『きんいろモザイク』クラウドファンディング企画[連載第4回] 『きんいろモザイクThank you!!』を作った監督の名和宗則さん、アニメーションプロデューサーの富岡哲也さんにインタビュー【後編】
『きんいろモザイクThank you!!』クラウドファンディング連載企画。今回の記事は、監督・名和宗則さんと、アニメーションプロデューサー・富岡哲也さんのインタビュー後編です。
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──そもそも、劇場版『きんいろモザイクThank you!!』の制作は、どうやって実現できたのでしょうか?
**富岡アニメプロデューサー(以下、富岡):作りたいという話はずっとあったのですが、『きんいろモザイク』以外の仕事も多くて、なかなか現場で時間を捻出できなかったんです。でも、どうしても作りたい……。なんとか調整して、今回の作品が完成しました。前作から時間があいてしまった部分は申し訳なかったですが、『きんいろモザイク』を完走できたのは嬉しかったです。
──原悠衣先生との打ち合わせは、どれくらい行われたのでしょうか?
富岡:僕たちは直接お会いしていませんが、芳文社の担当編集さんが僕たちの意見をまとめたものを先生に伝えてくださいました。そこで確認をいただいて、フィードバックをもらってアニメを制作しました。原悠衣先生の考えを脚本の綾奈ゆにこさんがしっかり取り入れてまとめてくださり、アニメに落とし込んでくださったのは名和監督です。
──先生からもらった意見で印象深い言葉はありますか?
富岡:1期のときに初めてお会いしたとき、「アニメ化してくれてありがとう」と、純粋に感謝の言葉を頂いたのを今でも覚えています。とても暖かで優しくて、なおかつ協力的な先生です。そんな先生からありがたい言葉を頂けて嬉しかったです。
──エンディングのラストカットに入る前、忍とアリスの笑顔ですが、すぐに決まったのでしょうか? 「あの笑顔が印象的でした」というメッセージがたくさん届いています。
名和宗則さん(以下、名和):すぐ決まったというか、自然とそうなった感じですね。ラストのシーンのイギリスに、陽子、綾、カレンもいましたが、この物語のスタートは忍とアリスから始まったので、締めくくりとしては自然にそうなったかなと思います。
──あのシーンを見た富岡さんの感想は?
富岡:イギリスパートは原作がまだなかったころに考えていたものだったので、頭とラストはイギリスがいいんじゃないかと、僕が言い出した記憶があります。
名和:イギリスでスタートして、イギリスで締めるのは、とてもきれいでしたね。
富岡:自分はイギリスに行って現地を見ているので、劇場版『きんいろモザイクThank you!!』でもイギリスを描きたいなと思っていたんです。あのイギリスで、ちょっと未来の忍たちが見られたのがよかったなと思っています。
──最後の名場面が次々に出てくるシーンは誰のアイデアでしたか?
富岡:あれは大変でしたねぇ(笑)。
名和:元々はRhodanthe*のエンディング曲は決まっていたのですが、イギリスの第二の国歌と言われている「Land of Hope and Glory(希望と栄光の国/威風堂々)」で閉めたいので、曲を二段構えのエンディングにしたいとお話が出てきたんです。
富岡:それを聞いて我々は「さて、どうしようか?」ってね。いろいろ検討した結果、あのようなエンディングになりました。
──そのエンディングでは、名場面が次々と出てきました。あのシーンも特徴的でした。
名和:あのシーンのアイデアも、他のスタッフさんからいただきました。自分のなかではRhodanthe*のアイデアしか考えていなかったからです。
富岡:でも、どのカットを採用するかは名和監督が選びましたよね?
名和:はい。仕事が増えました(笑)。尺が埋まるように一旦は僕の方でカットを選びましたが、実際に使うカットは曲に合わせたテンポ感とかを鑑みて、編集の武宮さんに選んでもらいました。とてもいい感じにつなげてくださったので、あの部分は自分と武宮さんの共同作業で作った感じです。
──膨大な素材のなかからカットを選ぶのは時間がかかりそうです。
名和:そうですね。素材を渡すだけでも大変でしたよね?
富岡:はい。だって全シリーズから、不公平のないように平均的にカットを選んで……。
名和:それぞれの話数の印象深い場所を選んで、この絵を見たら「これは何話だな」とわかるようなチョイスをしたつもりではあります。
富岡:だいたい一話につき10~15カットくらい選びましたよね? 意外なことに『Pretty Days』がチョイスに悩みました。それとは反対に、名和監督の話数からはたくさん拾った気がします。
名和:水着のカットとかね。
富岡:あれねぇ、実は忍だけなかったんです。後日、それを見た西明日香さんから「私がいない!」と言われましたよ。
一同:(笑)
富岡:なぜ忍だけいないかと言うと、忍の海のシーンは水着じゃないんです。重そうな服を着て、波に飲み込まれてましたから(笑)。その後もずっと日陰で座っていたので、水着の絵はほとんど作っていなかったんです。
──劇場版『きんいろモザイクThank you!!』でロケハンはされましたか?
富岡:京都と奈良は取材しましたけど、イギリスへのロケハンはできませんでした。なので、イギリスは1期のときに撮影した写真を活用しました。いままでのシリーズで使っていない大量の写真の中から、どの写真を使うかは副監督の山本天志さんと何度も打ち合わせをして選びました。
──たくさん撮影したので、未使用の写真がたくさんありそうです。
富岡:せっかくなら今まで使っていないシーンを使ってみたいという気持ちがあったので、新しい写真を探しました。アリスの家の裏とか、洗濯物が干されているカットがあったと思うのですが、そのようなシーンですね。
──当時、建物の裏も撮影していたから実現できたのですか。
富岡:そうです。ロケハンでは、とりあえず何でも撮影しておくことが重要なんです。そのシーンで言うと、アリスの家の庭にある木に花が咲いていたので、植物の種類を知りたくて通訳の井上くんに頼んで現地に電話をしてもらったんです。
──花をリアルに描くためですか?
富岡:はい。なのに「なんの木ですか?」と聞いたら、返事は「木じゃないです」だったんです。よくよく聞いたら、街灯に葉っぱをくっつけて、木のようにみせかけてるだけでした。それを聞いてビックリしましたよ。木に咲いている花だと思っていたものが、まさかの街灯だったとは。
一同:(笑)
──おそらくファンのみなさんも、木だと思っているはずです。
富岡:なので、実は劇場版『きんいろモザイクThank you!!』でも「街灯に見える木」のシーンを使う予定でしたが、急きょ洗濯物のシーンに作り変えました。いまさらですが、テレビシリーズで描かれていた木のように見えるモノは、街灯として描いています!
──どう見ても木だと思いますが……(笑)。
富岡:いや、木のような街灯です。みなさん、お間違えのないようにお願いします!(笑)