ゴシックな世界観との掛け算で魅せる新たなClariSを──『シャドーハウス 2nd Season』EDテーマ「Masquerade」ClariSインタビュー「新しい私たちをお届けすることができました」
ふたりで話し合いながら言葉を紡いでいく
――では『シャドーハウス』のエンディングテーマ「Masquerade」について聞かせてください。『シャドーハウス』の場合は原作がありますが、お話をいただいた時にどのような印象がありましたか?
クララ:独特な世界観で、すごく引き込まれる作品だなと。今までのClariSに少し通じる雰囲気も感じて、お話をいただき嬉しく思いました。原作を読んでいくうちにのめり込んでしまって。先が読めないので、気になって、気になって……
カレン:キャラクターが可愛いんですよね。感情移入して読むと意表を突かれることも。
クララ:うんうん。実は『シャドーハウス』をものすごく俯瞰して見ると、知らない方がいい幸せもあって。考え方によっては、秘密を知ることは不幸になる道を選ぶことでもあるんですよね。意志が強くないとケイトのような行動はできないなと。そもそも、ケイトがなぜ行動を起こしたのかも気になりました。ミステリアスな部分が多いので、私たちも気になっています。
カレン:結末が予想できないよね。
クララ:本当に! 原作を楽しませてもらいつつ、アニメになる部分のエピソードは特に読み込みました。その後、ふたりで歌詞を作っていって。
――おふたりで歌詞を作られる場合は、どのように分担されるのでしょうか?
カレン:楽曲によって違うんですが、今回は一緒に話し合って決めるのではなく、自分なりに歌詞を書いて、それを持ち寄ってふたりで考えていくような感じでした。「バーバラとバービーに焦点を当てた歌詞にしてほしい」というリクエストをいただいたので、お互いに原作を読み込んで。どちらかの歌詞を採用することもあれば、話し合うことで良い歌詞が出るのではないかと新たに書きおこした言葉もあって。基本は持ち寄った歌詞を組み合わせて作詞しました。
クララ:お互い見ていた視点が違ったので面白かったです。「この言葉の語尾はふたりで話し合った方がより良い言葉が出るかも」って話し合うこともありました。私たちは感じることは違うのですが「これ良いよね!」と思える感性が似ているので、喧嘩になることなどはなく、楽しかったです。
――おふたりが喧嘩している様子はまったく想像がつかないです。
クララ&カレン:そうですね(笑)。
カレン:喧嘩したことも揉めたこともないので、私たちも想像つきません(笑)。
クララ:性格的には真逆なんですけど、それが良くて。出来ないことを補い合ったり、寄り添ったり。
カレン:良い影響を受けて、お互いに寄せられるようになったり……ね?
クララ:うん! 感性が違う分、違う考えに気づかせてくれる。
――すごく素敵な関係性と考え方です。
カレン:『シャドーハウス』のキャラクターと同じように、私たち、クララとカレンも似ているようで性格や考えていることが違うんですよね。でもそれが良いなって。
クララ:お互いに寄っていくシャドーと生き人形の関係性にも似ているなと思っています。実は全く違う世界観のようで、似ている点があるなと強く感じました。例えば、私たちも仮面をつけて活動したり、ClariS城をテーマにしたライブをしたりと、ゴシックとまではいかずとも世界観があるのも共通しているなと。
「ALIVE」も「Masquerade」もふたりの物語なので、どちらもClariSにリンクする部分があるなって。どちらのアニメも担当させていただけて嬉しかったですし、世界を理解しやすかったです。
「良い曲になったと自信を持って言える」
――「Masquerade」の作曲・編曲を手掛けたのは、第1期「シャドーハウス」のOP楽曲でもおなじみの末廣健一郎氏です。曲が先にあったのでしょうか?
カレン:はい、先に曲をいただきました。
――最初に「Masquerade」を聴いた時の印象はいかがでした? 驚かれたのではないでしょうか。
カレン:ビックリしました! ワルツのサウンドは初めてで。曲を聴いたときにふたりとも「直接的な表現をするよりかは、『シャドーハウス』の世界観を模したゴシックなワードを散りばめて作れたらいいね」と考えていました。歌詞からいい意味で気持ち悪さを感じていただけるようにしたいなと。完成形を聴いて「Masquerade」は良い曲になったと自信を持って言える曲になったと思います。
――「Masquerade」は仮面舞踏会という意味ですよね。ClariSにも『シャドーハウス』にもピッタリだなと。
カレン:(タイトルを)決めるまでとても悩みまして……。
クララ:今まではすんなりとタイトルが決まっていましたが、レコーディングが終わっても決まらなかったんです。
――ではそれまでは仮のタイトルで呼ばれていたんです?
クララ&カレン:「シャドーハウス」(笑)。
クララ:被った(笑)。
カレン:私たちはよく言葉が被っちゃうんです(笑)。
――そこも素敵です。それにしても、ダイレクトな仮タイトルですね(笑)。
クララ:(笑)。ゴシックなワードや、クラシックの用語を使ったタイトルでいくつか候補を出しましたが、ふたりともしっくりこなくて。
カレン:タイトルは最初に皆さんに覚えていただけるものなので、インパクトがあるものにしたいんです。だから絶対に納得したタイトルをお届けしたいと思いました。悩んでいた時に、ふと「Masquerade」という言葉を思いついて。
クララ:それまでずっと悩んでいたのに、カレンが出してた「Masquerade」という言葉を聞いて、ふたりで「これだ!」と。時間をかけた分、迷うことなく決めました!
――カレンさんのアイデアだったとのことですが、どういったところからインスピレーションを得たのでしょうか?
カレン:それが分からないんですよね(笑)。ふたりで「『シャドーハウス』の二面性と私たちって共通点があるよね」「顔が見えないところも似てるよね」と話している中で、映画などのタイトルも参考に検索していたら、ふと「Masquerade」という言葉が思い浮かんで「これだ!」って。クララにすぐに話しました。
クララ:スタッフさんも「いいね」と。これまでも提案していましたが、やっぱり私たちと同じ違和感があったようでした。私たちが「違うかも」と思っていたから当然なんですけども(笑)。
――ED映像も素敵ですね。
クララ:綺麗ですよね。水面に映ってる姿を見て、シャドーと生き人形はふたりでひとつなんだなって。制作の方が歌詞に合わせた映像を作ってくれていて愛を感じました。
――今までのイメージを覆すようなゴシカルな雰囲気のMVも見どころのひとつです。
クララ:新曲のミュージックビデオとしては、初めて仮面を外していて。そういった意味でも、全く新しいClariSになっています。
カレン:「ALIVE」も「Masquerade」も両方振り切ってるよね(笑)。
クララ:ね(笑)。どちらも今までのClariSにない楽曲に仕上がったと思います。「ALIVE」は今までにないような楽曲とビジュアルでしたし、「Masquerade」は赤と黒を中心とした色合いがすごく新鮮で。
カレン:アニメの世界観を残しつつ、ClariSらしさを表現できたと思います。私たちもすごく気合を入れて撮影に臨みました。
――仮面を外す表現があるのもClariSならではですよね。ドーリーな表情も印象的です。
クララ:敢えて感情を抜いた表情をしたのは「Masquerade」が初めてで。普段仮面をしている分、目の感情をずっと大切にしていました。今回はドールっぽい目の演技を意識して撮影しましたね。
――これまでは仮面をつけられていたからこそ、おふたりの目から情報や感情を読み取っていっていたように思います。そういう意味では今までのClariSとは正反対の表情が見られますね。
クララ&カレン:そうですね。
クララ:新しい私たちをたくさん見ていただけたら嬉しいです。