声優・歌手冥利に尽きる夢のような2日間。作品・キャラクターへの想いを一身に背負い、水樹奈々が紡ぐのはヒーロー達の生き様――WOWOW特集記念「NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023」インタビュー
声優・歌手の水樹奈々さんが、2023年1月21日(土)・22日(日)に開催した、2Daysライブ「NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023」が、WOWOWにて放送・配信!
4月9日(日)には、『魔法少女リリカルなのは』シリーズの楽曲が中心の“-LIGHTNING MODE-”、5月4日(木・祝)には、『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズの楽曲が中心の“-BLADE MODE-”が放送・配信となります。
さらに、6月には、「水樹奈々 Live Archives ~NANA's Selection~」と題して、歴代ライブを自らセレクトした映像を、インタビューと共にお届けし、WOWOWで『水樹奈々3カ月連続スペシャル』として特集!
今回その特集を記念して、水樹さんにインタビューを実施。「NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023」の振り返りや、リハーサル〜当日の裏話、それぞれの作品・楽曲に秘めた思いの丈を語っていただきました!
やっと戻ってきた日常を守り抜く“HEROES”
――改めて「NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023」を終えた感想をお聞かせください。
水樹奈々さん(以下、水樹):とにかく楽しかったです!! 1日22曲のセットリストの中で共通曲は7曲、2日間で合計37曲を披露するという、まったく別のライブを連続で行うようなハードな構成でしたが最高でした!(笑)。
過去にも同じテーマの中で切り口を変え、セットリストを大幅に変えるようなライブはありましたが、その試みも久しぶりで。2度目の東京ドーム公演の「LIVE GALAXY 2016」から数えて7年ぶり、ここも“7(奈々)”にちなんだ形になりました(笑)。
今回は久しぶりのさいたまスーパーアリーナのスタジアムモードでの開催だったため、みなさんにとびきり楽しんでもらえるような内容、そして、これまでの水樹奈々のライブでやったことのないコンセプトに挑戦したいと思い、「HEROES」というコンセプトに決めました。
――なるほど。その「HEROES」に込めた想いについて、詳しくお聞きしてもいいでしょうか?
水樹:少しさかのぼりますが、去年の7月にリリースしたアルバム『DELIGHTED REVIVER』は、コロナ禍で元気がなくなってしまったエンターテインメントを盛り上げていきたい、という想いで制作をしていたんです。
このジャケット写真は、アルバムに込めたメッセージにちなんで、異世界からやってきたヒーローが地球に音楽の力でエネルギーを届けていく、というコンセプトで撮影していて。
そんなアルバムを引っさげた約3年ぶりのツアー「LIVE HOME 2022」は、ライブという自分達のホームグラウンドがやっと帰ってきた! という想いを込めて “HOME”というタイトルを掲げました。
やっと戻ってきたホームグラウンドを、日常を守り抜くという想いを込めて、「LIVE HEROES」というタイトルに決まりました。ちょうど「LIVE HOME 2022」の宮城公演の直後あたりでしたね。
――昨年のアルバム・ツアーの流れを汲んだ上での「HEROES」だったんですね。“-LIGHTNING MODE-”、“-BLADE MODE-”と2日間のテーマはどのような流れで?
水樹:「HEROES」というテーマかつ、2Daysの開催のため、まずは両日でキャプテンとなる作品を決めることになりました。これは本当に偶然だったんですが、「LIVE HOME 2022」には、『魔法少女リリカルなのは(以下、なのは)』シリーズの楽曲がほとんどラインナップされていなかったんです。
そのとき「冬にはたくさん“なのは曲”を聴いてもらいたいよね」という話をしていたので、絶対にフェイトちゃんをキャプテンにした日を作りたいと。そこから“-LIGHTNING MODE-”が生まれました。
そこで対になる作品・キャラクターと言えば『戦姫絶唱シンフォギア(以下、シンフォギア)』シリーズの翼さんだよね、と自然な流れで“-BLADE MODE-”が固まっていって。作品のメインキャラクターと主題歌を担当させていただき、シリーズとしても長く続いている作品が2つも……こんなに幸せなことはありません。私の声優・歌手活動において、多くの経験を積ませてもらった大切な2作品を主軸に構成させていただきました。
――それからセットリストを構成していくと思うんですが……両作品の楽曲だけでも相当な数がありますよね?
