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「この役に巡り会えたことにとても感謝しています」──「『東京カラーソニック!!』the Stage」舞台化記念連続インタビュー企画 第5弾 瀬文永久 役 北村健人さん
気心知れた樋口さんとバディを組むのが楽しみ
――バディを務める財前未來の印象がお聞かせください。
北村:未來は人の心を打つキャラクターとしての大きな答えの1つを持っていると思っていて。表向きには明るいけど、人には話せない問題や背景を抱えているキャラクターは人の心を揺り動かすと思うんです。だから未來のことが好きだし、永久とのコンビも魅力的だなと思っています。
自分が共感できる点は永久のほうが多いけれど、未來は「ズルい」と思わせるほど、人から愛されるキャラクター性だなと(笑)。
――未來を演じる樋口裕太さんとお仕事やプライベートでご一緒されたことはありますか?
北村:裕太と一緒の舞台は4回目くらいかな? 裕太と未來は共通点が多いと思いますね。印象に残っているのは、初めて共演したのがコロナ禍になる前で、バイキング形式の打ち上げがあって。その時、裕太と同じテーブルになったんです。甘いもの好き同士で「アイス食べたいね」と話したけど、その時は無くて。
そのままお開きの時間になって、僕が帰ろうとしていたら裕太が「はい」と、コンビニで買ったアイスを手渡してくれたんです。そういうことを計算ではなく、自然にできてしまうので、未來と合っていると思うし、あの時、アイスを食べたのになぜか体が温かくなったことも覚えていて。だから今回、裕太とバディを組めるのがものすごく楽しみです。
――気心も知れていて、かゆいところに手が届く樋口さんの存在は大きいですね。
北村:そうですね。稽古序盤ではみんな、内向的に作っていこうとして、例えば「このシーンはこうしよう」という自分のプランやイメージで演じたいと思いがちになりますが、裕太は積極的に目を合わせて、目の前の人に手を差し伸べたり、肩に触れたり、自分からアクションを起こしていくタイプなので、そこで生まれることも多いと思います。
先日までミュージカル『薄桜鬼 真改』で共演していましたが、舞台上で目が合うと何か気持ちがよくて、自分の中でも奮い立つものがあって。
東京公演と京都公演の間に舞台の配信を見たらしくて、夜中に急にLINEが届いて「俺、健人くんの沖田好きだわ」って。
俺も「ありがとう。俺も舞台で裕太と目が合うのが好きなんだよね」と返したら、「俺もだよ」と。更に絆が深まった後なので、より楽しみなんです。
――では樋口さんへメッセージをお願いします。
北村:きっと僕が欲しい以上のものをくれると思うし、僕がどう飛び込んでも受け止めてくれると信じています。年齢的には僕のほうが上だけど、助けてもらうことが多いのも、永久と未來の関係性と同じかも。だから何も心配してないです。
――本作では、音楽バトルが繰り広げられますが、ご自身にとって一番好きな歌、大切な歌は?
北村:中学生くらいからUVERworldが好きです。上京して役者を初めてからうまくいかないことがあったり、周りの役者仲間がキラキラといろいろな作品で演じている中で、自分はバイトに明け暮れるだけという時期もあって。
そんな時、UVERworldの曲を聴きながら「いつか、必ず輝いてやる」と悔しさをバネにしてきました。特に「NO.1」という曲のラスサビで「何もせず終われないんだ」という歌詞があって、それが一番自分に響いてくる言葉で、よく日課のランニング中に聴いて、走るスピードを上げたり、オーディション前に聴いて、自分を奮い立たせたりしていました。
そんな自分にとって大切な存在であるUVERworldですが、2021年にリリースされたアルバム『30』の映像特典として収録されたショートドラマに主演させていただいて。更にライブにもご招待いただいて、ライブ後には直接お会いして、ごあいさつさせていただく機会もあって。
また『薄桜鬼』も長年出たいと思っていた作品だったのですが、その夢も叶って。そう思うと、叶えたい未来に向けての努力を支えてもらったり、背中を押してくださったバンドであり、楽曲で、運命的なものを感じます。
――音楽フェスをご覧になったことはありますか?
北村:ないです。夏場は特に多いし、映像では見ることがありますが、人ごみが苦手で。たぶんこの職業をやっていて、人ごみが好きという人はなかなかいないのでは?(笑) ライブもスタンディングはちょっと怖いです。たぶん行ったのは1、2回かな。
――好きなマンガやアニメ作品、今ハマっている作品はありますか?
