音楽
牧野由依ミニアルバム『あなたとわたしを繋ぐもの』インタビュー

牧野由依さん ミニアルバム『あなたとわたしを繋ぐもの』インタビュー|いろいろな繋がりを集結させた1枚に

夢を実現させた『世界でいちばん愛しい音』

――最後の曲、『世界でいちばん愛しい音』は、作曲を牧野さん、作詞を映画監督の岩井俊二さんが担当されています。なぜ、お二人で作ることになったのでしょうか?

牧野:まず、私が作曲をしたのは、(スタッフから)「1曲、自分の曲もいれたら?」と提案してもらったからなのですが、自分の曲をこのアルバムの中に入れさせていただけることは、とても大きな意味を持つと思って、書かせていただきました。フライングドッグさんでアルバムを出させていただく時は、人生のターニングポイントばかりなんです。

――フライングドッグからのアルバムのリリースは、今作が3枚目ですね。

牧野:1stアルバムの『天球の音楽』はデビューアルバムですし、2ndアルバムの『マキノユイ。』のときは大学を卒業して社会人になるタイミングだったんです。今回は、結婚して出産をして、ある意味、命を繋いだタイミングでアルバムを出させていただく。そのアルバムに自分の曲を入れられるのは、すごく幸せなことだなと思っています。それに、自分のお家に帰ってきたみたいな安心感もあるこの環境だからこそ、すごく伸び伸びと書かせていただきました。自分の中から自然に出てきたものをそのまま曲にしたという感じです。それで、どんな歌詞がいいか考えたとき、今回のアルバムはいろいろな繋がりを集結させるというコンセプトがあったので、岩井さんにお願いできないかなって思いました。自分の音楽のスタートは、岩井俊二監督の映画で、ピアノを弾かせていただいたことなので。

――牧野さんは、8歳のときに岩井監督の『Love Letter』で劇伴のピアノ演奏を担当されています。

牧野:岩井さんって、私にとって父のような存在なので、本当に小さい頃からいろいろな事を相談したり、他愛ないことで連絡したりとかしてきたので。大きくなってからも、それは変わらないんです。なので、岩井さんと一つの作品を作るのは、夢でもあって。それを今回、実現させたいなと思ったんです。

――詞の内容に関しては、何かリクエストなどを伝えたのですか?

牧野:タイトルを先に決めさせていただいて、監督にお渡ししました。

――岩井監督の書いた歌詞を読んだときの感想を教えてください。

牧野:岩井監督は、歌詞を映像で送ってくださったんです。

――歌詞を映像で?

牧野:黒い画面が映っているムービーに曲が流れていて、そこに歌詞が出てくるんです。

――そんな歌詞の伝え方は、初めて聞きました。

牧野:私も初めてです(笑)。まず、それにびっくりしました。「さすが!」って(笑)。歌詞の世界観としては、やっぱり岩井さんならではでしたし、映像が浮かぶような歌詞で、岩井さんの書かれる映画の小説を読んでいるような感覚になりました。

――レコーディングなども終わって完成した楽曲に関して、岩井さんから感想を聞く機会はありましたか?

牧野:はい。岩井さんの感想を聞くのは、少しドキドキするところもあったんですけど、「良い曲になったね」って言っていただけたので、すごく嬉しかったです。

CDの盤であることの意味は、前からすごく感じていた

――この新しいミニアルバムを引っ提げて、11月13日(日)には、ビルボードライブ横浜で、『牧野由依 Billboard Live2022 ~あなたとわたしを繋ぐもの』を開催されます。食事やお酒を味わいながら音楽も楽しめるビルボードライブに出演されるのは、牧野さんも初めてとのことですが、どのようなことを楽しみにしていますか?

