実際はどんな神様!? 『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』女神・男神大図鑑! #11|オラリオを癒やす、心優しき“男神”・ミアハ編
シリーズ累計発行部数が1200万部を突破した、大人気小説『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』(原作:大森藤ノ イラスト:ヤスダスズヒト GA文庫/SBクリエイティブ刊/通称ダンまち)。
2022年7月22日より最新TVアニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ 新章 迷宮篇』が放送中です!
盛り上がりを見せる『ダンまち』ですが、作品の鍵となる存在はやはり「個性豊かな神々」ではないでしょうか。
アニメイトタイムズでは、本作に登場する神々が、実際にはどんな神様なのか紹介する連載を実施中です。
実際に世界中で語り継がれている神話の神々との関連性や、劇中でのエピソード、ファミリアの情報などを解説!
第11回目はケルト神話に登場する「神・ミアハ」。神々の事を知って、『ダンまち』をより楽しく鑑賞してみませんか!?
◆『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ 新章 迷宮篇』キャスト連載メールインタビューはこちら
ケルト神話とは?
アイルランドなどを中心に、ヨーロッパを生活圏としていた「ケルト人」によって語り継がれていた神話。
膨大な資料が残されており、中でもアイルランドやウェールズに残されているものがメジャーなものです。しかし書物によって書かれている事はバラバラで矛盾を含むものも。これは神話あるあるですが、例によってケルト神話も口伝された物語であるからです。
ケルト人は豪快で気性が荒く、戦闘を得意とする民族で、中央アジアをルーツとし、戦いと支配を繰り返しながらヨーロッパなどに勢力を伸ばしていったとされています。しかしローマ帝国が力をつけ、ケルト人は徐々に追いやられていきます。
ローマ人から「蛮族」と呼ばれていた彼らですが、ケルト神話を読み解いてみると、言葉や自然を大事にする一面も。
ケルト人は独自の言語を持っていたのですが、言葉を神聖なものと捉えていたのか、神話を書き残す事はしなかったようです。ケルト神話は、詩人や神官たちが丁寧に語り継いでいった物語といえます。
彼らの物語や民族精神を推察する手がかりは、敵であるローマ人が記録したメモや、キリスト教の宣教師たちが残したテキスト、アイルランドなど島国であるおかげで偶然残った書物などにしか残されていません。
勇ましい姿と、言葉や自然を大切にするギャップ、残された謎がケルト神話やケルト人たちの魅力ではないでしょうか。
医術のエキスパート・ミアハ
ミアハはケルト神話の「神話物語群」と呼ばれる一連の書物に登場する、医術に長けた神様です。『ダンまち』に登場するミアハも、薬草などを用いてオラリオの薬屋さんとして活躍しています。
「神話物語郡」では、アイルランド島での神々や先住民族たちの戦いの様子が書かれており、ミアハはトゥアハ・デ・ダナン族というケルト人たちがアイルランドにやってくる前に住んでいた神族の1人とされています。(この一族は先住民族の人間たちとも言われる)
トゥアハ・デ・ダナン族は「祖神ダヌの子孫」という意味であり、祖となる女神・ダヌが存在し、その息子たちを中心として生活していたようです。
ミアハの父であり、医療の師匠でもあるディアンケヒトも、女神・ダヌの息子の1人として活躍しています。
父と共に一族を救うミアハ
ダヌの息子の1人であるヌアザという神は、非常に能力が高く、一族のリーダー、指導者として活躍していました。
彼の指揮のお陰で一族は大きな戦争に勝利しますが、ヌアザは片腕を失ってしまいます。トゥアハ族の掟には、「体がどこか欠損していると王になってはいけない」というものがあり、彼の腕を治療するためにミアハとディアンケヒトたちが向かいます。
