アニメ『先輩がうざい後輩の話』のBlu-ray全4巻が好評発売中&絶賛再放送中! 五十嵐双葉役を演じる楠木ともりさんが「収録中&放送中は毎日楽しくなれたアニメ」──楠木さんのお気に入りエピソード3選は?
双葉は見た目はアニメっぽいけど人間味あふれる女の子。先輩の昇進を喜びつつ、複雑な心境になるところがリアル!?
――演じた双葉の第一印象と演じていく中で感じた変化や成長は?
楠木:双葉は表情がコロコロ変わるし、小さいので社会人には見えない見た目で、しかもリアクションが大きくて。ある意味アニメっぽくて、「現実にはなかなかいないタイプの子かも」という第一印象でした。
でも演じていくうちに、双葉のモノローグやいじらしさ、先輩から任せてもらえないことへのいらだち、大きなプレゼンを任せてもらえた時の喜び、仕事がうまくいった時の嬉しさなど、節々に人間味を感じたんです。
お芝居自体もナチュラルに双葉を演じていて、もちろんデフォルメしないといけない部分もありましたが、基本的には自然な会話を目指して、やり過ぎないようにバランスを見極めていました。
演じるたびに人間味を増しているように感じましたし、「もしかしたら、どこかにいるんじゃないかな?」と思えるようになって、「キャラクター」ではなく、「人間」の五十嵐双葉を演じている感覚でした。
――双葉は社会人2年目の自覚や責任感を感じている様子もありつつ、その見た目や反応のかわいさから先輩たちが愛でられるのもわかります。
楠木:その絶妙なバランスは、しろまんた先生のすごさだと思います。キャラクターもストーリーも、リアルとリアルではない理想的な部分のバランスがきれいだからこそ、読んでいても違和感がないんです。
身近なお話を描いてくれているけれど、たまに「私もこんな日々が過ごせたらいいな」と思うような理想が描かれているんですよね。
――双葉にとって一番わかりやすく変化が見られたのは先輩の武田との関係性や距離感かもしれませんね。風邪をひいた時に家に行ったり、クリスマスやバレンタインのプレゼントのエピソードとか。
楠木:私も見ていてドキドキしました(笑)。双葉が先輩を想う気持ちや先輩が双葉を想う気持ちはあるけれど、先輩後輩以上の強く思いやる気持ちもあって。作中で起こるイベントごとは理想的ですよね。みんなで仲良くバスケットをするだとか、なかなか現実にはないイベントだと思いますし。
でもそれだけではなく、最終話で武田先輩が出世した時に双葉がちょっとモヤっとした感情があって。好意から喜んでいるのかもしれないけれど、ずっと頼ってきて、一緒にやってきた先輩がちょっと離れていってしまうことへの不安や劣等感を感じてしまうところはリアルだなと思いました。
――武田のどこに双葉は惹かれたと思いますか?
楠木:節々で双葉を対等に見てくれている感じがあるからこそ惹かれたのかなと思います。双葉は子供扱いされたくないし、仕事を任されたいという年相応に見られたい気持ちが強くて。
先輩は双葉がピンチの時は助けてくれるけど、基本的には信頼して任せてくれるし、気持ちを尊重してくれるんですよね。変に先輩ぶらないところも素敵だなと思いました。
そんな先輩の素敵な面が出てきた時には、双葉は素直にモノローグでデレていたり、惹かれていたりする描写もあって。
あと双葉は言いたいことは素直に口に出してしまうタイプですが、「生意気な後輩だな」と一蹴せず、いったん受け止めて、なぜ怒っているのか考えてくれる心の広さもあるので、相性的にもいいのではないかなと思います。
その心の広さがあるからこそ、ガサツなところも許せてしまうんですよね。双葉は人に求めるものが大きいと思うけれど、違うベクトルに振り切れているから「もう、いいや」とか「そういう先輩だし」と許せちゃうのではないでしょうか。
こういう上司だったらいいなと思っている人も多いと思います。
――楠木さんが武田に魅力を感じるところは?
楠木:双葉を演じていたこともあって、いつも後輩としてではなく、「五十嵐双葉」としてちゃんと見て、接してくれているのがいいなと思います。一人ひとりをしっかり見ているからこそ、「コイツはこういうヤツだから」と言えるわけで、だから相手も信頼できるし、「ついていきたい」と思わせてくれるんじゃないかなと。
――武田が理想の先輩だとしたら、双葉も理想の後輩じゃないかと。仕事に対していつも前向きだし、双葉みたいな後輩がいたら、どんなにキツイ仕事も頑張れそうです。
楠木:仕事に対してやる気もあるし、自分の意思もしっかりありますよね。双葉も先輩も好きですし、理想の先輩・後輩かもしれないけれど、やっぱり二人の相性が大きいと思うんです。
もし武田のポジションが風間だったとしたら、うまくいかない気がします。意見がぶつかった時、風間が負けてしまいそうですし(笑)。武田だからこそ双葉を引っ張っていけるし、双葉だからこそ、先輩に甘えられる部分もあって。
私は会社員の経験がないので、「このキャラが先輩だったらいいな」とか「後輩だったらいいな」とか考えられなくて、「こんな時の双葉に先輩はこんなふうにしてくれるんだな」という2人のやり取りを見るのが好きで、いつも見ながら微笑ましく感じています。