音楽
J-POPヒットソングを豪華男性声優がカバーする新シリーズ[Re:collection] 鈴木崚汰インタビュー

豪華男性声優30名によるJ-POPヒットソングカバーアルバム[Re:collection]シリーズで「魔法の絨毯」を歌う鈴木崚汰さんインタビュー|「歌はお芝居に通じるところもあるので、感情、言葉を大切にして歌いたいなと」

言葉がしっかりと届くように

──「魔法の絨毯」は2018年リリース。その後、TikTokを中心にヒットしたラブソングです。鈴木さんは聴かれていました?

鈴木:流行っているのでなんとなく知っていたり、聴いていたりしましたけど、正直ガッツリは聴いてなかったんです。今回アルバムに参加させていただくにあたって、改めてちゃんと聴きました。

──改めて聴いたときはどのような印象がありますか?

鈴木:「魔法の絨毯」の主人公って、野暮な話、何もないじゃないですか(笑)。

──そうですね(笑)。実際に<お金もないし、力もないし、地位も名誉もない>という歌詞がありますし。

鈴木:でも<君を守りたいんだ>という、素直な気持ちがちゃんとあって。それがまっすぐに届きました。良い歌だなって。

 

──なにもないけどピュアな思いがあるという意味では、尾崎豊さんの楽曲にも通ずるところがあるように思います。実際に川崎さんはザ・コンティニューズのたいせーさん&るーかさんとのコラボレーションで、尾崎豊さんの「I LOVE YOU」をカバーされていますし。

鈴木:そうですね。川崎さんの歌い方自体も情感たっぷりですし、アコギの弾き語りですし。

──鈴木さんもアコギを弾かれるんですよね?

鈴木:……って、事務所のプロフィールに書いてあるんですけど、2年前に上京したときに実家にアコギを置いてきてしまったんです。しかも実家を出る前も触ったくらいで、めちゃくちゃ曲を弾けるとかそういうわけではなくて(笑)。だから残念ながら、アコギは弾けません。申し訳ないです(笑)。

──でも基本的な知識はあるから、弾こうと思ったら弾ける?

鈴木:(即答で)無理だと思います! コードくらいは押さえられるんですけど、メロディにはならないですね。一生懸命練習しないと。

──今回の曲をもらったときに、ご自宅でアコギを弾かれながら練習したのかな、なんて想像していました(笑)。

鈴木:それは残念ながら(笑)。でもせっかく声優の僕が歌えるのであれば、本家と差別化できたらなと思いながら練習していました。歌はお芝居に通じるところもあるので、感情を意識して、言葉を大切にしたいなと。だからテンポやメロディはそこまでこだわらず感情のままに歌っています。

──めちゃくちゃズレてるとはまったく感じなかったんですけど、少しズラしている感じがあって。

鈴木:そうですね。ちょっと遅れて歌ったところもあります。

──レコーディングはいかがでしたか?

鈴木:歌うこと自体が好きなので楽しかったです。去年くらいからレコーディングのお仕事も増えてきているので、スムーズに歌えたと思います。ただ、既存の歌を歌うというのは、少しプレッシャーはありました。

──元の曲をリスペクトしつつ、自分のカラーも出さなければいけないですもんね。そのバランスがカバーの難しいところだと思います。

鈴木:そうなんですよね。今まではカラオケでしか歌ってないので、既存の曲を歌うとなると、どこかモノマネになっちゃうんです。というのも「そのアーティストさんが歌いやすいトーンで歌ってるわけだから、それをマネたら声が出るじゃん!」って思っているところがあって。例えばMr.Childrenさんの桜井さんの、ちょっと喉に引っかる感じとかも、意外とマネするとすんなり出たことがあったんですよね。

──それはさすが鈴木さんというか。普通の人と言ったら語弊がありますけど、少なからず私はマネしたところでその声はすんなり出ないです(笑)。じゃあ、モノマネにならないためには……。

鈴木:自分らしさを出さないとなと。でも「自分らしさってなんだろう?」って考えましたね。

──その答えはでました?

鈴木:結局全然分からないですね。まだ掴めないです。

──レコーディングでディレクションはあったんです?

鈴木:どうだったかなぁ。音程のリクエストはあったんですけど、だいたい呑んでもらえたかなという感じがあります。面白いエピソードがなくてすみません(笑)。

 

──相手が望まれるもの、それ以上のものを鈴木さんが持っていっているんだろうなと思っていました。鈴木さんとしては、今回の曲でどんなところを楽しんでもらいたいですか?

鈴木:Aメロでは、ぽつりぽつりとつぶやくような雰囲気を出させてもらっていて。歌というよりも、言葉として届けているところが多いので、そういう部分が聴いたくれた人の心にスッと溶けていったらなという気持ちはあります。声優さんは一音、一音はっきり歌われるイメージがあって。僕もそういうふうに歌えたんじゃないかなと。

──ご自身がカバーした「魔法の絨毯」を改めて聴いたときはどのような印象がありました?

鈴木:巧いなぁと思いました。いや、それは冗談ですけど(笑)。これまではキャラクターソングが多かったので、キャラクターには寄り添わずに「好きなように歌ってるなぁ、伸び伸び歌ってるなぁ」という印象がありました。弾き語りって格好いいですよね。レコーディングのときは、仮の音を使っていたんです。だから完成したときに「すごい雰囲気が出てるな」と思いました。

本シリーズで鈴木さんが気になっている曲は……

──本シリーズの中で気になる曲はありますか?

鈴木:玉置浩二さんの「田園」カバーですかね(カバー:岸尾だいすけ)。「田園」のカバーってあまり聴いたことがないので楽しみです。2000年、2010年の曲はド世代になるので、弊社の先輩の梶(裕貴)さんが歌う「雪の華」(原曲:中島美嘉)も気になります。男性目線の「雪の華」って気になりますね。「キセキ」( Vocal:千葉翔也、原曲:GReeeeN)はキーの高い曲なので、どのように歌うのか楽しみです。

キーと言えば、「夜に駆ける」(Vocal:山下誠一郎、原曲:YOASOBI)、「白日」(Vocal:榊原優希、原曲:King Gnu)はもともとの曲が難しいので気になります。令和式の曲で。おふたりなら大丈夫でしょうけど。

──『Re:collection』シリーズの第二弾があったらチャレンジしたい曲はありますか?

鈴木:それこそ尾崎さんの曲や、Mr.Childrenを歌ってみたいですね。「I LOVE YOU」だとちょっと恥ずかしくなっちゃいますけど(笑)。

──聴いてみたい! ところで、Mr.Childrenの曲だと何年代になるんですかね?

鈴木:確かに! それぞれの時代にヒット曲があるから。僕は「足音 ~Be Strong」がすごく好きです。

──そしたら2010年代になりますね。

鈴木:そうですね。でも「シーソーゲーム」(1995年)も好きです。

 

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