ミアハたちは魔法や薬草知識、鍛冶などに長けており、それを使って人々を治療していたようです。
ヌアザの件はディアンケヒトが銀の義手を創る事で解決し、ヌアザは無事王座に戻ることができました。
ミアハも父のサポートをしながら、素晴らしい後継者として育っていくのでした。
非業の死を遂げるミアハ
頼りになる存在として、仕事をこなしていたミアハ。しかしある時、治したはずの指導者・ヌアザの体調が悪くなったとの報を受けます。
ミアハは弟を連れてヌアザの診察へ。診察の結果、ヌアザ衰弱の原因は、父の作った義手の中に虫が巣食っている事だと判明します。
そこでミアハは、埋葬されていたヌアザの腕を掘り返させて、魔法によって腕を元につなげてしまうのです。(諸説あり)
素晴らしい魔法の実力を見せたミアハですが、父・ディアンケヒトはメンツが潰されたと激怒。ミアハに4度も剣を振りかざし殺害してしまうのです。ミアハは3回目までは傷を自分で治療し必死に抵抗しますが、ディアンケヒトは4回目でミアハの脳髄を切断し、治療できなくなったことで命を落としたとされています。
ミアハの死を悲しんだ弟が彼を埋葬すると、そこから365種に渡る薬草が芽生えたそうです。
その薬草たちは、調合によって不老不死になることができるほどのものだったのですが、ディアンケヒトが世界中に撒き散らしてしまい、薬が作られることはありませんでした。
オラリオを支える医術の神 『ダンまち』におけるミアハ(CV:古川慎)
タケミカヅチ、ヘスティア同様、零細ファミリアを運営するミアハ。主に回復系のアイテムを販売する、商業系のファミリアであるミアハ・ファミリアの主神です。
青い髪に長身、切れ長の目を持つイケメンで、タケミカヅチに並ぶモテ男神。ファミリアの利益や自分の苦労など顧みず、困っている人間に優しくし、薬品などを分け与えているため多くの人々から愛される神様です。
眷族・ナァーザとの関係
ミアハ・ファミリアは、元々は運営も順風満帆で、それなりに大きな規模のファミリアでした。しかし、眷族であるナァーザ・エリスイスエリスリスがモンスターに襲われ重症を負ってしまった事件をきっかけに、現在のような小規模なファミリアになってしまいます。
ナァーザは上記で紹介したケルト神話に登場する神・ヌアザが元ネタで、『ダンまち』の世界でも腕を失ってしまい、ディアンケヒト・ファミリアに義手を作ってもらっています。
その義手がかなり高額で、ミアハ・ファミリアは莫大な借金を背負うことに。ファミリアの状況が苦しくなっていくたびにメンバー達がやめていき、ナァーザのみが残って、ファミリアを運営しています。(現在は元アポロン・ファミリアのダフネ、カサンドラもミアハ・ファミリアに改宗(コンバージョン)している)
ミアハとナァーザの結びつきは非常に強く、主神と眷族という関係を超えたものになっています。
ミアハ・ファミリア メンバー紹介
ナァーザ・エリスリス(CV:葉山いくみ)
18歳
ミアハ・ファミリア 団長
Lv.2
二つ名:医神の忠犬(ミーヤル・ハウンド)
種族:犬人(シアンスロープ)
魔法:ダルヴ・ダオル
ミアハ・ファミリア団長。モンスターに襲われたトラウマからダンジョン探索に参加できず、ミアハと共に薬剤師として働く。
ミアハの事を愛しており、二つ名の通り彼との絆は深い。
■スキル・魔法について
ダルヴ・ダオル……効果など詳細は不明だが、ケルト神話にて神・ヌアザの義手にいた虫が元ネタとされる。
参考
「ケルト神話 (Truth In Fantasy 85)(池上 正太)」新紀元社
「世界の神話大図鑑(フィリップ・ウィルキンソンほか 林 啓恵(翻訳) 飯原 裕美(翻訳))三省堂
「面白いほどよくわかるケルト神話: スラスラ読めて一気にわかる神々の物語 ミスペディア神話シリーズ (神話が好きになるポケット文庫シリーズ)(ミスペディア編集部)」