アニメ『リコリス・リコイル』第13話(最終回)放送後インタビュー:安済知佳さん(錦木千束 役)×若山詩音さん(井ノ上たきな 役)|真島との戦いもついに決着! 感動の最終回を語り尽くす!【連載 第13回】
監督・足立慎吾さん(代表作『ソードアート・オンライン』)×ストーリー原案・アサウラさん(代表作『ベン・トー』)×キャラクターデザイン・いみぎむるさん(代表作『この美術部には問題がある!』)×制作・A-1 Pictures(代表作『かぐや様は告らせたい』)という魅力あふれる布陣が贈るオリジナルTVアニメーション『リコリス・リコイル』。
真島との決着。そして新たな人工心臓をミカが手に入れ、千束は生き続けることができた。喫茶リコリコの全員がハワイで生き生きと過ごしているラストはどうでしたか? 『リコリス・リコイル』連載の最終回は、放送前に対談していただいた、錦木千束役 安済知佳さんと井ノ上たきな役 若山詩音さんに再び登場していただき、たっぷりと作品を振り返ってもらいました!
真島との戦いもついに決着! 感動の最終回を語り尽くす!
――久しぶりの対面でのインタビューとなりますが、ここまでものすごい盛り上がりになるとは、放送前の取材では想像していませんでした。もちろん、かなり面白いので絶対に人気が出ると確信はしていたのですが……。
若山詩音さん(以下、若山):私たちもめちゃめちゃ面白いと思っていたんですけど、実際にしっかり視聴者の方に届くかどうかは、また別の問題ですからね。
安済知佳さん(以下、安済):だから本当にありがたいです。
――オリジナルアニメの難しさというのはありますからね。同じ話数を何周もしてしまう面白さがありました。
安済:新しい話を見ると、あのときって、もしかして?と思って、見返しちゃうんですよね(笑)。だから視聴者の方を離さないアニメですよね。プロモーションもそうですけど、ラジオや予告など、毎日何かしら『リコリス・リコイル』に触れる機会があるから、うまいなぁって。
――あんなにラジオで感想を語られたら、もう一度観ちゃいますよ(笑)。そして、その『リコリス・リコイル』が、ついに最終回を迎えました。
若山:皆さん、今どんなふうになっているんですかね?
安済:私たちも、(インタビューの段階では)まだ完成版は観ていないんですけど、途中の映像を見せていただくと、アフレコでやったときよりも私たちの芝居が動きに表されているなというシーンがちょこちょこありました。第12話もえげつなかったですよね?
――ものすごかったです。
安済:気合いが入っているなぁ!って思いましたもん。本当にすごかった。
若山:すごかった!
安済:だから、最終話のオンエアも、観たら泣いちゃうんだろうなぁ。
若山:私は、第12話からずっと泣いてると思います(笑)。
安済:なので第13話の感想を言うのならば、相変わらず構成が素晴らしい!ということで、これぞ『リコリス・リコイル』のバランスだな!って思いました。
若山:たぶん制作に真島さんがいるんじゃないかなっていう。
安済:作ってるの真島さんなんじゃない?
――足立監督が真島さんみたいな感じが、途中からしてきました。
若山:そうかもしれない(笑)。
安済:本当にそう思ってしまうくらい、第13話では月日がたくさん流れていますし、下手したら詰め込み過ぎなくらい情報が入っているのに、急ぎ足感がないんですよ! スルスルと入ってきて、満足感もしっかりあるから、上手だなぁ、天才だなぁとしか思わなかったです。
若山:これがどんなふうに届くのかは気になりますよね。でも、最後がリコリコらしい終わり方だったのが、私はすごく好きですけど。
――千束がどうなるのかは、どっちにも転ぶ可能性がありましたからね。
安済:それがオリジナルアニメーションの良いところですよね。ここまでも皆さんがずっと考察してくれたりしていて、いろんな楽しみ方をしてくださっていたなと思います。
若山:重くなりすぎないながらも結構シリアスな部分もありましたよね。皆さんの考察に耐えうる奥行きがしっかりあったから盛り上がったんだろうなと思います。しかも最後がハワイ! 私たちもハワイに行きたい! リコリコ in ハワイ!みたいな。
安済:パスポートがない方は作っていただかなければっていう(笑)。それはそれとして、第13話って、今までの積み重ねをちょい出ししてくれているんですよ。「その出し方、うま~!」っていう。ハワイに関しても、第2話でリコリスはパスポートが作れないから海外へは行けないという話が出ていて、その後の第10話で、クルミが千束に「お前も来いよ、旅券くらい作ってやるよ」って、ドイツに誘ったりしている。
若山:そのあと「いつか、たきなを誘ってあげて」って千束が言うんですよね。
――その一言は本当に切なくて重かった……。でもちゃんとその伏線を回収していましたね。
安済:あと最後に「たきな、そういうとこだぞー!」って海に放り投げるところも、第3話の噴水前での動きが入っていたりするんです。あれは台本だと、抱きついて投げるだけだったのに、それが作画されるとそういう演出になっていて、それこそ「そういうとこだぞー!」って思いました(笑)。
――最後まで、この2人のバディ感は最高でしたね!