牧野:以前、同じ事務所の(バンドの)WEAVERさんがビルボードでライブをやったときに、朗読でステージに立たせていただいたことがあって。そのとき、この空気感、とっても好きだなと思ったんです。今度は、自分がビルボードでライブをやらせていただけるので、その空間を存分に楽しみたいし、あの空気をいっぱい吸ってきたいですね(笑)。

――最後に、伺いたいのですが。この数年間、サブスクで音楽を聴くことが普通になったり、新型コロナ感染症の感染拡大が起こったりしたことで、CDをリリースすることや、ライブを開催することなど、音楽に関わる環境が大きく変化したと思います。そんな中、ミニアルバムをリリースし、ライブも開催できることに関しては、どのように捉えていますか? 以前と、心境の変化などはありますか?

牧野:まず、この状況の中、ライブをできることが非常にありがたいですし、大勢の方にチケットをご購入いただけていることも非常にありがたいです。もちろん、今までもありがたいと思っていたのですが、この数年の状況の中、一つ壁ができてしまっていると思うので、その壁を乗り越えて足をお運びいただけることには、さらに感謝の気持ちでいっぱいです。CDをリリースできることについても、曲をリリースできること自体が嬉しいですし、CDという形にして皆さんのお手元にお届けできることも、さらに嬉しいです。配信はすごく手軽で、もちろん自分もよく利用して聴いているんですけど。CDになることによって、歌詞や写真などが文字情報が形として残り、目からも楽しんで頂けるんですよね。

――たしかに、CDを買うと、ブックレットで歌詞を見ながら聴きたくなります。

牧野:あと、個人的な楽しみ方としては、ブックレットで演奏者の方のお名前を拝見できるのも嬉しいんです。私、ブックレットオタクみたいなところがあって(笑)。「このアーティストさんには、こういうスタッフの方がいるんだ」とか読むのも好きです。それに、たくさんの方が一つの作品を作るために関わっていらっしゃるということをすごくダイレクトに感じられるものの1つだと思っていて。だから、CD盤であることの意味は、前からすごく感じていました。なので、それをリリースできるということも、とても嬉しいです。その反面、おそらく、配信で聴いていただく方の方が多いことも確かなので、盤を手に取っていただくことの意味を改めて考えることがすごく増えました。

――業界全体の大きな課題だと思います。

牧野:今回のミニアルバムは、(立体音響を楽しめる)「Dolby Atmos」でも収録されていて。それって、究極の音楽の楽しみ方だと思うんです。それをご提案できるのも、CDの実物を手に取っていただく大きな意味に繋がっていくんじゃないかなって。曲を歌って、皆さんに聴いていただくことの先に進めた感じがするし、こういう考え方をしていけるのも素敵なことだなって、作りながら思いました。

――それも、牧野さんがそうしたいと思ったらできることではなく、スタッフさんとの繋がりがあるからこそ、同じ思いを持って実現できたわけですよね。

牧野:そうなんです。なので、私の中ではいろんな意味で、このCDの盤というのは、とても大きな意味を持っていて。配信でどこでもすぐ聴いていただけるのも、もちろん嬉しいのですが、お手元に置いていだだけると、さらに嬉しいです。形態もいろいろとあって。今回、かなりの量の写真を撮っていただいていて、フォトブックもありますし、目からも耳からも、いろいろな形でアルバムを楽しむことができるので、ぜひお手に取っていただきたいです。

[文・丸本大輔]

CD情報

あなたとわたしを繋ぐもの

10月5日発売

・初回限定盤A(BD付) VTZL-215 ¥4,400(税込)

 

・初回限定盤B(PhotoBook付) VTZL-216 ¥3,740(税込)

 
・通常盤 VTCL-60565 ¥2,750(税込)

 

