アニメやドラマにはない観客にとって嬉しい演出も!? それぞれのチームでまったく違う色が楽しめる舞台『NIGHT HEAD 2041-THE STAGE-』霧原直人役・猪野広樹さん&鍵本 輝さんWキャストインタビュー
“鋭い”TEAM WHITEと“柔らかい”TEAM BLACK
――お二人が演じる“霧原直人”について、どのような人物だと思いましたか?
鍵本:霧原直人と僕自身は真逆というか、僕から遠い存在のように感じます。どちらかというと、僕はめっちゃ明るい人なんです。
猪野:(力強く)うんうん!
鍵本:めちゃくちゃ明るいし、ふざけて言いたい人なんです(笑)。鍵本家の中で1番下ですし、20年俳優をやってきましたが、事務所の中でも割とずっと末っ子だったので「兄貴って何なんだろう?」と。
猪野:俺からしたら、ずっと“兄貴”ですよ?
鍵本:ありがとう(笑)。自分では"兄貴”というものがよく分からなくて、でも今回のカンパニーの中では僕が上のほうになってしまっているので「兄貴としてこの子たちを愛してみよう」と形から入ったんです。そしたら、「鍵本さん、帰り車に乗せてくださいよ~」と調子に乗り始めました(笑)。
猪野:結局、送っているんですね!
鍵本:送ってる送ってる! 特に、霧原直也は弟なのでもっと仲良くなりたいなと思っていましたし、原作でも一緒に車に乗っているシーンもあるので、そういうところから“兄弟”を紐解いていきました。
そうしたら弟の直也が稽古の時間は終わっているのに、まだ僕が稽古をやっているからと1時間待って「鍵本さんっ、一緒に帰るために待っていましたよ」と言ってくるんです。「可愛いな~」と思いました(笑)。
猪野:優しいなぁ~。
鍵本:そういうところで弟への愛というか、下の子たちの愛が生まれてきて「こういうことなのか!」と。普段からいろいろと実践して兄弟愛を学ぶようにしています。とはいえ、霧原直人は怖いというかクールなので、自分に寄せていくというよりも霧原直人に自分が近づいていかなきゃいけないなと。そこはまだスパイラルに陥っています。
猪野:僕は結構霧原直人に似ている気がします。
鍵本:本当にすごい似てる!
猪野:(車に)乗せてって言われても乗せる気はありません(笑)。
鍵本:あはははは(笑)。
猪野:僕は霧原直人に対してクールとかクールじゃないというよりも、世の中に対する不満を常に持っている感じがして、そこは僕と同じなのかもしれません。僕から見たら、それを表に出さないようにしようとしているけど出ちゃうのが霧原直人なのかなと。僕も顔に出てしまうので、そこら辺は似ているんだろうなと思います。
鍵本:うんうん。俯瞰で猪野くんの霧原直人を見ていると、立っているだけでも直人なんです。それがすごいなぁと思って見ていました。
猪野:ただ“疲れたなぁ~”と思いながら立っているだけです(笑)。
鍵本:じゃあ僕も“疲れた~”と思っている顔をしておけば霧原直人になれるのかな?
猪野:なれます! 霧原直人っぽい雰囲気になりますよ!
鍵本:よっしゃ! 良いことを教えてもらった(笑)。
一同:(笑)
――また、霧原直人といえば弟愛です。猪野さんは横田龍儀さん、鍵本さんは大崎捺希さんが弟役の霧原直人を演じますが、それぞれの印象をお聞かせください。
猪野:龍儀は弟感があるんですけど意外と歳は1つしか変わらないので、“可愛い”の賞味期限は切れていると思います。本人にも「可愛いの賞味期限は過ぎているからね!」と言いました(笑)。
鍵本:あはははは!