北村:子供の頃、三兄弟ということもあり、家には千冊くらいコミックがあったし、ゲームもたくさんやっていて、今もプレイしています。アニメも幼少期によく見ていたし、この仕事をするようになって、たくさん見るようになりました。
今ハマっているゲームは『原神』です。あとは『ファイナルファンタジー』や『ドラゴンクエスト』とかRPGが多いかも。シューティングが苦手なので。
正解や結末を知っているお客さんの予想を超え、感動させるのが2.5次元のおもしろさ
――2.5次元ステージの魅力やおもしろさとは?
北村:2次元で表現・描写されたものを、生身の人間が表現する変換がおもしろさかなと。『東京カラーソニック!!』はリアリティがある作品ですが、例えばスポ根ものだったらとんでもないシュートを打ったり、技を繰り出して、お客さんはそれを既にアニメやゲーム、マンガで見ているので正解と結末を知っている。
その予想を超えたものを見た時に感動してもらえると思うんです。世界有数のスパイしかできない体術をマンガやアニメのキャラは簡単にやりますが、それを僕らが1カ月から1カ月半の稽古や自主練を重ねることで、説得力を持たせられるかに毎回挑んでいるわけです。
僕は最強の役が多いので、アクロバットしながら走る作品の中での最強の役だと、周りには幼少時から器械体操や陸上経験者など多い中で、どうお客さんに最強に見せるかは大変ですけど、おもしろいです。
――ご自身の中で印象に残っている舞台も教えてください。
北村:まさにお話ししたアクロバットしながら走る作品というのが、パルクールと駅伝を合わせた『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』です。
僕は八神 巴という世界で最強のランナー役で、自分に与えられた期間が1年半あったので、どうやって最強を表現しようか考えた結果、今からアクロバットを練習するよりも数字と走った距離だなと。
このカンパニーの中で一番、走りましたという結果を自信に変えようと思って、1日5キロから10キロ走って、1年間で550キロくらい、稽古期間1カ月で100キロ走って。その結果をアプリに残して、稽古の最終日にプロデューサーさんと演出家さんに送って、「この意気込みで臨みます」と。
やっていて気付いたのは、トップランナーは戦う敵がいないので、自分との戦いなんだということでした。少しでもスピードを落としたら後ろとの戦いになる、今でもどんなに演出家さんや共演者からほめられても、鏡を見た自分が美しくなければいけないと教えてもらえた作品です。
常軌を逸した先に最たるもの、極みを知ることで、成長させてもらえるのが2.5次元の魅力だと思っています。
――皆さんへメッセージをお願いします。
北村:『東京カラーソニック!!』のファンの皆さんは楽しみにされていたり、期待も大きいと思います。素敵が詰まった作品なので、僕は瀬文永久という役をしっかり演じたいと思います。
公演が始まるまで、10カ月くらい準備や稽古の期間があるので、皆さんの大切なキャラクターをお借りして、舞台上で精一杯表現するつもりです。
そして『東京カラーソニック!!』にまだ触れたことがない方へ。この作品は今後とんでもなくヒットする作品になると確信しているし、役作りをしていても楽しくてしょうがないし、早くやりたいと思える作品です。
8人のキャラクターが、誰もが持つ苦しみや悲しみを抱えながらも音楽で乗り超えよう、戦おうとしていく生き様を舞台で見届けてください。
『東京カラーソニック!!』the Stage
2023年2月18日(土)から26日(日)まで、東京・シアター1010にて公演!
原作:「東京カラーソニック!!」(eternal voyage)
脚本・演出:伊勢直弘/NAOHIRO ISE
<劇場名・公演日程>
シアター1010
2023年2月18日(土)~2月26日(日)
<キャラクター名/キャスト名>
小宮山 嵐 役/岸本勇太 ARASHI KOMIYAMA/YUTA KISHIMOTO
霧島 宙 役/北川尚弥 SORA KIRISHIMA/NAOYA KITAGAWA
宝田伊織 役/山﨑晶吾 IORI TAKARADA/SHOGO YAMAZAKI
加地春飛 役/高本 学 HARUHI KAJI/GAKU TAKAMOTO
瀬文永久 役/北村健人 TOWA SEBUMI/KENTO KITAMURA
財前未來 役/樋口裕太 MIRAI ZAIZEN/YUTA HIGUCHI
倉橋海吏 役/安井一真 KAIRI KURAHASHI/KAZUMA YASUI
高槻神楽 役/小波津亜廉 KAGURA TAKATSUKI/ALLEN KOHATSU
『東京カラーソニック!!』the Stage公式サイト
https://www.marv.jp/special/stage-tcs/
『東京カラーソニック!!』公式サイト
https://sprout-pj.jp/tcs/