アニメ『うる星やつら』ラム役・上坂すみれさんインタビュー|リスペクトを忘れず思い切り楽しもうと思っています
原作や台本をチェックするときに平野文さんの声でセリフが再生される
――本当に作品が大好きなことが伝わってきました。そんな大ファンである上坂さんだからこそ、ラムを演じる上で大変だった部分もあったのではないでしょうか?
上坂:新たなアニメが楽しみな気持ちはありつつも、原作や台本をチェックするときに平野文さんのお声でラムちゃんのセリフが再生されるところでしょうか。収録では平野さんを真似する訳ではないのですが、あのラムちゃんのニュアンスをどうしたら出せるんだろうっていうのは常々考えていました。でも平野さんのラムちゃんは唯一無二なので、考えてもできるようなキャラクターではなかったんです。
今回のアニメは原作に忠実に、あの世界を最新の技術でリブートしている形になっていて、例えば原作では「にゃにぃ?」というセリフがアニメでは「なぁに?」みたいなニュアンスになっている場面で、収録では最初、アニメの発音に近づけようと意識していました。ですが、原作の発音でお願いしますとのディレクションがあったんです。
印象的な語尾の“だっちゃ”にしてみても、実はすべてのセリフで統一されておらず“なのけ”とか“だろ”みたいにブレがあるのですが、だからといってラムちゃんというキャラクターがブレている訳ではないんです。それらすべてをひっくるめて、ラムちゃんの持つ宇宙人的天真爛漫な可愛さなので、演じる前はとにかくラムちゃんしゃべりとは何かを考えています。
私の脳内に平野さんのラムちゃんがいるのは間違いないのですが、それをなぞるだけにならないよう、今は会話劇や掛け合いというこの作品の素敵な部分&お芝居の楽しい部分を、リスペクトを忘れず思い切り楽しもうと思っています。そのバランスが難しいので実は素で演じてしまうこともあるのですが、それも含めて新しいラムちゃんになるといいなって思っています。
――平野さんからのコメントもありましたが、ご覧になってみていかがでしたか?
上坂:「うちも楽しみにしてるっちゃ!!」っていう言葉がすごく嬉しかったです。本当に感無量と言いますか、笑顔でバトンを渡してくださったことが信じられないくらいです。ただ、プレッシャーもあるだろうけど楽しんでという気持ちが伝わってきたので、今回のアニメが楽しい作品になるよう私も思い切り楽しもうという気持ちになりました。
――逆に自分がラム役で『うる星やつら』に出演すると決まったときはどんな想いを抱きましたか?
上坂:どういうことなんだろう? と思いました。平野さんも現役ですし、古川さんをはじめとした他のみなさんも第一線で活躍されているので、オーディションが来た時にはビックリしました。
オーディション用の音声テープを録っている時も「これ、本当かなぁ?」ってドッキリを受けているような気持ちでした。自分が決まった時はフワフワしていましたが、神谷さんや内田真礼さん、宮野真守さんら他のキャストさん方にお会いして掛け合いの想像ができたことから実感が湧きました。みんなのお声を想像しながら原作や台本をチェックしてみると、これは新しくて面白いと思えたくらいです。
とはいえ、放送されるまでは本当に私でいいのかな? って考えてしまいそうですが、みんなに観てもらって良かったと思ってもらえたその時に、はじめて平野さんたちからのバトンを受け取れたと思えるんじゃないかと思っています。