)
歌唱:Gen Kakon
作詞・作曲:魚麦扣
編曲:Carlos K.
原曲歌唱・編曲:白鯊JAWS
●日本版エンディングテーマ「OverThink」
bicaso feat. EAERAN(ソニー・ミュージックエンタテインメント)
歌唱:EAERAN
作詞・作曲:飯卡
日本語訳詞:SHiNNOSUKE (ROOKiEZ is PUNK’D, SINOBROWN)、 EAERAN
編曲:Carlos K.
TVアニメ『時光代理人 -LINK CLICK-』公式サイト
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