安済:絆がちゃんとあるというか。変な感情の飛び越えがなかったんですよね。何でそこで急な距離の縮まり方をしたの?とかがなくて、人間としてしっかり絆を築き上げていくからこそ、友情以上の関係性をリアルに感じられたのかなって。
若山:あと第13話では、たきなが千束を捕まえて「鈍ってる証拠ですよ!」と言ってお尻をぶつけるんですけど、収録したときは、どんなふうにアタックしているのかはわからなかったんです。でもここも、お芝居に合わせてお尻でアタックをしてくれていたりして。
安済:そういうのが多いんですよ! 最後に「Are you in trouble?」って千束が言ったあとに、クルミが後ろから姿を表すんですけど、そこで私も何かを言おうかと思っていたら久野(美咲)さんが先に収録をしていて、「アローハ」って入れていて(笑)。なら私は何も言わずにお任せしますわって思っていたんです。
そうしたら、リハVでは出てくるだけだったクルミの頭で、ピヨンピヨンって飾りが動いていて(笑)。本当に私たちのアフレコを聞いて作ってくださったシーンやキャラクターの表情があるんだなぁと思って、嬉しかったです。
――ちなみにキャストも千束が生きているという結末は知らなかったのですか?
安済:知らなかったです。私は絶対にどこかで一瞬千束は死ぬと思っていたんです。心臓の機能がちょっと止まるような感じで、実は生きていました、みたいな。シリアスな中にユーモアを入れるリコリコらしい感じはありそうかな?と思っていたら、そういうのではなく。
そこはストーリー的に真摯に掘り下げるというか、命に関しては笑いは取らずに突き進み、最後はハッピーという感じにしていたのは良かったですね。あとは、みんなで最終回後に色々と妄想したりしていました(笑)。
若山:最終回の収録後は延々と話していましたよね(笑)。
安済:延々しゃべってた。真島と共闘してほしいとか、みんなの欲望を語るという。
若山:もしこの先があったらやりたいことを、全部足立さんにぶつけて(笑)。
――足立監督に言っていたんですね!
安済:次はまず、リリベル(男の子版リコリス)と戦って~とか(笑)。
若山:何かいっぱい言っていましたよね?
安済:そういうご都合主義な話を全部伝えました(笑)。ただのファンの要望って感じで。
――リリベルの子とも、千束は因縁がありそうでしたからね。
安済:何だよあいつ!って感じでしたね(笑)。でも第12話でリリベルをちゃんと見たときに、やっぱりファーストは赤い服なのか!とか。セカンドも見たかったなとか思いました。
若山:やっている仕事内容の違いとかも、もっと詳しく知りたいですよね。
安済:リリベルとリコリスも街で出会わないですし。
若山:リコリスのほうが業績を上げたから表立って動いているんですかね? どうなんだろう。
安済:あとは女子と比べて、長いこと現役ができそうだよね。学生の姿じゃなくても何かできそうな感じがする。サイレント・ジンみたいに(笑)。
若山:最終話のサイレント・ジンは本当に面白かった!(笑)。
安済:全然しゃべってないのに、あの存在感すごいよね。
若山:泣くほど笑いました。
安済:その名前、自分で付けたの? サイレントさ~んって、あのクルミの煽り方が最高だったよなぁ。今まで来ていたのに、しゃべってなかったんだなっていうのが、あの一瞬の会話でわかるというか。友達がやっとしゃべった感が出ていたから、あの一瞬の説明力はすごいなって。
若山:結局第13話の最後は、喫茶リコリコでみんな好き勝手やって終わったという(笑)。
安済:そこでひとつクレームを言うとするならば、小清水(亜美)さんのアドリブ! あれは何だ?っていう。
――鼻歌のところですね。
安済:絵を壁にかけるところで、台本には何もセリフが書いていないんです。でも明らかにミズキは「千束ぷりぷり、うん♪」って言ってるんです。何?? 小清水さん、それ何!?