〈収録曲〉
1. Touch of Hope
作詞:岩里祐穂 作曲・編曲:椿山日南子
2. エスペーロ
作詞:松浦有希 作曲・編曲:窪田ミナ
3. 幸せのメロディ
作詞:北川勝利、藤村鼓乃美 作曲・編曲:北川勝利 ストリングスアレンジ:Tansa
4. Tale of Blue
作詞・作曲:新居昭乃 編曲:保刈久明
5. 私と世界
作詞:森雪之丞 作曲:さかいゆう 編曲:冨田恵一(冨田ラボ)
6. ウンディーネ~2021 edizione~
作詞:河井英里 作曲・編曲:窪田ミナ
7. 世界でいちばん愛しい音
作詞:岩井俊二 作曲:牧野由依 編曲:滝澤俊輔(TRYTONELABO)

〈初回限定盤 A/同梱 Blu-ray 収録内容〉

牧野由依 あなたとわたしを繋ぐもの Special Blu-ray

☆動画コンテンツ
・「Touch of Hope」 Music Video 【STEREO】 【Dolby Atmos】
・「エスペーロ」 Music Video 【STEREO】 【Dolby Atmos】

☆音声コンテンツ
・Dolby Atmos Album「あなたとわたしを繋ぐもの」 【STEREO】 【Dolby Atmos】

※再生環境に合わせ【STEREO】、【Dolby Atmos】を選択できます。 ※Dolby、ドルビー、Dolby Atmos、およびダブル D 記号は、アメリカ合衆国とまたは
その他の国におけるドルビーラボラトリーズの商標または登録商標です。

〈初回限定盤 B/同梱フォトブックレット〉

撮り下ろしフォト満載のスペシャルブックレット

ビルボードライブ情報

声優・歌手・ピアニストとして多彩な才能を発揮し活動を続ける牧野由依が、ゆかりあるバンドメンバー
と共にビルボードライブに初登場!!

☆公演名
牧野由依 Billboard Live2022 ~あなたとわたしを繋ぐもの~

☆会場:ビルボードライブ横浜
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=13622&shop=4

☆開催日:2022 年 11 月 13 日(日)
1st ステージ 開場 14:00 開演 15:00/2nd ステージ 開場 17:00 開演 18:00
サービスエリア¥8,500 / カジュアルエリア¥8,000 (1 ドリンク付き)

☆バンドメンバー
滝澤俊輔(Key) 山本真央樹(Dr) 海老沼崇史(Ba) 睦月周平(Gt) 雨宮麻未子(Vn)

牧野由依/プロフィール

■生年月日:1986 年 1 月 19 日
■血液型:O 型
■出身地:三重県

3歳から子役として芸能活動を開始。
4歳からピアノを始め、東京音楽大学付属高等学校ピアノ科、同大学器楽専攻 ピアノ科卒業。
8歳の時に岩井俊二と出会い、『Love Letter』の劇伴のピアノ演奏に参加する。

その後、『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』でも劇伴の音楽を担当。

子役時代を経て2005年4月CLAMP 原作による NHK 教育テレビアニメーション『ツバサ・クロニク
ル』のヒロイン・サクラ役で声優デビュー。

同時にテレビ東京系アニメーション『創聖のアクエリオン』EDテーマ、菅野よう子プロデュース「オムナマ
グニ」を歌唱しプレデビュー。

同年8月、劇場版『ツバサ・クロニクル~鳥カゴの国の姫君~』主題歌「アムリタ」をリリースし、歌手活動
を本格的に始動。その後、多数のアニメに声優として出演しつつ、歌手としても多数のアニメタイアップ曲
を手掛けるなど、声優・歌手・ピアニストとして、多彩な才能を発揮し活動している。

2021年8月には、同年4月に行われた15周年記念ライブ「YUI MAKINO LIVE CONCERT FIVE6THREE7」の Blu-ray(発売・販売元:アミューズ)をリリース。

12月には、「ARIA The BENEDIZIONE」主題歌シングル『エスペーロ』をリリース。

◎牧野由依 OFFICIAL WEBSITE https://www.yuiyuimakino.com/
◎FlyingDog 公式サイト https://www.jvcmusic.co.jp/flyingdog/

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