「『銀河英雄伝説』の名にふさわしいストーリーが展開します」──長編アニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These』第4シーズン『策謀』ヤン・ウェンリー役 鈴村健一さんインタビュー

　

収録は同盟チームで。第3シーズンから続けての収録でやりやすさも

──今シーズンでも分散収録の形だったと思いますが、どなたとご一緒することが多かったのでしょうか？

鈴村：同盟チームが多かったですね。というよりはほとんど同盟チームとしか会っていません（笑）。（ユリアン役の）梶（裕貴）くんと（キャゼルヌ役の）川島（得愛）さん、（シェーンコップ役の）三木（眞一郎）さんとか。

──ちなみに前シーズンの収録からどれくらい間隔が空いていたんですか？

鈴村：第3シーズンと今回の第4シーズンはまとめて収録したので、続けて収録できました。だからやりやすかったです。

──鈴村さんにとって、ラインハルトのような実力を認めるライバルみたいな存在はいますか？

鈴村：僕もそれなりの年齢になってきて、だいぶ丸くなった気がします（笑）。20代の頃は、同業者のみんなは「友達だけどライバル」みたいな感じだったし、特に同期のメンバーはそう感じていたと思います。

今、同じ事務所になった櫻井孝宏くんはずっとライバルでした。彼のほうが先に売れていて、売れていく様子を近くで見ていて、一緒にラジオをやっている時もしゃべりがおもしろく、かつすごくメジャー感もあって、ラジオの収録のたびにへこんでいました。

今、ラジオは好きな仕事ですが、あの頃は劣等感を感じるたびに「ラジオをやめたい」と思っていたくらい、彼をリスペクトしつつも、ツライ存在として見ていました。

でもいつしか、そういうものを見て奮起して、自分らしく成長していくことの糧に変えられるようになったし、今ではお互いをちゃんと見られるし、信頼できるようになりました。ヤンとラインハルトもそういう存在になってほしいなと思います（笑）。

──それは年齢や経験を経て、視野が広くなったことも大きいのでしょうか？

鈴村：確かに視野が広くなった部分はあると思いますが、もう一つは切磋琢磨してきて、自分の居場所が見つかったことが大きいと思っています。お互い、自分にしかできない何かを見つけられるようになったことが、相手を認めてあげられるようになった大きなポイントで。

若い頃は一つの役をオーディションなどで奪い合いしていると、自分にしかできない何かというよりも、この役をどう演じるかということのセオリーでしかないので、大らかじゃないんですよね（笑）。もっとギラギラしているというか。

でもそういう時をお互い通過していくと、「彼はこういうふうに演じるだろうな」とか、「僕ならこう演じるな」とかが理解できてきて。それでオーディションで負けたとしても、「あのキャラなら、彼のああいう部分が活きるだろうな」とか認めてあげられるようになるんですよね。

相手だけでなく、自分も認めてあげることで、自分の帰る場所、足場がある感覚が自分にとって大事なのかなと思います。

　

ユリアンにはヤンのためではなく、自分のために生きてほしい

──今後のヤンとユリアンにどんな道を歩んでほしいと思いますか？

鈴村：ヤンはしっかり決断をしたので、ユリアンがどう大人になるのか楽しみにしているとは思います。

自分の人生を自分で決めていく姿はヤンにはとても眩しく映るかもしれませんね。ヤンは自分が目指した歴史学者の道とは違う道に進んでいるわけですし。本当にやりたいことが見つかったユリアンの背中を押した以上、どんな成果を出すのかには興味があるんじゃないかなと思います。でも軍人である自分の後を継いでほしくはないのが辛いところです。

成果に関しては、政府を打倒してほしいとか、同盟の中で出世してほしいとはならないと思いますからね……。

──ヤンはちゃんと仕事をするほど、ケンプなど敵に恨まれていくし、軍にいるわずらわしさもあるから軍人にはなってほしくないけど、ヤンの大変な姿を見てきたからこそユリアンは軍に入って助けたいという。

鈴村：本当に難しいですよ。でもユリアンが何をしたいのかを尊重してあげたいんですよね。ユリアンの夢は軍人になる、というより、ヤンの手助けになること。それもわかった上できっとヤンは、ヤンのためではなく、ユリアン自身のために人生を選択してほしいと思っている。自分のために決断することが誰かのためになることをしっかり伝えていくんじゃないでしょうか。

　

──改めて第4シーズンの見どころと注目ポイントのご紹介をお願いします。

鈴村：今回役者が出そろったので、各陣営、各者がどう絡んで、入り組んでいくのかがポイントかなと思います。ラインハルトの決断が帝国だけでなく、銀河をも動かす。今後はそんな、『銀河英雄伝説』の名にふさわしいストーリーが展開していきます。

ラインハルトの決断にとても胸が熱くなると同時にもう不可逆なところまできている感覚が切なくなる瞬間も訪れます。

そんなラインハルトに対して、ヤンは相変わらず組織に翻弄されています。そんなヤンに発破をかけるシェーンコップみたいな存在もいますが、自分のテリトリーでしか物事が動かせない状況で。ラインハルトとヤンの置かれた状況や立場の違いが顕著に表れるのが今回のシリーズだと思います。