猪野:でも、お互いに信頼はありますし、彼のお芝居は大好きなので、そこまで深く関わろうとしなくても関係性は必然的に出来上がりそうな気がします。何を大事にすればいいかはお互いに分かっていると思うので、そこの共有だけできていればうまくいけるんじゃないかなと。見るもの、感じなきゃいけないものとイメージが一緒であれば良いかなと思っています。
鍵本:捺希は僕からしたらマスコットのような、小動物のような愛でたい存在です。いつも何のキャラクターか分からない変なTシャツを着ていて可愛いんですよ。
猪野:どちらかというと、捺希のほうが弟っぽいですよね。
鍵本:そうだね! いつも車の助手席に捺希が乗ってくるんですけど、それがすごく可愛くて。翌日の稽古場で「輝さんにはお世話になっているんで」とセブンイレブンのクロワッサンをもらったんですけど、最大限の感謝がクロワッサンなところも可愛いな~と思いました。
猪野:やっすいですねぇ~(笑)
鍵本:あはははは(笑)。でも、彼にとって最大限の感謝がクロワッサンというのか可愛い過ぎてキュンとしちゃいました。それだけ、何をしててもすごく可愛いんです。これからどのようにブラッシュアップされていくのかはまだ分かりませんが、TEAM BLACKとTEAM WHITEでだいぶ性格が違うなって思いました。
猪野:それが面白いですよね。その人が何を大事にしているのかが分かるので、ぜひ両方のTEAMの『NIGHT HEAD』を見てほしいです。
――おそらく、楽しみにしている方も両チームで描く『NIGHT HEAD』に期待を寄せている方は多いと思いますが、それぞれのチームではどのような“色”が出ると思いますか?
鍵本:僕が思うに、猪野くんのTEAM WHITEは全体的に鋭い感じで訴えかけてくる感じがします。猪野くんも黒木タクヤ役の曽野くんもそうですが、お芝居が鋭いので良い意味で緊張感があるチームだなと。
逆に、TEAM BLACK は僕がこういう感じなのでマイルドな感じです。捺希もポヤポヤしているタイプですし、黒木兄弟の瑠生くんと矢部くんもしっかりしているんですけど、どちらかというとふわふわしているので全体的に柔らかさのある『NIGHT HEAD』なのかなと思います。
猪野:お客さんに愛されるのはTEAM BLACKのような気がします。
――そのように感じる理由は?
猪野:結末は言えないですけど、最後は優しい話に落ち着くので。たぶん、僕らに足りないのはそこだと思います。
鍵本:それでちょっと面白いなと思ったのが、TEAM BLACKとTEAM WHITEでちょっとセリフが違うんです。瑠生くんが演じるタクヤが可愛らしい面がありすぎるからと、“兄貴”というフレーズの言い回しがちょっと変わっています。
猪野:へぇ~! そうやって台本をいじるのも面白いですよね。
鍵本:うんうん。瑠生くんが演じるからこそできる言い回しが良いと加古さんが判断しました。すごく柔軟なカンパニーだと思います。
猪野:僕は輝くんとは真逆で“虎”のような感じなので、どういう感じになるのか自分でも分かりません。稽古を重ねながら、みんなで作り上げていきたいと思います。
――SF要素も詰まっている『NIGHT HEAD』世界観がどのように表現されるのか、演出方法も気になっている方はたくさんいらっしゃると思います。
鍵本:単純に、アクションシーンは見応えがあると思います。今回は映像もあると聞いていますが、どこまでのクオリティになるのか、どういう映像になるのかはまだ分かりません。
でも今回、舞台はアナログとデジタルの融合だと思いました。超能力をアナログに表現しつつ、そこにデジタルな部分が乗っかる。さらに、劇場がシアターGロッソということで奈落も利用できるんです。普段の劇場だと見られないような、ちょっとドキドキするシーンもあります。
それを生身の人間がやるので観劇される皆さんも見ていてハラハラできると思いますし、劇場と作品の良いところが噛み合っているので、そこが見どころです。
猪野:割と舞台セット自体はシンプルになっていますが、“数で勝負”みたいな要素があります。輝くんが言っていたようにGロッソだからできることもあれば、まさにそこで起きることが感じられるライブ感が強くあるんじゃないかなと思います。
鍵本:あと思ったのが「このご時世でその演出をするんだ!」と。
猪野:あ〜確かに! 僕も「マジか!」と思いました。
鍵本:“劇場全体で表現している”というヒントだけ残しておきたいと思います。お客さんにとっては嬉しい瞬間になるんじゃないでしょうか。ドラマ、アニメ、小説では伝わってこない“嗅覚”という部分でも楽しめると思います。
――それはすごく楽しみです! これはもう1ミリたりとも目が離せなくなりますね。
鍵本:たぶん寝たらもうついてこれなくなるよね。
猪野:はい! 寝たら無理だと思います!
一同:(笑)
猪野:舞台に集中してもらえるかは自分たち次第というところもありますし、確かに眠気が来てしまうほど難しい部分もあります。でも、集中力を切らさずに観てもらえるか、そこも僕たちの課題です。