若山:あはははは(爆笑)
安済:「ぷりぷり うん」まで言ったら、そのあと「こ」か「ち」しかないのよ!
――それは、クレームモノですね(笑)。
安済:小清水さん劇場は多かったですけど、ここはしてやられた感はありましたね。まさかそこで入れる?っていう。
――ミズキ的には最高に嬉しかったはずのところで、それですからね(笑)。
若山:キャラクターの自由度も高かったですよね。
安済:そうだね。だからミズキは小清水さんが作ったと言っても過言ではないというか。
――でもそれは、安済さんの千束の雰囲気があったからこそ、ああいう明るくてテンション高めのミズキになった、という見方もできますよね?
安済:言葉遣いは確かに似ていますからね。ミズキがお姉さん代わりみたいにいて、千束は言葉がうつったと思っていたので。「きさま!」とかの言葉遣いもそうだし、ミカとミズキは家族みたいに育ってきたと思うんですよね。
――そのスピンオフも見たいですよね。たきなが来る前の喫茶リコリコ、みたいな。で、第13話の前半の話もしますと、実はミカの足は悪くなかったという衝撃の事実が明らかになりましたけど、やはりかなり強かったですね。
安済:怖かった~。体つきもバッキバキのムッキムキでしたからね。
若山:鍛え上げられた体!
安済:普段の和服姿の下はあんな感じだったの?って。「ぬん」の一振りで、あの姫蒲が吹っ飛んでいましたから。やば! ミカ強っ!って思いました。
若山:先生なだけありますよね。
安済:みんなが知らないところで鍛錬をしていないと、あの体は保てないですから!
若山:足が実は悪くなかったって、テンション上がりません?
安済:上がる。だからそれもうまいよね。あの杖の音もミカを象徴するもので、その音を響かせて来たと思ったら、バキバキに倒していくっていう流れからの、ミカとヨシさんの会話があって。
若山:物語の結末はハッピーエンドだけど、吉松のことに関しては、ミカはずっと傷を抱えて生きていくんだろうなって思うと、ミカは抱えているものは大きいなと思います。
――きっと千束の心臓のことも一生隠し通さなければいけないわけですからね。
安済:いろんな人の選択が見えた第13話だったけど、ミカは千束を選んでくれた。千束も第12話でミカを選んだっていう。そして、最後に吉松を撃つところは音が無い! うまい演出だなぁ。そこから千束の台詞になるっていうのも良かった。
――そこから真島と千束の最後の戦いになるんですよね。
安済:「ALIVE」があそこで流れるんですよ! 元々劇伴にするか「ALIVE」にするかという案があって、音響監督の吉田光平さんが試しに両パターン作って提案されたという話は聞いていたんですけど、映像を見たら本当に「ALIVE」が流れていて「最高!」ってなりました。歌詞の聞こえ方も変わってきますよね。素晴らしかったなぁ。
――王道ですけど、やはりOPテーマが流れるとテンションが上りますよね!
安済:ザ・クライマックス!って感じが良かったなぁ。
若山:ここまで来て、もっと上げるか!って心臓がドキドキしちゃいました。観るのに体力を使いますよね。
――第11話から第13話は、まとめて観たいくらいだったし、アバンとAパートとBパートで全然内容が違うから、ものすごい濃さだったんですよね。終わったあとの、ロスが怖いです。
安済:ロスにはなるでしょうね。アフレコのときはそんなロスにならなかったんですけど。
若山:えっ!!!!
安済:途中でちょこちょこ間が空いて、長い期間かけて録っていたから、何だかんだみんなと会えたし、楽しい終わり方だったから、千束たちとバイバイした感じがなかったんですよ。だからオンエアが始まった今のほうが、皆さんと楽しんでいるからこそ、終わったら寂しい!ってなりそう。
若山:私は、アフレコのときからロスでしたけどね!(笑)。寂しくて、ずっと居座っていたくらいですから。
安済:そうだったねぇ(笑)。でもアフレコで私たちのやることはやったから託すのみで。私たちは好き勝手楽しくやったけど、どういう絵と音が付くんだろうと思っていたから、想像の5億倍すごかったです!