マンガ・ラノベ
ウェブ小説プラットフォーム・ノベルピア日本上陸

PV数が収益になるウェブ小説プラットフォーム・ノベルピアが日本上陸

生計を維持できる、いわゆる"稼げる"作家になるとは、どういうことだろうか。昨今の小説業界、特にサブカルチャー業界では"書籍化"という単語が"稼げる"を意味するだろう。それは言い換えれば、書籍化できない作品では稼げない、稼げる作家になれないという過酷な表現にもなるだろう。

しかし今夏、新たに登場した『ノベルピア』はそうではないと話す。ノベルピアは、韓国からやって来た、現地ではサブスク型ウェブ小説サービスを先導する中・大型ウェブ小説プラットフォームだ。ノベルピアは日本進出と同時に、書籍化のみを"成功"と見なす日本のウェブ小説業界に挑戦状を突き付けた。ずばりネット上で連載した小説のPV(Page View)、つまり照会数に比例して、作家の収益を保障するということだ。

ウェブ小説は無料で読むのが当然である日本では、これまで見ることのできなかった独特な構造である。果たしてこのプラットフォームは成功できるのだろうか。日本のウェブ小説業界で、安定的な軸を構築することができるのだろうか。書籍化されない作品が失敗作扱いされ、そのまま埋もれている業界に、新しい風を吹き込むことができるのだろうか。ノベルピアが築こうとする作家とプラットフォームの関係を、その収益モデルを、そして彼らが夢見るウェブ小説プラットフォームの構造をひとつひとつ見て行こう。

全ての執筆を収益に

「1PVあたり最大2円を支給する」がノベルピアの宣伝文句である。果たして事実なのだろうか。ノベルピアではPV数に比例して、収益を分配するシステムを導入している。これは、プラットフォームで得た総収益の一部を、作品のPV数に応じて分配するという意味である。現在はこれに加え、サイトの成長を図るためにPVあたり1円を保障し『プラス申請』をすれば貯まった精算金を出金することができるイベントを開催している。読者の数だけ、正確に、PV数に比例する金額が支払われるのだ。特に、ノベルピアで独占的に連載することを約束する『プラス独占申請』を行った場合、1PV当たり2円の収益を保障している。本当にそんな金額が支給されるのかと心配になるが、今回の日本進出のためにノベルピアが用意したイベント資金は計3千万円になるそうだ。

一見大赤字にも見えるこのイベントは作家を誘致するための、ノベルピアならではのマーケティングである。小説投稿プラットフォームは、当然"面白い小説"の有無がサイトの競争力に直結する。3千万円はノベルピアを、より魅力的に楽しめるプラットフォームにするための投資金であるわけだ。

実際、母体となる韓国ノベルピアは現在も着実に資金を投入し、日本で行われているものと同じイベントを開催している。上記の画像からも分かるように、2021年1月11日からPV精算システムを導入して以来、20ヵ月間でサイト側が支払った総額は、日本円で約15億円に上るそうだ。とんでもない金額だが、サイト関係者は「ただサイトを豊かに、拡大させたかっただけ」だと話す。

これだけではない。良い小説を投稿するためには、それだけのモチベーションも必要となる。韓国ノベルピアは、賞金総額1000万円を超える規模のコンテストを多数開催している。自分の作品をより広め、それにふさわしい賞金を得ること、そして自分の小説が多くの人々に読まれ、評価されることは、非常に魅力的である。このような大型企画をもとに、韓国ノベルピアに登録される小説は次第に増え、現在は4.5万作ほどが夢を抱き、世に羽ばたくのを待っている。

日本版ノベルピアも同様に、先例とノウハウをもとにして、作家の執筆活動を支えて行く計画である。作家の成長は読者の楽しみにつながり、さらにプラットフォームの成長につながるという事実を、ノベルピアはオープン当初より気付いていたのだ。このような挑戦を通して「作家と読者、皆が満足できるサイトを作ること、サイトの有料化を通してより安定的な執筆環境を提供し、ユーザーとプラットフォームが共に歩んでいくことを目標としている」と関係者は明かした。

