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志倉千代丸が語る現在のアニメ界、そして未来のアニメ界の行く道は?

科学アドベンチャーシリーズ最新作『アノニマス・コード』発売記念:志倉千代丸さんインタビュー前編|現在のアニメ界、そして未来のアニメ界の行く道は?

「人間が作ったものなら自分にもできるはず」のマインド。アニソン好きが高じた企画『ファミソン』も大好評!

――そしてゲームやアニメの原作や小説家としても活躍されていますが。

志倉: 僕はクリエイティブしたい欲が強いんです。とにかく人に届けたいという想いがあって、今でも忘れられないのが、まだ実家暮らしだった時に、僕が作った『爆走デコトラ伝説』の曲を歌いながら歩いている子供の声が外から聞こえてきたあの時はとても嬉しかったですね。ゲームで遊んだり、音楽を聴いて楽しむより、ゲームや音楽を作るほうが楽しいことを早くから知ってしまい、今でも作ることが楽しいですし、小説もよく読むけれど書いている時のほうが楽しいですし、冒頭のマジックの話じゃありませんが、それを披露した時に喜んだり驚いたりしていただけるのがなにより楽しいです。

――子供の頃から多趣味だった志倉さんは、アニメはご覧になっていたんですか?

志倉:よく見ていました。高校生になるまでは好きなアニメの主題歌はほとんど歌詞なしで歌えるくらいでした。昔のアニソンが大好きすぎて、アニソンを新たな切り口で楽しんでもらう『ファミソン』という企画も立ち上げました。

『ファミソン』とは、楽曲をファミコン音源風にアレンジしたもので、音数が今ほど多くないので、かわいいんですよね。桃井はるこさん(momo-i名義)で『ファミソン8BIT』というアニソンカバーアルバムを2枚リリースしました。この2枚は特にお気に入りで、その後『アイドルマスター』のキャラがオールドゲームのBGMに『アイドルマスター』の曲の歌詞をのせた曲などを収録した『ファミソン8BIT☆アイドルマスター』にもつながりました。

 

――いろいろなことに興味を持って、それをすべて具現化し、しっかりと商業化できているのはすごいですね。

志倉:僕は究極の勘違い野郎なんです(笑)。すごくいい曲や作品に触れた時、「これは人間が作ったものだから僕にもできるんじゃないか?」と思ってしまう性質で、勢いでヴァイオリンを買ってやってみたもののすぐ放棄しちゃったり、縦笛が得意だったのでフルートを吹こうとしたら、やっぱりできなくて(笑)。

そんな失敗もありましたが、本を書いたり、音楽を作ることはうまくいきました。音楽の授業なんてまともに聞いたことがなかったのに音楽専門学校の講師も2クラス数年担当しました。僕は授業が始まる前に、生徒が一番喜ぶ「自習」の2文字をホワイトボードに書くということもよくやっていました。どういうことかというと、生徒には「曲ができたら挙手して。聴きに行くから」と伝えて、自分が好きな音楽を作っていい時間を「自習」として設定していました。そうすると、彼らは時々とんでもない曲を作ってきて、「もしかしたら天才?」と思ったこともありました。教え子だった生徒の1人はうちの会社に入社して、ディレクターとして頑張っています。

エンタメの海外進出に立ちふさがる「言葉の壁」。海外を意識し過ぎず、自分がやりたいこと&日本のユーザーが喜ぶものを

――ここ数年のエンタメ界の変化をどのように感じていますか?

志倉:アニメとゲームに絞るとすれば、発明したのは日本だけど、うまく利用するのは海外という傾向がここ15、6年続いている気がします。コンシューマーゲームに関しては同じマシンで動いているにも関わらず、その発想やおもしろさの差に驚かされることがよくあります。

ゲームはスペックとの戦いがなくなり、ソフトウェアの進化もあり、以前ならば神級のプログラマーでなければできなかったこともできるようになりました。それなのに、なぜ日本から世界に通用するゲームがあまり出てこないのかと考え、思い至った要因のひとつが「言葉の壁」です。クリエイター個人単位でいえば、自分のやりたいことやおもしろいと思うことを世界の市場に向けて英語でプレゼンしたり、表現することができる人が少ないのではないかなと。とはいえ、日本語による思考は日本独特のものが生まれるメリットもあって、その共存関係はゲームやアニメ界で続いていくと思うのですが、ゲームで世界と戦おうと思った場合、予算規模が違いすぎるのでアイデアで勝負するしかなく、そのうえで「言葉の壁」を越える環境が必要なのだろうと思います。

アニメでも、欧米はCGが主流ということでモーションキャプチャーを用いていますが、日本ではゲーム以外だとまだ少ないですよね。もし日本のやり方を莫大な予算規模で真似されてしまうと負けるかもしれない。だからといって「世界でも通用するものを」と海外を意識しすぎるのも、中途半端になって、日本の良さがなくなってしまうからダメだと思っています。

もちろん最初から海外を視野に入れ、実際に人気を得て成功されているクリエイターの方もいますが、日本をターゲットとし、日本の人が喜んでくれるものを作ることは大切です。日本のアニメは「ジャパニメーション」と呼ばれて人気がありますし、日本のファンに受けていることで海外のアニメファンも注目もされています。だから僕は市場規模を意識せず、作りたいものを作らせていただいています。

新しい技術で効率化を高めることが素晴らしいアニメの増加へ

――日本のアニメは手描きや2Dがいまだに主流で、この手間暇をかけたやり方は海外ではマネできないし、職人芸の領域で世界に誇れるものだと思います。

志倉:日本から中国に行って活躍されているアニメクリエイターの方もいますが、中国でもCGアニメが増えてきている気がします。

またクリエイティブの現場は変化が求められています。今はTV放送だけでなく、配信でアニメを見られることが多くなったし、音楽などサブスクが全盛になってきて。制作費も上がっている中で、何かしなければいけないと思って、3Dスタジオを作りました。

日本のアニメも3D作品が多くなりましたが、キャスト自身がモーションキャプチャーも演じて、2Dっぽく見せるような2Dレンダリングが主流になってもいいんじゃないかと。実際にそのような流れもありますし、西川貴教さんをプロデューサーにお迎えして進めている弊社の『B-PROJECT』でも同じ仕組みを起用しています。現状を危惧しつつも、僕が好きだった日本のアニメの良さは変えず、新しいテクノロジーを利用して効率を上げられれば、もっと世に素晴らしいアニメが出てくると思うんです。

僕の作品は、コミカライズやノベライズ、ドラマCD化していただける機会がありがたいことに多々ありますが、やっぱりアニメ化すると嬉しいですね。例えば小説を書いている時も頭の中でアニメが動いていますし、今回発売するゲーム『アノニマス・コード』では、これまでのアドベンチャーゲーム以上に動いているのですが、立ち絵では限界があるので動的なコミックを使った演出をしています。これもアニメへの憧れが根源にあってのものです。

僕はアニメを見て育ってきて、アニメが一番多くの人々に見てもらえ、驚いてもらえて、且つ、わかりやすく入ってくるものだと思っています。加えて言うならヒットした時に一番業界の人にモテるんじゃないかと(笑)。

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