羽多野渉アーティストデビュー10周年記念スペシャル対談企画『羽多野くんと〇〇くん』Part.1「羽多野くんと小野くん」後編|今回の対談実現は小野大輔さんの言霊のおかげ、今後も膨らむコラボの夢!
小野さんが羽多野さんとコラボした「SUPER SHOCK」の誕生秘話
――「SUPER SHOCK」での羽多野さんのコラボはどのような経緯で実現したのでしょうか?
小野:ずっと前から羽多野くんと一緒に歌いたいと言い続けていたけど、実現するタイミングがこれまでなかったからです。そしてその時が来た、それだけなんです。
羽多野:カッコいい!
小野:上田麗奈に関してもそうだし、トッシーにもいつか僕の曲を作ってほしいと思っていたから、「Self Satisfaction」ではゲストボーカルとして少し声が入っているけど、羽多野くんや上田くんのように一緒に歌う「with」ではなく、作という形で入ってもらいました。
「SUPER SHOCK」ではオス味を全開に出してほしくて。羽多野くんには優しくて柔らかいイメージを持っている人がほとんどだと思うけど、逆の激しくてアグレッシブな魅力も出せるはずだと。そして僕自身もオス味を出したかったんです。誰でも攻撃的な面も持ち合わせていると思うけど、羽多野くんは役以外で出す機会がないでしょ?
羽多野:そうですね。自分の音楽ですら、そういう表現の曲はほぼ経験がないです。だから「SUPER SHOCK」が発表された時、お互いのファンの方々が「これ~!! これが聴きたかったの!」という反応で、めっちゃ嬉しかったです。
小野:ある種、狙っていた部分でもありますね。
羽多野:コラボする時でもレコーディングは別日だったり、お会いできないこともよくありますが、「SUPER SHOCK」は同じ日にレコーディングさせていただいて。小野さんの歌っている姿も見ているし、僕が歌っている時は小野さんがディレクター卓に座っていて、「この次のテイクはこんなふうに歌ってみようか」とディレクションもしていただけたことも嬉しかったです。
小野:羽多野くんが歌っているブースから見える位置にいて、お互いを感じながらレコーディングしたいなと思って。どうやらトークバックを押すのが僕、好きで、「羽多野さん、役名、所属から小鳥の鳴き声をやってからレコーディングよろしくお願いします」。
羽多野:まるでオーディションと同じ。たぶん『ハチミツとクローバー』の時の再現(笑)。
小野:僕は大学時代、制作志望でディレクターになりたかったから音響監督への憧れが強くて。トークバックのある席に座らされたから「じゃあ、羽多野さん」と(笑)。ディレクターを演じました。すごく楽しかったなぁ。
羽多野:まさに小野Dを(笑)。
小野:うまい!
羽多野:小野さんの作られる音楽は、ディレクターに憧れていたというクリエイティブな発想が絶対に活かされてますよね。普通の人であればチャレンジしないところにあえてチャレンジしたり。男女デュエットも。先日、上田(麗奈)さんと事務所で会った時、小野さんにご指名いただいて、一緒にやらせていただいたことをすごく喜んでましたよ。
小野:それならよかった。チャレンジやクリエイティブと言ってくれたけど、その発想をもらえる人と一緒にやっている気がする。上田(麗奈)くんとは『Dimension W』で初めて共演して、最近では『ロード・エルメロイII世の事件簿』で、一緒になると関係性が深いキャラをやっていて。共演するたび、おもしろいヤツだなといつも思っていて(笑)。
その後、同じランティスからアーティストデビューすることになって『ランティス祭り』で一緒になった。バックヤードで会った時に「久しぶり!」と。人と会う前には極力、その人の楽曲や作品に触れておこうという意識があるんだけど、その時も「あの曲よかったよ」とか「あの芝居よかったよ」というような話をしたんだよね。上田くんは音楽を始める前、「私にできるのかな?」って不安な一面も見せていた気がして。
羽多野:そうでしたね。
小野:でも『ランティス祭り』の時は「自信持ってやってるじゃん!」と感じたから、「そのまま自信を持ってやって」と伝えた。あと「いつか一緒に歌えたらいいな」と。口に出したことは実現しないとウソになっちゃうから全力で実現できるように頑張る。そうするとだいたい実現できる。言霊なのかな? 羽多野くんとやりたいと言ったのはもっと前で、たぶん『トータル・イクリプス』(2012年)の時。
羽多野:懐かしい! あの時はお互いライバル役で嬉しかったです。
羽多野さんの10周年イヤーを締めくくる3rdアルバムが11月30日発売! あの名アニソンもカバー!
