冬アニメ『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』リーゼロッテ役・楠木ともりさんインタビュー|リーゼロッテはテンションの上下が激しい、振り切った演技が求められるキャラクター
気遣いを隠そうとして空回るシーンが、“ツンデレ悪役令嬢”としての象徴的な場面
――楠木さん的に、リーゼロッテの一番可愛いと思ったポイントはどんなところでしょうか?
楠木:ツンツンしているのを分かった上で、デレたときに何も言葉が出てこない、ヤカンが沸騰するみたいな音を出しているときのリーゼロッテがすごく可愛いなと思いました。
ジークヴァルトに対してはもちろんなんですが、フィーネに対しての優しさもあって、それが恋愛とは違う愛情がすごく出ていて、よりリーゼロッテというキャラクターの奥行き、深みが出るなと感じたので、フィーネとのやり取りも素敵だなと。
――フィーネとリーゼロッテのやり取りで印象に残っていることはありますか?
楠木:印象的な会話はすごく多いですが、ネタバレを避けるとけっこう難しいですね(笑)。
序盤で言うと、リーゼロッテなりにフィーネを気遣うときに、それを施しだと思われないようにうまく立ち回ろうとして、結局空回っているのがすごく可愛いかったです。あのシーンこそが、リーゼロッテの“ツンデレ悪役令嬢”としての象徴的な場面だと思っています。うまくいかなくて、フィーネに天然な反応をされて、またタジタジして、結果走ってどっか行っちゃうというお決まりの一連の流れがすごく好きですね。
――フィーネ役の富田美憂さんとの共演はいかがでしたか?
楠木:美憂ちゃんのほうが芸歴的には先輩なんですが、同い年で。あまり共演もなかったので、今回ご一緒できたのがまず嬉しかったです。
美憂ちゃんはダウナー系や、サバサバしている子を演じているイメージが強く、フィーネはサバサバはしていても、元気天然系なので、どう演じるのかなと楽しみでした。いざ始まると、すごくガッチリはまっていて。サバサバしているけれど、底抜けに明るくて、ちょっと天然な感じが、すごく可愛いなと。ヒロインとしてのオーラもちゃんとあるというか、つい聞いてしまう声という印象があったので、もっと長く共演できたらいいのになと思っていました。
ジークヴァルトは王子様だけれど、私たちと同じような反応もする「可愛いが詰まったキャラクター」
――ジークヴァルトの印象をお聞かせください。
楠木:ジークヴァルトに対してというより、最初にキャストさんを聞いたときは、「中村さん!」と思い、意外な印象でした。中村さんはいろいろな役をやられていますが、私の中ではオラオラした役のイメージが強かったので、「王子様の役を中村さんがやるってどんな感じなんだろう?」と楽しみになりました。
キャラクターとしては、見ていくと分かるんですが、ジークヴァルトってすごく天然なんです。(遠藤くん、小林さんによる)神の言葉をすんなり受け入れて、知らない言葉に対しても意味を聞いて「それがツンデレなんですね!」のようなな感じで(笑)。それが、リーゼロッテに対しての器の大きさにもつながっているのかなと思います。天然かつ、周りも誰も突っ込まないので、けっこうポヤ~ンと進んでいくんですが、そこがリーゼロッテの激しさとの対比にもなっていて面白いなと思いました。
天然な面がある一方で、ツンデレを理解したあとのムーブというか、女の子を喜ばせることをすんなりできるところもあって、さすが王子様だなとも思いました。「ちょっと天然だけど、すごくカッコいい王子様だな」と、リーゼロッテが好きになる気持ちも分かるなと思って読んでいたんです。
――ジークヴァルトの可愛いところはどんなところでしょうか?
楠木:ジークヴァルトは可愛いが詰まっているキャラクターだと思っています。
特に、ジークヴァルトが「リーゼロッテがかわいすぎる!」と言いながら顔を覆って、あー!ってなっているところが、「私たちと同じ反応をするんだ」と思って(笑)。王子様でもこういう一面があるんだというギャップがすごく可愛いなと思いました。
あとは中盤に、「リーゼロッテに会いたいんだ」という気持ちをすごく前面に出すシーンがあるんですが、そのときのジークヴァルトは、リーゼロッテのように素直になれない面もあったり、自分の立場をわきまえなきゃみたいな責任感を感じたりしていて、その不器用さが可愛いなと思いました。
――中村さんのお芝居はいかがでしたか?
楠木:すごくカッコよかったです! 普段、オラオラ系のお芝居を聞くことが多い分、すごく優しい声色で喋られるし、難しい言葉使いも本当に柔らかく喋られるので、リーゼロッテの気持ちも相まって素敵だなと思いました。
他には、例えば噛んだときに、ジークヴァルトのテンションのまま「あっ」て言うんですよ。「すごい……ギャップ!」と思って。噛むのをひそかに楽しみにしていました(笑)。
ジークヴァルトの朗らかな印象だったり、優しさや器の大きさ、ちょっと天然なところをすごく繊細に演じられていたので、たくさん勉強させていただきました。
――具体的にどういった発見があったのでしょうか?
楠木:この作品は、基本ジークヴァルトが雰囲気を作るというか、リーゼロッテがツンツンしていてちょっとギクシャクしていたところを、実況と解説によってジークヴァルトが理解して、甘い雰囲気に持っていってくれるという流れなんです。
その空気の切り替えというか、言葉にうまく言い表せないんですが、現場の空気感をそっちにグっと引き込んでくれているような印象がありました。
リーゼロッテは、さっきまで怒っていたかと思えばすごく照れだしたり、また急にガラっと顔が変わったりとテンションの上下が激しく、切り替えていくのが難しいなと思っていたんですが、中村さん演じるジークヴァルトがグっと甘い雰囲気に持っていってくださるので、私もそれに乗りやすかったんです。
それを身につけるには至らなかったんですが、言葉にせずとも、お芝居と空気感でそっちに持っていくという感覚は、すごく引き出していただいた感じもありますし、共演させていただけてよかったなと思える点の一つです。
――リーゼロッテが“ツン”な態度で接する相手は、主にジークヴァルトとフィーネだと思いますが、その二人で、演技に違いを付けましたか?
楠木:私の脳内イメージの話にはなるんですが、ジークヴァルトに対しては恋人に怒っているような“怒り”のほうが近く、フィーネにはおせっかいというか、“姑”みたいなイメージです。大きく演技を変えたわけではないんですが、気持ちの持ち方としては、相手によって差は付けたつもりです。
――それ以外のキャラクターに対して接するときは何か意識されたことはありますか?
楠木:バルドゥールに対しては、リーゼロッテのいとこでもある関係で、途中から「あれ」と呼ぶくらいなので、下に見ている雰囲気が出ればいいなとは思いました。あとは基本的に誰に対しても悪役に見えてしまうというのが彼女の良さかなと思うので、怖さもありつつ、「しっかりとした女性」という雰囲気が出ればいいなと思い演じていました。