視聴者も良い影響を受けるくらい眩しいアンの生き方――冬アニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』アン・ハルフォード役・貫井柚佳さん、シャル・フェン・シャル役・水中雅章さんインタビュー「第1話は見どころしかありません!」
三川みり先生の『シュガーアップル・フェアリーテイル』(角川ビーンズ文庫刊)は、人間が妖精を使役し、砂糖菓子が幸運をもたらすと信じられている世界が舞台。一流の“銀砂糖師”を目指す主人公のアン・ハルフォードは、護衛として戦士妖精のシャル・フェン・シャルを雇い旅に出ます。少女と妖精、二人の夢と恋が紡ぐ珠玉のおとぎ話が、いよいよ幕開けです!
2023年1月6日(金)から放送開始するTVアニメ『シュガーアップル・フェアリーテイル』。「今から放送が楽しみでしかたないです!」と声を弾ませるのは、主人公アン・ハルフォードを演じる貫井柚佳さんとシャル・フェン・シャルを演じる水中雅章さん。おふたりとも本作に特別な思いがあるよう。詳しくお話を伺いました。
「アンに置いていかれないように」
──まずは『シュガーアップル・フェアリーテイル』のお話をいただいた時のお気持ちを教えて下さい。
アン・ハルフォード役・貫井柚佳さん(以下、貫井):本当に嬉しくて夢のようでした! でも「私でいいのかな?」という信じられない気持ちもあって。ちょっとふわふわしているような感じでした。だけどアンというキャラクターを演じられるのはひとりだけで、それを考えると責任も感じます。アンに置いていかれないようにしながら、アニメを楽しみにしてくださっている皆さまのためにも頑張らなきゃと身が引き締まりました。
シャル・フェン・シャル役・水中雅章さん(以下、水中):シャルを演じられることになり嬉しい気持ちでしたが、僕も貫井さんと同じで「自分で良いのかな?」って思っていました。僕はコミックの方を読んでオーディションに臨んだんですけれども、シャルはとてもクールで、美しくて。鋭さのあるカッコ良さなんですよね。自分に果たして、こんなにカッコいいキャラクターを演じられるのか、と。
貫井:でも私、シャルの声が水中さんと聞いたときに「ピッタリだな!」と思ったんです。
水中:相棒にそう思ってもらえるのは嬉しいですね(笑)。
貫井:きっと素敵なシャルになるだろうなって確信していました。
水中:そう言っていただけて本当に嬉しいです。シャルってクールで、どこか掴みどころがなくて、我が道を行くようなキャラクターだと感じていて。シャルに自分も踊らされているような感覚があります(笑)。
貫井:(笑)。
水中:アフレコが終わったあとに(貫井さんに)「シャル、トップクラスに難しいわ!」って。勿論簡単な役なんて無いのですが、シャルは独特な感覚で…。
──水中さんにとってチャレンジングなキャラクターでもあったんですね。
水中:実際に演じてみて「掴みどころがなくて難しい」と思いました。でもシャルはアンと関わっていくうちに、鋭さが別の方向に変わっていって。(インタビュー時は)今、収録をしている最中なので「これが成長か」と感じています。それと同時に「シャルを演じることが出来て良かった」と。シャルの変化を自分の中で感じることが出来てとても楽しいです。
シャルの目は「吸い込まれるような美しさ」
──改めて、おふたりの演じられているアンとシャルについて教えて下さい。
貫井:アンは砂糖菓子が好きな、とにかくまっすぐな子。亡きママと歩んできたものを大切にしています。銀砂糖師になるために、たったひとりで街を旅していくんですが……それって怖いことでもあると思うんです。でも躊躇する姿を見せることなく、迷わず前を見ているがんばり屋さんです。本人にとっては頑張ってるつもりはないのかもしれません。なりたい自分になるという目標を掲げているように感じます。それと人が良すぎるというか。
それと、すごくお人好しなんです。「人間と妖精は対等なんだ」という思いのもと、行動に移す。自分の立場が危うくなるかも、とは考えずに。カッコいいなぁって思います。ひたむきに目標に向かって歩めるってすごいことです。ただのキラキラした15歳ではない強さがあるところが魅力的だなと思っています。あと、シャルの目がすごくキレイです! (水中さんに向かって)ですよね?
