春アニメ『ヒロインたるもの!』HoneyWorksインタビュー|今までやってこなかった「聴いている“あなた”に歌っていますよ」と伝える曲を意識
HoneyWorksの楽曲を原作とした作品『ヒロインたるもの!〜嫌われヒロインと内緒のお仕事〜』が、4月7日よりTOKYO MXほかにて放送開始となりました。
ヒロインの涼海ひより(CV:水瀬いのり)は、桜丘高校1年。陸上を続けるため田舎から上京し、一人暮らしをスタートさせます。しかし、家庭の事情で仕送りがストップしてしまい、アルバイトを探すことに。ようやく採用を勝ち取った仕事は、同級生のアイドルユニット・LIP×LIPの勇次郎(CV:内山昂輝)と愛蔵(CV:島﨑信長)のマネージャー見習いで……。学校生活、部活動、マネージャー見習いと奮闘するひよりの活躍が描かれます。
この度、アニメイトタイムズではHoneyWorksにインタビューを実施。コンポーザーのGom(ゴム)さん、shito(シト)さん、イラストとムービーを担当しているヤマコさんの3人に、作品の見どころや楽曲制作秘話をたっぷりと語っていただきました。
歌詞に注目!声優陣と話し合いながらのレコーディング
ーー『ヒロインたるもの!』TVアニメ化おめでとうございます!
Gom:ありがとうございます。映像化したいとは前々から思っていたので、すごく嬉しかったです。2020年に公開した映画『HoneyWorks 10th Anniversary “LIP×LIP FILM×LIVE”』(以下『LIP×LIP FILM×LIVE』)では描けなかった部分もあったので。そこをテレビアニメで描けたらな、と思いました。
shito:『LIP×LIP FILM×LIVE』では、勇次郎と愛蔵の“アイドル編”がメインでしたからね。今作では“学校編”ということで、ようやくLIP×LIPのすべてを見てもらえます。
ヤマコ:これまであまり描かれてこなかったひよりがメインとなるのも嬉しい。ひよりというキャラクター自体は、LIP×LIPとほぼ同時に制作していたので。ようやくひよりがどんな子なのかを皆さんにお見せできる機会がやってきました!
ーーすでにアニメは視聴済みだという皆さん。実際にアニメでキャラクターが動く姿を見て、どう感じましたか?
ヤマコ:ひよりのドタバタ感がすごい(笑)。これまでの『告白実行委員会〜恋愛シリーズ〜』(※HoneyWorksによる楽曲シリーズを原作としたアニメ)にはいなかったような田舎っ子感が、とてもかわいいと感じました。ドジっ子だけど一生懸命という点が、皆さんに共感してもらえるんじゃないかな。
shito:さらに水瀬いのりさんの声がついて、より愛着がわきました。その他のキャラクターたちももちろん。「このキャラクターはこの声優さんだよな〜!」というのがバッチリハマっていて、イチ視聴者としてテンションが上がりましたね。
Gom:MVを見てキャラクターを知ってくださっている方はたくさんいると思うのですが、アニメではよりキャラのことを知れて、感情移入できると思います。アニメではLIP×LIPとひよりが成長していく姿が丁寧に描かれていますので、その過程を是非楽しんでください。
ーーOP曲の「ジュリエッタ」は、LIP×LIPらしいファンタジーな世界観が広がる楽曲に。どういった意図を持って制作されたのでしょうか?
shito:彼らのファンに向けたメッセージソングになっています。タイトルを「ジュリエッタ」にすることは最初から決めていました。“ジュリエッタ”はLIP×LIPのファンの名称なのですが、そんなジュリエッタたちに向けた感謝や愛の気持ちを、アニメ後半の内容とリンクさせながらGomと制作していきました。
ーー歌詞にも、これまでのLIP×LIPの楽曲名が散りばめられていましたね。
Gom:楽曲名もですが、LIP×LIPがジュリエッタに対してここまで感謝の気持ちを素直に述べている曲も今までなかったので……。制作しながら「LIP×LIPも成長したなぁ〜」としみじみ感じてしまいました(笑)。
ーーレコーディングで、声優さんに何かリクエストを出したことはあったのでしょうか?
shito:逆に、島﨑信長さんの方から「ここはこういう気持ちで歌った方が気持ちは伝わりますかね?」とたくさん提案いただいて、かなり細かいところまでこだわったので、声のニュアンスなども含めてじっくり聴いていただきたいです
ーーこだわった部分で、具体的に言える場所があれば教えて欲しいです。
shito:「他の誰かを好きになったら それも君だし応援するよ」という歌詞があるのですが、「実際こんなことがあったら寂しいよね」と(笑)。LIP×LIPの2人はこれを全力で応援できるような大人でもないから、複雑な感情を込めながら歌おうと話し合いました。「もう少し落として」「もう少し柔らかく」というのを何度も繰り返し、やっと着地点を見つけた感じです。2番なので、アニメでは流れない部分で申し訳ないのですが(笑)。CDを購入して是非聴いてみてほしいです!
ーーOPの映像に関しては、ヤマコさんからアニメの制作側へリクエストされたことはありますか?
ヤマコ:ハニワからは「キャラクターをいっぱい出してほしい」とだけ要望をお伝えしました。実はこれ、かなり難しい要望で(笑)。過去に映画のOP映像の絵コンテをさせていただいた時に、OPはカット数に限界があることを知って「このカット数は多いです」「映像に入りきらないです」と言われたことがありました。なので今回も「入りきらないかも…」と言われてはいたのですが、要望に全力で応えてくれて、いろんなキャラクターが登場するOPを作っていただけました。すごく贅沢なOPに仕上げていただき、大満足です。
ーーED曲「東京サニーパーティ―」に関してはいかがでしょうか?
Gom:これまで「東京〜セッション」というキャラクターが会話するように歌う楽曲シリーズを作ってきたのですが、今回は「東京サニーパーティー」と少々タイトルを変えて、新たな試みをした曲となります。女の子の学生生活での友情、それぞれが好きなもの、思っていることをたくさん詰め込んで、わちゃわちゃしたパーティー感を意識して制作しました。
shito:アニメ本編の内容が決まってから歌詞を書いたので、ところどころ本編と繋がる部分があります。何故このキャラクターがこう歌っているのか、という匂わせが散りばめられているので、一言一言に注目して聴いてほしいですね。
ーーこちらもレコーディングには参加されましたか?
Gom:中村千鶴役・早見沙織さんのレコーディングに参加しました。その際、千鶴が歌う「ハッピーエンドで終わるでしょうか」という歌詞を「どんな気持ちで歌えばいいですか?」と聞かれたので、あまり重々しく歌わずに…と(笑)。コミカルな楽しい感じで大丈夫ですと伝えて、かわいらしく歌っていただけました。