秋アニメ『4人はそれぞれウソをつく』星野真監督インタビュー|リッカのUFOの内装が原作とは異なる!? 監督が“勝手に(?)”考えたさまざまな裏設定を語る
夏服期間が一瞬で終了!? エピソードの順番を原作から変えた理由とは
――エピソードの順番が原作から大きく変わっていますが、どういった理由からなんでしょうか? 中でも千代は学校に来た経緯や、マスクマのくだりなど、特に描写順が変わった印象です。
星野:アニメーションのシリーズとして、最初に出さなければいけない情報と、後に向かってちょっとずつ見せていくべき情報があるからですね。原作では割と最初からがっつり出している情報も、アニメ的には後回しにしたほうがいいだろう、という部分があって。
最近は、設定のことをしっかりと説明するアニメが増えているように感じているんですが、それはこの作品にはそぐわないんです。「宇宙で戦いが起こっている」「超能力者が国家によってしっかり管理されている」「忍者が生き残っていて暗躍している」といった世界観(設定)を第1話の冒頭に全部入れ込むと、それはもう『4人はそれぞれウソをつく』ではなくなってしまうんですよね。
それよりも最初は「それぞれがどういうキャラクターなのか?」というのをある程度見せなければいけないので、説明なしにキャラクターのことが分かってもらえる文化祭のエピソードは早めの方がいいと判断しました。
第1話も最初のAパートはものの数秒みたいな感じで、一旦名前と雰囲気だけを教えて、キャラクター性は話を見て理解してもらおうと思って作っています。
そういうことを総合的に考えたうえでの順番になっているんですが、視聴者からすると「夏服があっという間に終わったな」と感じたと思うので、そこはスミマセン(笑)。
実は清水さんは構成を練る前に、「この物語は春に始まって、夏にこのエピソードがあって……」といった“作品のカレンダー”を作っていたんです。ただ、その通りにやるとちょっとうまくいかないなと思って伝えたところ、清水さんが「あ、じゃあ捨てます」と。
一同:(笑)。
星野:普通は水着回とかが終わって、次に衣替え、みたいな流れになるんですが、それでは弱いと思って。「いったん冬服だとか夏服だとか忘れて、徐々にエスカレートしていくような構成にできないかな?」という話が出ました。
普通あまりやらない形式ですし、清水さんにとっては割とギリギリの構成になったと思うので感謝しています。
夏服の話を早めにしたのにはもう1つ理由があって、通常時の制服に彼女たちのパーソナリティ(※)が表れるからなんですよね。夏の話を延々としていると、服装に彼女たちの個性が表れなくなってしまうんです。
※:関根はそのまま、千代はカーディガン、翼はセーター、リッカはワンピース型と、制服の着こなし方(リッカに至ってはそもそものデザイン)が異なる。
――エピソードの順番変更に際して、橿原先生とお話されたことなどはありますか?
星野:先生は「キャラクターのズレさえなければ、あとは基本的にお任せします」といったスタンスだったので、修正は台詞の語尾くらいでしたね。かなり好きにやらせていただいたので、本当にありがたかったです。