水樹:最初にそれぞれの作品の楽曲を書き出しましたが、全部の曲が強すぎるので、どうやって配分すればいいんだろうと(笑)。
もちろんキャプテンとなる作品はありますが、それぞれ「リリカル☆ライブ」「シンフォギアライブ」という作品の音楽ライブが存在するので、“水樹奈々のライブ”として構成するにはどう配置すればいいのか、かなり悩みながら進めていきました。
舞台セットなどの制作物に取り掛かる必要があるため、ツアーが終わって1週間後には第1稿となるセットリストを完成させました。その後プレイリストを作って何度も聴き「この流れ気になるな」「もうちょっとメリハリをつけたいな」と曲を入れ替えたり、スタッフのみなさんのアイディアもいただきながら、最終的にライブで披露したセットリストになりました。多分、第4稿くらいまで変更があったと思います……!
――冒頭のお話の通り、2日間で37曲もありますものね……!
水樹:しかも、『なのは』の楽曲は全部入りきっていなくて!(笑) 同時に、長くシリーズが続き、TVアニメをはじめ映画やゲームなど、いろいろな形で携わらせていただき、こんなにも楽曲を作る機会をいただけている幸せを改めて噛み締めました。
また、『シンフォギア』をはじめ、私の演じたキャラクターは剣を持っていることが多くて(笑)。
――それこそ日本刀から洋風の剣など、幅広い剣をお持ちで(笑)。
水樹:そう、気がつけば剣を持っているんです! きっと私の個性なのかもしれないと思ったり(笑)。こちらも入りきっていない“剣ソング”がまだあって。 “-BLADE MODE-”でも贅沢な楽曲の組み方をさせていただきましたし、「どうしよう! バランスが大変!」と言いつつも、セットリスト作りに幸せを感じていました(笑)。
――今まで声優・歌手として、どちらも精力的に活動してきた水樹さんならではのライブだと思います。
水樹:本当にありがたいことです。それに、ここまでシングル表題曲が並ぶライブは、水樹のライブ史上なかなかなくて。ベストアルバム『THE MUSEUM』を引っさげた「LIVE MUSEUM 2007」以来かもしれません。加えて、表題曲でない曲も、ほとんどがアニメやゲームの主題歌・挿入歌なので、ここまで熱量の高い楽曲が一堂に会するライブは初めてだと思います。
もちろん、いつものライブも水樹らしいパワフルな構成ですが、今回は作品やキャラクターに寄り添った楽曲がほとんど。それらを背負う覚悟や、制作へ懸けるスタッフ・共演者の方々の想いも乗っているため、いつも以上にカロリーが高いライブになっていました。コロナ禍ということでリハーサルは短期集中で行っていましたが、みんなヘトヘトで!(笑)
――これだけの曲の幅があると、必然的にそうなりますよね……!
水樹:リハーサルって、メンバーとディスカッションする場でもありますが、ひたすら自分と向き合う時間でもあって……! 循環するというよりは、エネルギーを放出しては自分のダメだった部分をブラッシュアップしていく、地道なトレーニングを行っているような感覚で。
本番はアドレナリンも出ていますし、なにより会場のファンのみなさんからたくさんのエネルギーをいただいて循環しているので、「もう1ステージできる!」と思えるくらい元気いっぱいになります(笑)。
だから、放出ばかりが続くリハーサルではとにかくお腹が減って(笑)。私に限らず、バンドメンバーのCherry Boysのみなさんも「お腹が空いてたまらない!」と。今回は飛ぶように甘い差し入れがなくなっていきました(笑)。みんながあれほど飢えた状態になるのはなかなかなくて(笑)、それくらいエネルギー消費の激しいライブだったんだなと。
ですが、それと同時に、毎回全力で情熱を注いで楽曲を制作し、1曲1曲大切に向き合ってきた自分たちの歩みを再確認できました。なにより、みなさんの前で披露することで、こんなにも楽曲・キャラクター・作品を愛してもらえていたのだと、1曲歌うことに感動して……。声優・歌手冥利に尽きる、幸せな2日間でした。