――対談中に何度かタイトル名が出ていましたが、羽多野さんも11月30日に3rdアルバム『TORUS』がリリースされることが発表されています。
羽多野:現在、鋭意制作中です。毎回アルバムには既存のシングルやタイアップ曲と新曲を入れて作るのが難しくて。タイアップ曲はそれぞれ作品のために生み出されている曲たちなので、それらを1枚にまとめるには個性が強すぎるんですよね。タイアップ曲と渡り合って、1枚の作品を作り上げてくれる楽曲が必要で。
今回のアルバム名『TORUS』の由来は「トーラス構造体」という図形があって、新しいものを作って廃棄するのではなく、エネルギーを循環させるのが良いよねという考え方で。人の気持ちも、誰かに優しくすることで、その人が別の人に優しくして、最終的には自分も幸せになれる循環ができたら素晴らしいよね、という想いを込めて、このタイトルにしました。
また以前、自分のライブで少年時代の時の憧れの曲をカバーさせていただきましたが、せっかくなのでレコーディングしませんかと音楽チームの方から提案していただいて、「Get Wild」を新たなアレンジを加えてレコーディングさせていただきました。
先ほど小野さんが「言霊」とおっしゃっていましたが、僕がずっと好きだと言い続けていたら、同じように好きを持っている人たちが集まってくれて。例えばディレクションをしてくれたShinnosukeさんは「UTSU(宇都宮 隆)さんのライブにゲストで出てキーボードを弾いていたんですよ」とか、ベースを弾いてくれているクラムボンのミトさんはTM NETWORKフリークで、プロデュースしてくれた佐藤純之介さんも小室哲也さんが当時使っていたのと同じキーボードを使っていて。だから、ボーカルは僕になっていますが、ある意味、令和版の「Get Wild」です(笑)。
あと、アレンジを加えていくことで、曲がどんどん変わっていくんですよね。「ベースが入りましたよ」とか「イントロが変わりました」とか逐一報告が来て(笑)。ライブもお客さんやバンドさん、ダンサーさんがいることで、ずっと歌ってきた曲なのに違う姿を見せる時があるように、生き物のように進化しているので完成版が楽しみです。
今回の対談実現は小野さんの言霊のおかげ、今後も膨らむコラボの夢!
――そして小野さんがホスト役の一人になっている『おれパラ2022』の神戸公演2日目(12月11日)に羽多野さんも出演されます。
小野:『おれパラ』が今回15周年を迎えまして、しかもここ2年は配信でお届けしていましたが久しぶりに有観客で開催できることになりました。タイトルの「This 15 It」は「まさにこれだ」という意味で、これまで応援してくださった皆さんにも初めての方にも「これが『おれパラ』の決定版だ」というものをお見せしたいと思っています。
ゲストも決定版、みんなが待っている人でなくてはいけないので、羽多野くんに来てもらうしかないなと。羽多野くんは今年パーフェクトイヤーだよね。40代を迎えて、アーティスト活動10周年で、春にライブをやった。僕のアルバムでも一緒にコラボしてもらえて。『おれパラ』にとってもキーパーソンで、「80デニールのタイツの人だけで!」という伝説のコール&レスポンスをした男ですから(笑)。いまだに森久保さんは「アレが史上一番おもしろかった」と言ってるよ。
羽多野:2014年の神戸ですよね。アレは追い詰められた結果なんです(笑)。でもそれがきっかけでバンドさんが僕を覚えてくださったみたいで、宇田さんが僕のライブに来てくださって。
小野:宇田さん、羽多野くん大好きだからね。そんな神戸で初出演してくれた羽多野くんがまた神戸に帰ってくるという。メモリアルであり、意味しかありません。羽多野くんの力を借りて、「これが『おれパラ』だ」というものを皆さんにお届けしたいと思います。
――最後に今回の対談の感想をお聞かせください。
羽多野:ざっくばらんにいろいろなお話をさせていただけて嬉しかったです。お仕事でご一緒した時でも話せないようなことばかり。小野さんの出会いや過去のことなどを話しながら振り返ることもできて、ありがたい機会をいただきました。
小野:「会いたい人は仕事で会う」というのが最近の僕のキャッチフレーズで。同じ作品に出ていてもすれ違ったり、なかなか会えない。会いたくても会えない。だったら自分がアクションを起こして、言霊を発して、実現しようと。『Sounds of Love』もそういうふうに作っているし、羽多野くんや上田くん、トッシーに協力してもらえたのもそうで。やっぱり言っていれば叶うんだなと今日、改めて思いました。
今回が羽多野くんの10周年記念企画の第1弾で、そこに呼んでもらえたのもご縁ですね。これからもズブズブでお願いします。持ちつ持たれつということで(笑)。
羽多野:こちらこそ! 『Sounds of Love』では10年前に話していた願望や約束が今回果たされたわけです。「いつかお互いに音楽ができたら一緒に何かやろうね」と話したことを、小野さんが有言実行と言霊で叶えてくださって。小野さんのライブやコンテンツにお邪魔させていただいたり、僕の企画に参加していただいたり、なんて素敵な関係性なんでしょうか。
小野:まさに「TORUS」(本日、3回目)。でもまだまだいくらでもコラボできるよ。次は何をしようか?
羽多野:じゃあ、この後、お話を(笑)。