声優・歌手冥利に尽きる夢のような2日間。作品・キャラクターへの想いを一身に背負い、水樹奈々が紡ぐのはヒーロー達の生き様――WOWOW特集記念「NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023」インタビュー
「LIVE HEROES 2023」ならではの“始まり”を
――ここからは具体的なライブの内容について掘り下げていきます。まずは“-LIGHTNING MODE-”の1曲目は「innocent starter」と、『なのは』シリーズの始まりの楽曲で幕開けとなりました。
水樹:“-BLADE MODE-”はゴリゴリの激しい幕開けになることは決まっていたので(笑)、“-LIGHTNING MODE-”は『なのは』らしく優雅に切々と。でも内に秘めた強さをみなさんに感じていただきたくて。
また、フェイトちゃんの登場シーンと言えば、真夜中のビルの屋上に佇む姿が印象的だったので、“077ビル”という一番高いビルのセットの上から登場することを決めて。過去のライブを踏まえると意外性があるかもしれませんが、『なのは』ファンのみなさんは「始まりの曲と言えばこれだよね」と深く頷いてくださると思い選曲しました。
――水樹さんのライブの1曲目はアッパーな曲から始まることが多いので、最初こそ意外に思いましたが、“-LIGHTNING MODE-”のコンセプトを考えると、おっしゃる通り納得できるんですよね。
水樹:2日間で見せ方をガラリと変えたかったので、1日目は「innocent starter」、2日目は「TESTAMENT」と異なるタイプの楽曲をオープニングナンバーに据えました。同じ屋上から降り立つ演出でも、異なる印象となる面白さを感じていただきたかったですし、ヒーローと言えば高いところから現れるイメージもあったので、両日共に“077ビル”の屋上から登場してライブが始まる構成にしました。
――一方で、“-BLADE MODE-”は序盤から本当に激アツでした。初めてキングレコード・三嶋プロデューサーに心配されたとのことですが(笑)。
水樹:そうなんです、初めて心配されました!(笑) いつもなら「お奈々ならやれるやろ!」というスパルタ式なんですけど、「この2日間、かなり熱量が高い上に2日目はフィジカル的に大変そうだけど、喉も体力も大丈夫?」と心配されました(笑)。
――(笑)
水樹:ちなみに、Cherry Boysのチャンプ(佐藤雄大さん)以外のメンバーは、2日目の方が大変だと話していました。というのも、『なのは』曲はピアノイントロが多い上に速弾きな曲が多くて。総じてキーボードに比重がかかる構成だったので、1日目を無事に終えたところでチャンプだけが「あとは楽しむだけです」という話をしていて(笑)。
一方、残りのメンバーは1日目を終えて「さて、ここから限界突破だ……!」と(笑)。みんなで覚悟を決めて臨んだ“-BLADE MODE-”でした。
――それこそ最初の「TESTAMENT」「FINAL COMMANDER」「Exterminate」は、普段のライブなら本編のラストスパートの流れですよね。
水樹:そうなんです! 最初のブロックからクライマックスのようで大変でした!(笑) 2日目のセットリストから始まるリハーサルの日は、身体が温まっていない状態だと強い負荷がかかってしまうので、家でウォーミングアップしてからスタジオに向かっていました。
――話は少し戻るのですが、オープニングの映像では「HEROES SHOP」というお店で渡された魔法のペンを使い、水樹さんが描いたヒーローに命が宿る……といった内容でした。試行錯誤している最中のイラストは別の方が描かれたものでしたが、最後に出来上がったイラストは水樹さんご自身が描かれたもので……(笑)。
水樹:「HEROES」というタイトルだったので、私としてはカッコよく始めたかったんです! 監督には、プロのイラストレーターさんが描いてくださったイラストのシーンだけでいいのでは?と言ったのですが、「いや、それは奈々ちゃんらしくないよ」「みんなは奈々ちゃんの絵を見たいよ」と言われてしまい(笑)、まさかのクスッと笑いが起こるところからライブが始まりました。でも、そんなひと笑いから始まるのも、もしかしたら私らしいのかなと(笑)。
タイトルにちなんだ話で言えば、オープニング映像もそうですが、アメコミのヒーローのイメージが浮かんだので、アメコミのポップな要素と飛び出す絵本を組み合わせて、舞台セットを作っていただきました。漫画と声優の活動は深く紐付いているものですし、「LIVE HEROES 2023」で歌うのは、私がこれまで演じてきた様々なアニメ・ゲームのキャラクターに寄り添った楽曲ばかり。
きっと親和性が高いのではと思って、ペンをキーアイテムとして用いたり、コミックスをモチーフにした舞台セットにしていただきました。