この記事をかいた人
- タイラ
- 99年生まれ、沖縄県出身。コロナ禍で大学に通えない間「100日間毎日映画レビュー」を個人ブログで行いライターに。
桜井のりお先生原作の人気漫画『僕の心のヤバイやつ』(以下、僕ヤバ)。2023年4月よりファン待望のTVアニメの放送がスタートしています。筆者も、原作ファンなので喋って動いているキャラクター達の姿を毎週楽しませて頂いています。
本作はTVアニメ化以前から注目されていた作品で、読者が思わずもどかしくなってしまう青春ラブコメストーリー。主人公・市川京太郎(CV:堀江瞬)とヒロインの山田杏奈(CV:羊宮妃那)のプラトニックな恋愛をドキドキ・キュンキュンしながら見守るわけなんですが、何と言っても主人公が凄いんです。
市川は重度の中二病男子。休み時間は基本独りで読書、ノートにイタめ小説のプロットを書く、心の中で同級生たちを小馬鹿にしているなどなど、見る人が見れば心えぐられるような男の子になっています。
そんな彼が学校のヒロインである山田に敵わない恋をしてしまいます。上手くクラスに馴染めず卑屈になり、ニヒルに生きて行こうとしていた市川は、自分への諦めと芽生えてしまった恋心に戸惑いながらも、好きになった人のために、彼なりに行動します。
筆者は、そういう可愛らしくもあり、人間としてかっこいい市川の姿に心を打たれこの作品の虜になってしまったのです。どうしても本作のTVアニメや原作を最後まで皆さんと共に楽しみたいので、作品の魅力と愛してやまない市川という漢の姿をご紹介させてください!
プラトニックな恋が描かれるほか、しっかりとしたコメディ要素(下ネタ多め)が癖になる本作。原作者である桜井先生もアニメ放送時にはキャラたちが漫画と同じようなセリフを発している事に驚き、Twitterで実況ツイートしていました。
📺CSテレ朝チャンネル1📺
— 「僕の心のヤバイやつ」TVアニメ公式@毎週土曜 深夜1時30分~好評放送中!! (@bokuyaba_anime) April 15, 2023
この後、深夜2:30~#僕ヤバ 第3話が放送!✨
『足立翔は、友達の神崎健太・太田力と共に「女子にエッチなことを聞く」ゲス・オブ・ゲスゲームをおっぱじめていた。』https://t.co/nKLpAhsDER
CSテレ朝ch限定💫
放送後には #桜井のりお 先生が選ぶ
見どころ解説も!!!🎶 pic.twitter.com/6OdboVWU25
こんな下品な話原作にあったっけ…#僕ヤバ
— 桜井のりお@僕ヤバ⑧3/8発売&TVアニメ4/1から (@lovely_pig328) April 15, 2023
あったわ…#僕ヤバ
— 桜井のりお@僕ヤバ⑧3/8発売&TVアニメ4/1から (@lovely_pig328) April 15, 2023
市川は上記の通り、中二病でクラスで浮いている子ですが、ヒロインである山田は容姿端麗で明るい性格、モデルもやっていてとても人気のある子です。一見、正反対な2人がなぜ惹かれ合うのか?
