科学アドベンチャーシリーズ最新作『アノニマス・コード』発売記念:志倉千代丸さんインタビュー前編|現在のアニメ界、そして未来のアニメ界の行く道は?
アニメ界は大きな分岐点へ。今後も自分の作りたいものを求めてトライ&エラーは続く
――そんな志倉さんが今、一番興味があることは?
志倉:環境的には民放局がネットで同時配信を始めるなど今、大きく何かが変わろうとしているタイミングが来ています。新たな配信用スタジオも作ったことですし、ネットワーク配信に関しても何かできないかなと思っています。YouTubeを鎖国したら、Amebaさんみたいなところも増えると思うんですよね。なんて言っている僕も昨日、YouTubeに動画を上げていたわけですけど(笑)。
自分の作品がアニメになるなんて、昔は考えもしていませんでした。これまで僕が手掛けた「科学アドベンチャーシリーズ」の作品は、これから発売される『アノニマス・コード』以外、すべてアニメ化していただけたことはありがたいことです。
この大きな分岐点でアニメは効率性も含めてどんな進化をするのか。そのためにもいろいろ試していかないといけないと思っています。アクション俳優がモーションキャプチャーと声優をやって、それをベースにして作る2Dレンダリングでアニメを作ったとしても手直しはかなり必要なので、それなら最初から2Dで描いたほうがいいという結論になるのかもしれません。ですが、試行錯誤を繰り返すことで、技術の進化が進めばアニメ化のハードルも下がって、日本から発信できるアニメがもっと増えていくと思います。僕の作品もアニメにしていただけるんじゃないかという期待も込めて(笑)。
アニメやゲームなどエンタメ界の事情は目まぐるしく変わっていき、大人の事情も仕様の1つではありますが、とにかくモノ作りをしたいというマインドは人一倍強いので、今後もトライ&エラーで続けていくつもりです。
これまでの「科学アドベンチャーシリーズ」はすべてアニメに。新作ゲーム『アノニマス・コード』のアニメ化は?
――アニメ化への想いが強い志倉さんですが、これから発売される『アノニマス・コード』もいつかはアニメ化も?
志倉:ありがとうございます。でも『アノニマス・コード』は、主人公とプレイヤーが協力してクリアしてゆくのが醍醐味のメタ的なゲームシステムであるため、アニメ化が非常に難しい仕組みになっているんです。「『アノニマス・コード』に出てこない視聴者くんが『アノニマス・コード』のアニメを見ているのはどうだろう?」と提案したら社員やスタッフが「はっ!? メタのメタですか?」とみんな首を傾げていましたけど(笑)。アドベンチャーゲームの特性を活かし過ぎてアニメにできないケースはこれまでもありました。例えば『Ever17』というゲームはアニメ化の話が何度もありましたが、途中で「やっぱり無理だ」と断念せざるを得ませんでした。形にならなかったり、失敗することもあるけれど、チャレンジを続けることが僕の生きている意味だと思うので、『アノニマス・コード』はどうにかアニメ化したいと思っていますが……。
ともあれ、『アノニマス・コード』のゲームは時間がかかりましたけれど、おかげさまでようやく発売までたどり着きました。アニメイトタイムズ読者の皆さんには、アニメ化できないってどんなゲームだろう?とプレイして確かめていただきつつ、アニメ化のお知らせを楽しみにしていていただければ嬉しいです。
――貴重なお話ありがとうございました。では志倉さんの最新作『アノニマス・コード』については次回、じっくりご紹介をお願いします。
志倉:よろしくお願いします。
【後編へ続く】
Nintendo Switch/PlayStation 4『アノニマス・コード』
2022年7月28日発売
通常版 8,580円(税込)
限定版 11,880円(税込)
ダウンロード版
『アノニマス・コード』主題歌集
2022年7月29日発売
1,980円(税込)
発売元:MAGES.