水中:輝いてますね(笑)。
貫井:PVでも確かめることができるのでぜひ見てほしいのですが、シャルは吸い込まれるような美しさを持っています。それにアンもハッとしてしまったんじゃないかなって。放送が待ち遠しいです。
水中:(本記事の掲載時点では)シャルについてすべてお話できないのですが、シャルは黒曜石から生まれた戦士妖精で、高い戦闘能力を持っていて、アンの護衛を務めていくわけですけども……。人間に良い思いはしてこなかったんだろうなと。だから最初はアンや他の人間に対しても、あまりよろしくない態度を取ってしまうんですが……そんな彼がアンと出会ったことでどう変わっていくか、楽しみにしていてほしいですね。
──さきほど貫井さんもおっしゃっていましたが、アンは周りの人も変えてしまうようなまっすぐさを持っていますよね。
貫井:そうなんです。強くてまっすぐで、こちらがビックリしてしまうくらい。
──演じられていく中で、アンの変化も感じられましたか?
貫井:アンはいろいろな人たちと出会い、助けられていくこともあるんですけど、自分の力で立つ強さを持っていて。でも最初は少し強がっているところがあるんですよね。共に歩く仲間としてシャルが登場したことが、アンにとってとても大きな影響を与えたのではないかと思います。シャルは普通の人と違うので……その、(水中さんを見て)ね(笑)。
水中:うん、シャルは違う。
貫井:100年生きている妖精さんと15年しか生きていない少女なので、会話していく上で噛み合ってなかったり、いじわるをされたり(笑)。いろいろなことはあるんですけど、アンは夢や目標のためにいつも頑張っていて。「ひとりで生きなければいけないんだ」というところから、シャルやミスリル、ヒューたちと出会って、少し変わっていくのかなと思います。アンだからこそ、人が集まってくる。核は昔から変わらないんですけど、仲間が増えていくことで、より一層強くなっていったような気がしています。
──アンは最初「かかし」呼ばわりされていますし……。
貫井:いろいろなことを言われましたけど(笑)。それでもアンは人を思いやる気持ちがあって。自分のことで精一杯なはずなのに、周りの人を思いやる優しさがある子だと思います。
──貫井さん自身とアンの共通点はありますか?
貫井:なんだろう(笑)。アンってビックリするようなことばかりで。収録するにあたって原作を読んでいるんですが、未だにビックリするようなことだらけなんです。「私だったら人の行為に甘えてしまうかも」って思ってしまうような場面でも「私がやりたい、やらなきゃいけないんだ」と。自分の誇りを大切にしているんですよね。だから私自身、アンから学ぶことのほうが多く、遥かに強い人だと思います。
私も夢を追っていく中で、キラキラした思いを持って養成所に通って、そして今があって。でもお仕事をしていく中で、そのキラキラしたものを見失いそうになったときもあって。壁にぶつかったときのアンの立ち上がり方を見たときに、アンから勇気をもらいました。アンと出会って私自身も変わったなって思っています。憧れの人です。
──アンは貫井さんにとって、とても大切な人なんですね。キラキラしたものを見失いそうに……というお話がありましたが、それは日々の中でということですか?
貫井:そうですね。私たち(声優)って日々就活のような感じというか。
水中:うんうん。
貫井:オーディションやお仕事の現場に行くときに「来年はお仕事があるんだろうか」「このご縁がつながるのだろうか」とか考えてしまうこともあるんです。だから「もうだめだー!」ってなってダラダラしてしまうことも(苦笑)。でもアンと出会ってからは「あ、でもアンだったらこのダラダラしている時間に何をするかな?」って考えるようになって「あ、掃除しよう」と(笑)。すごく些細なことではあるんですけど。
──でも大事ですよね!
貫井:まずは身の回りをリセットして太陽の光を浴びてみよう、作品を見よう、とか。アンの存在が前を向く力をくれました。
──よき相棒というか。
貫井:本当にそうです! 出会えてよかったなぁって思っています。
──そういう意味ではシャルって……。
一同:(笑)
水中:(真顔で)女の子を見たら「かかし」と言うようになりましたね。
貫井:言ってるんだ!(笑)
水中:いや、言わないですよ! 冗談です!(笑) シャルを通してアンを見ているので、アンの頑張りを見ていると僕も元気がもらえます。アンは今後いろいろな困難があって、悩みながら進んでいくんですが……その経験の中でさらに強くなって、もっともっと前を向くようになっていくんですよね。
貫井:時にはアンが挫折しそうになるシーンもあるんです。そういう時に、一言声をかけて気づかせてくれるのはシャルですよね。
水中:年上ですからね。
貫井:冷静だからこそ、ヒントをくれるというか。
水中:シャルはアンに対して、出会ったときから、口は悪かったですが、割と好意的だったような気がします。
──自ら「買えよ」と言うくらいですもんね(笑)。
水中:そうですね(笑)。
貫井:ふたりにとって運命の出会いだったんでしょうね。