現在TVアニメは第3話まで放送されていますが、そこで描かれたエピソードだけでも2人の人柄が伝わります。山田がナンパされているところを助けたり、文化祭での一幕などもそうですし、彼は本を読んでいるポーズを取りながらずっとクラスの様子を観察し心の中でツッコミを入れていました。山田も親友である小林ちひろとのエピソードや、体育の授業で怪我をしてしまった場面からも、山田が実は気を遣うタイプであることが解ります。
市川も山田も「僕/私ってキモくないかな……?」って思っているから、読者までもどかしくなってしまうような距離感の恋になるし、互いを理解し合うまでの道のりが少し遠い。
市川からすると、山田は高嶺の花で、恵まれた環境にいる、羨み・憎むべき存在。しかし、悩みの一つもないと思っていた彼女の人間らしい部分や自分と似た感情を持っている所に気づいて、好きになっていく。対して山田は、自分の悩みや気持ちに寄り添おうとする市川に気づいて徐々に惹かれていきます。
2人の共通点である、他人の目を気にしたり、それ故に気遣いができる部分がこの恋の重要な要素で、ストーリーの軸にもなっているのでは?と筆者は思います。桜井先生もコミックスのコメントにて、「距離や変化を丁寧に描きたい」とおっしゃっていました。
オイオイ、拗らせた男子が人を好きになったから変わるって、そんなの本物の中二病じゃねぇよ! と筆者のような年季の入った拗らせ人間は思ってしまいますが、彼はまだ中学生。多感で心も体も毎秒変化していく時期です。彼のスタンスは十数年間生きた上で、自分なりに身につけた「生きる術」なのです。
市川は優しすぎる人間です。劇中でも、自分を犠牲にしてクラスメイトを守ったり、勝手に勘違いして空回りしてしまうほど。そんな彼は優しすぎるが故に、人を傷つけたくないし、何より自分が嫌われたくないから、踏み込んだコミュニケーションが取れなくて、独りになってしまっています。
彼も人間なので、独りは寂しいし、人の目を気にしてしまうので学校生活で孤立しているのがやっぱり辛い。だからこそ自分を守るために卑屈になったり、中二病のキャラ付けをしているんだろうな、と筆者は思うのです。あえて独りでいるんだぞ、僕の趣味は一般人には理解できないよな! みたいに、精一杯言い聞かせて生きてきたんだなと思うと、市川が尊くてしょうがない。
そんな彼が、経験する「恋」「人と繋がりたい」というある意味での「平凡な気持ち」を受け止めて、自分のことも認めることができるようになっていく過程が素晴らしいのです。
市川最大の武器は、彼の不器用な優しさですよね。その根源にあるのも「周りの目を非常に気にする」という自意識過剰さではないでしょうか。 他人からの評価や、キモイ事してないかな? といちいち気にしてしまうということは、それだけ空気を読んだり、相手の事を考えている証拠。
彼は、しっかり山田の事を考えて、自分ができる範囲(キモさもなく)で山田にしてあげられる事を一生懸命頑張ります。その行動は、善意の押し付け、自己満足、下心丸出しのムーブではありません。人にどう思われているか不安になってしまう市川だからこそできる、本当に相手の事を考えた行動なんですよね。
そして、そんな市川の人間性にちゃんと気づく事ができる山田も神ヒロインですよ。イケメンの先輩から言い寄られたりとモテモテ人生ですが、服も髪型もイケてない市川の不器用な優しさを認めて、中身をきちんと好きになっていく山田。めちゃくちゃ良いヒロインです。
本作を読んでいると、自身も市川のように本当に相手のことを考えて優しくできているのか、山田のように相手の心を感じ取れているのか、とつい考えてしまいます。自分が良かれと思ってしたことが、逆に迷惑だったり、相手のことを深く知りもせずに拒んだりすることありますよね。2人のように間違ったり、傷ついたりしながら、トライしていきたいです。
今回は、市川の優しさや、見習いたくなる丁寧なコミュニケーションにフォーカスして作品を語ってみましたが、『僕ヤバ』には魅力がまだまだあります。山田も良いキャラクターですし、周囲の脇役たちのエピソードもキュンとするような甘酸っぱいものから、熱い友情までたっぷりと描かれています。
もちろん、アニメも映像、演技、音楽など素晴らしいポイントばかりですので、どうか皆さん原作もアニメも最後まで追いかけて行きましょう。筆者は、グッズや映画化を死ぬほど望んでいますので……!
[文/タイラ]
99年生まれ、沖縄県出身。コロナ禍で大学に通えなかったので、「100日間毎日映画レビュー」を個人ブログで行い、ライターに舵をきりました。面白いコンテンツを発掘して、壁に向かってプレゼンするか記事にしています。アニメ、お笑い、音楽、格闘ゲーム、読書など余暇を楽しませてくれるエンタメや可愛い女の子の絵が好きです。なんでもやります!