作家と読者の関係性

読者という存在は必然的に文章が好きな人たちである。文章を読み、共感し、その文章を書いた作家に憧れる人々だ。しかしウェブ小説の作家たちとコミュニケーションが取れる方法は限られており、現在のウェブ小説業界はやや一方通行な関係が成立している傾向にある。一方的な距離感は親近感を持つことを妨げる障壁に過ぎない。読者と作家が互いに心を通わせ、感性を豊かにするとき、小説をより成長させることができるのではないだろうか? ノベルピアはそういった部分で、作家と読者が共感できるコミュニティを提供するということにも、重きを置いている。

ウェブ小説を楽しむ人なら少なくとも一度くらいは、自分が本当に好きな作品の作家が、経済的な理由で辞めていくのを目の当たりにしたことだろう。企業が、出版社が、会社が"選択"しなかったために自分の好きな作品が埋もれてしまった記憶が、心の片隅にあるはずだ。

ノベルピアのユーザー、特に今後追加される"プラス会員制"を使用するユーザーの立場は"パートナー"だと言える。プラス会員の"読む"という行為は、単にPV数を上げることに留まらず、作家のモチベーションになり、作家の心に響く"支援"を意味する。読者は単なる読み手という立場を超え、作家が力を失わずに執筆活動を続けていけるよう、画面越しから応援できる存在になれるのだ。

自分が好きな小説を、作家の歩む道を守るのは企業でも、出版社でもない。自分のクリックが、感性が、時間が、作家を支えるのだ。単に金銭的な部分だけではない。読者たちとの精神的なつながりは、執筆活動を楽しめる潤滑油として機能する。作家は、自身の作品を楽しむ読者の存在を感じることができれば、誇りを持って執筆を進めていけるからだ。

誰もが快適に執筆活動をし、読者の目に留まり愛されるのならば、それだけでも作家が執筆活動を続けられるプラットフォーム。作家が夢見てきた作品を、熱を入れて書き下ろし、読者たちの目と脳を楽しませる、そんなサイト。読者が、興味を持った作品を読むことが、作家の力となり執筆活動の原動力になる関係。ノベルピアは作家と読者の相互補完の関係を提示する。夢のような話だが、実現可能なのだ。

作家と読者、皆が作っていく空間、ノベルピアが目指すのはまさにそこである。

"答え"ではなく"新しい道"、ノベルピア

ノベルピアは、ノベルピア自体が誰にも想像できなかった新しい"答え"ではないということを知っている。関係者は「日本のウェブ小説業界に新しい道を開いてみたかった」と切り出した。今現在、日本のユーザーたちが心配する部分は「本当に安定的な収益システムを保障できるのか」や「作品のIP展開を妨げるのではないか」等の「突然開かれたこの新しい道が、果たして強固なものなのか」という不安感に近い。

ノベルピアは現在、様々な活路を模索している。企業連携による電子書籍の発行や、ウェブトゥーンサイトを活用したコミカライズなど、単なるウェブ小説に留まらない多角的な作品展開を目標にしている。ノベルピアは、一部の企業が主導する"書籍化"だけが正解ではないということを、他の道も魅力的であるということを証明するために努力している。

作家は文章を書くだけ。読者は楽しんで読むだけ。最も根本的な役割に忠実であるだけで自然に形成されるプラットフォーム。それは、読者と作家が共に築き上げるコミュニティとも言える。関係者は「楽しめる広場を作り、ウェブ小説ファンの方々に寄り添いたい」と語った。現在ノベルピアはベータ版をオープンし、ユーザーたちの意見を積極的に取り入れながらサイトの改善に力を入れている。これからウェブ小説界に旋風を巻き起こすかもしれないプラットフォーム、ノベルピア。彼らの果敢な挑戦には、見る者を魅了する力が存在する。読者たちの、作家たちの、そしてノベルピアの、一歩を踏み出したばかりの力強い足取りを、期待しながら見守ることにしよう。

ノベルピアHPはこちら https://novelpia.jp/?p_id=news3

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