帝国側の上級大将たちの活躍も描かれていて。ミッターマイヤーは軍の指揮官として有能だと思っていたけど、政治までできてしまうんだと。彼らのすごさやキャラクターの魅力が深堀りされています。

──そして前シリーズのイゼルローン回廊での激しい攻防の結末も！

鈴村：前シリーズのラストの続きですね（笑）。「ここで終わるの!?」と思われた方もたくさんいたでしょうから、ちゃんとあの話はちゃんと終わりますので。

銀英伝に触れていると改めて戦争って辛いなと感じます。

冒頭で描かれるイゼルローン攻防戦の結末は戦争の現実を浮き彫りにするとても『銀英伝』らしい展開。悪人はいなくて、己の信じるものがぶつかりあっているだけ。でもそれぞれの思想を編抜き通すために勝者と敗者に分かれしまう。作品の根底にあるテーマから始まる今回のシリーズ。ぜひご覧ください。

　

　

『銀河英雄伝説 Die Neue These 策謀』作品情報

◆『銀河英雄伝説 Die Neue These 策謀』超特報

上映日

第一章 2022年9月30日(金)
第二章 2022年10月28日(金)
第三章 2022年11月25日(金)

各章3週間限定上映（一部劇場を除く）

上映館

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シリーズあらすじ

数千年後の未来、宇宙空間に進出した人類は、銀河帝国と、自由惑星同盟という“専制政治”と“民主主義”という２つの異なる政治体制を持つ二国に分かれた。 この二国家の抗争は実に150 年に及び、際限なく広がる銀河を舞台に、絶えることなく戦闘が繰り返されてきた。

長らく戦争を続ける両国家。銀河帝国は門閥貴族社会による腐敗が、自由惑星同盟では民主主義の弊害とも言える衆愚政治が両国家を蝕んでいた。そして、宇宙暦8 世紀末、ふたりの天才の登場によって歴史は動く。

「常勝の天才」ラインハルト・フォン・ローエングラムと、「不敗の魔術師」と呼ばれるヤン・ウェンリーである。

ふたりは帝国軍と同盟軍を率い、何度となく激突する。『銀河英雄伝説 Die Neue These 策謀』はフォースシーズンにあたり、敵対する両軍が軍事拠点・イゼルローン要塞を巡って繰り広げる壮大な戦闘が、遂に終結。第三勢力であるフェザーン自治領の思惑も絡み、物語が大きくうねり始める。

策謀あらすじ

最高権力者ラインハルトの善政による改革が国民からも支持されている銀河帝国と、不敗の魔術師ヤンらの活躍も空しく、政府の腐敗による国力低下が著しい自由惑星同盟。両国間の勢力バランスに大きな変化が生じる中、第三の勢力フェザーンの自治領主ルビンスキーは、自由惑星同盟を見限り、大きな陰謀をめぐらせていた。ラインハルトは、幼い銀河帝国皇帝の誘拐と自由惑星同盟への亡命というその企みを知りながらも、自身の野望のため利用しようと考える。ヤンも同盟に最大の危機が迫りつつあることは予感していたが……。そんな中、正式な軍人になったユリアンをフェザーンの駐在武官に任命する命令が届く。

スタッフ

原作：田中芳樹（東京創元社刊）
監督：多田俊介
シリーズ構成：高木登
助監督：森山悠二郎
キャラクターデザイン：菊地洋子 寺岡巌 津島桂
総作画監督：後藤隆幸 菊地洋子
特技監督：竹内敦志
メカデザイン：竹内敦志 臼井伸二 常木志伸
オリジナルメカデザイン：加藤直之
プロップデザイン：太田恵子
プロップデザイン・紋章デザイン：秋篠Denforword日和
３D：ランドック・スタジオ　I.G3D
３D監督： 磯部兼士
美術：Bamboo
美術監督：竹田悠介
美術設定：塩澤良憲 曽野由大 金平和茂
美術デザイン：渡部隆
色彩設計：竹田由香
音響監督：三間雅文
音楽:橋本しん（Sin）井上泰久
音楽制作協力: Sony Music Publishing (Japan)Inc.
主題歌：「dust」SennaRin（SACRA MUSIC）
テーマソング「melt」SennaRin（SACRA MUSIC）
撮影監督：荒井栄児 小澤沙樹子
編集：黒澤雅之
制作：Production I.G
監修：らいとすたっふ
企画協力：ROOFTOP
制作協力：徳間書店
宣伝協力：アールアールジェイ
製作：銀河英雄伝説 Die Neue These 製作委員会

キャスト

ラインハルト・フォン・ローエングラム：宮野真守
ヤン・ウェンリー：鈴村健一
ユリアン・ミンツ：梶裕貴
パウル・フォン・オーベルシュタイン：諏訪部順一
ウォルフガング・ミッターマイヤー：小野大輔
オスカー・フォン・ロイエンタール：中村悠一
アレックス・キャゼルヌ：川島得愛
フレデリカ・グリーンヒル：遠藤綾
ワルター・フォン・シェーンコップ：三木眞一郎
アンネローゼ・フォン・グリューネワルト：坂本真綾
ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ：花澤香菜
オリビエ・ポプラン：鈴木達央
ダスティ・アッテンボロー：石川界人
アドリアン・ルビンスキー：手塚秀彰
ドミニク・サン・ピエール：園崎未恵
ルパート・ケッセルリンク：野島健児
ナレーション：下山吉光

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