秋アニメ『4人はそれぞれウソをつく』声優・田中ちえ美さん、村上奈津実さん、佐倉綾音さん、潘めぐみさんインタビュー｜秘密を守るためのウソが、互いを守るウソに変化していく

何が飛び出すか分からない、4人の掛け合い

――先ほど、佐倉さんからオーディション時のお話が少し出ましたが、村上さん、田中さん、潘さんはエピソードなどはありますか？　また、現場で演じ方を変えた部分などはありますか？

村上：オーディションのときは、普段と忍者モードでかなり変えて、二重人格レベルで演じてみたんですが、「そこまで声色を変えなくてもいい」と言われたので、調整をしていきました。

収録が始まってからは、「汚い音になってもいい」と言われました。セーブせずに「あ、やりすぎちゃったな」と思っても、「はい、いただきました！」と言われることもあったので驚きました。

最初に「自由にぶっこんでもらって大丈夫なので」と言われていたので、アドリブも我慢せず、自由にやらせていただけたので楽しかったです。

田中：リッカは、普段のときに関しては、オーディションからそこまで変わっていないんですが、アフレコではより周りにお花が飛んでいるような雰囲気にしました。

大佐モードは、最初は地球人に関心を持っているというか、「ふーん、地球ではそうやるんだな」くらいだったんですが、アフレコが進んで行く中で「何!?　マジか地球人！」という、ギャップにやられている感じをより色づけていきました。結果的に、オーディションのときとはだいぶ変わったんじゃないかなと思います。

普段のリッカは可愛い見た目をしているので、軍人というイメージが最初は全然分からなかったんです。「この見た目なのに、この声？」と自分の中でイメージが再生されなかったんですが、段々と軍人モードとロリ感のバランスがいい感じに演じ分けできてきた気がします。

なっちゃん同様、私も「こんな汚い音を出して大丈夫？」と思いました（笑）。アフレコでこんな音を出したのは初めてかもしれないです。

潘：ね～、きったないよね～。いい意味で、ですよ！（笑）

一同：（笑）。

田中：見た目はこんなに可愛いのに、本当に汚いんですよ！（笑）　どの程度、汚さが活かされているのか、私もアニメの放送を楽しみにしています。

【主題歌】TV 4人はそれぞれウソをつく OP「エクリプス」/NACHERRY 4人はそれぞれウソをつく盤

　
佐倉：一個思い出したんですが、オーディションのときに「キャラは今の感じでいいので、面白くしてください」と言われました。「一番難しいディレクション！」と思ったのを覚えています（笑）。でも確かに、作品の中に入ると、脚本・テンポともに面白いので、「負けていられない」と感じるようになりました。

関根は早口でまくし立てる台詞が多いので「しっかり予習していかないとな」と思うのですが、一方で「家で固めていくと、3人から何が出てくるか分からないから、対応できなくなる」とも思い、技術的な部分が重要になってくると思いました。

今は、技術的な部分、感性の部分、飛び道具の声、いろんな振り幅をしっかり出していったほうが面白いのかな、と自分の中で考えながら臨んでいます。

潘：テープオーディションではリッカと翼を受けましたが、実はスタジオオーディションでは、最初はリッカだけを受けたんです。

当日に「翼も読んでみてください」と言われるかもと思っていたので、実際言われたときは嬉しかったですし、やっぱりイキイキできるというか、無理なく演じられるのは翼だなと思いました。

現場で変わったことは、やっぱり3人がいることですかね。まず間違いなく、家で考えているものじゃなくなります（笑）。

オウム返しだとしても、相手のものに乗っかっていきたいので、誰かがリテイクになると自分も付いていくようにしましたし、「別録りは絶対ダメ！」という気持ちが、アフレコを重ねるたびに強くなりました。

声優陣がお互いの演技を褒めちぎる！

――キャラクターと声優さんのお芝居の印象を、今、隣に座っている方順でお聞かせください。まずは村上さんが、リッカ、そして田中さんについて。

村上：リッカは、普段接しているときは可愛らしいパヤパヤした感じですが、大佐という、たくさんの兵を率いている人が可愛い声を出して、一生懸命中学生に合わせていると考えると、愛おしいですね（笑）。

田中は、見た目は美人さんなのに、中身にちょっとおじさんがいるので、そういった意味ではリッカとリンクしているというか、ピッタリだなと思いました（笑）。

――続いて、田中さんが、関根、そして佐倉さんについて。

田中：私はオーディションのときに全部のキャラクターを演じたんですが、関根が一番分からなかったんです。なので、佐倉さんのお芝居を聞いたときは「これが正解か！」とすごく納得しました。

関根は、サイキッカーゆえにけっこう大変な目にあっているはずなのに、それをあまり重く捉えないメンタルの強さがあると思います。佐倉さんの演技によってその“軽さ”が出ていて、この作品が持つ、変にシリアスにならない感じと合っていると思いました。

千代さんとの百合っぽい絡みでは、等身大の照れた中学生になっていたりもして、収録するたびに、関根の魅力がどんどん感じられるので、今とても「関根のことがもっと知りたい！」と思っています（笑）。序盤は心の中でツッコんでいることが多かったので、関根自身の中身の台詞が最近見えてきたのが楽しいです。

――続いて、佐倉さんが、翼と潘さんについてを。

佐倉：私がもし中学生のときにこの作品に出会っていたら、翼にガチ恋していたと思います。

一同：（笑）。

佐倉：女の子に間違われるということは、やっぱり美少年なんだろうなと思うんです。翼のまとう中性的な雰囲気は、ハマってはいけない“沼”を目の前にしているような感じなので、私は好意から敬遠しているというか、好きになってはいけないと思い、あんまり見ないようにしています（笑）。

潘：え!?

佐倉：アニメになって、潘さんの声が付いて、「こんなの出会ってしまったら、好きになっちゃうな」とより思いましたね。

潘：いいんだよ、好きになってくれて。

佐倉：沼が深いんですよ！（笑）　性癖が歪む感じがします。

お姉ちゃんとのやり取りを見ていると、すごく優しい子だし、「たぶんこの先もずっと女性の尻にしかれ続ける人生なんだろうな」という感じがするところも、好感が持てて好きです。

――最後に、潘さんが、千代、そして村上さんについて。

潘：なっちゃんと共演したことはあったんですが、そのときのキャラクターと千代ちゃんの声は、全然違うトーン、切り口のお芝居だったので、「こんなキャラクターも演じられてしまうのか！」と感銘を受けました。

発した声の1つで、その人の育ちが分かる、それが出せるのがすごいですし、千代はこの声以外考えられないなと思いました。

本当にしたかった生き方を今エンジョイしている彼女を見ると、「この先もずっと彼女の平和を守ってあげたいな」と思うんですが、そもそも彼女は自分で守ってしまう、というところが面白いです（笑）。

翼とのやり取りで印象的だったのが、4人が海に行った回。翼は「またこの面子で来たいね！」と言うんですけど、そこで千代ちゃんとの温度差があるのを初めて知りました。

漫画だと「ちょっと恋に落ちるのかな」といった雰囲気にも見えたんですが、アニメではちょっと塩対応というか、この温度差も千代ちゃんならではなんだろうなと思いました。

他のメンバーとやったらまた違う効果が生まれるんだと思いますが、千代ちゃんワールド健在だなと感じました。