入念な準備よりも“言われたことにちゃんと応える”心構えが大切――大久保瑠美さん、駒田 航さん、白田千尋さんら歴代受賞者が語る、81オーディションまでの道のり【短期連載第2回】
周りに流されず自分らしさをアピール
――さきほど大久保さんから「フリートーク」の話題がありましたが、そのときは何をお話されたのですか?
大久保:81プロデュースの役員に会うと未だに「お前はフリートークでとったんだよ」って言われるんですよ。
駒田&白田:へえ!
大久保:私の時は最終選考(二次審査)に34人が通過していて、最終審査には7名が進出して、フリートークや歌を披露していました。ただ最終審査は、おそらく(審査が難航したことで)急遽設けられたものだったんじゃないかな。だからフリートークも急に振られたんです。
「夏をテーマにしてフリートークをしてみてください」と。急だったんで、皆さん驚いていたんですよね。で、私は2番目、3番目くらいで。
白田:早い。
大久保:夏かぁ……と思って、自分自身の過去の記憶を振り返ったのですが、私、変質者に遭遇した記憶があって。
白田:え!?
駒田:それリアルな話!?
大久保:はい。オチまで完璧にあったのでインパクトとしては抜群だったみたいで。その時の話をしたら審査員の方たちが笑っていたんですよね。ただ、私がこの話をしてしまったがために後の人たちが「笑いを取らなきゃいけないんだ」と思ったのか、だんだんと話の内容が崩れてしまって。それは申し訳なかったなと思っています。
駒田:いやぁ、圧勝っすね。
大久保:イェーイ!
白田:間違いない!
大久保:それで未だに「お前はフリートークでとったんだ」って言われます。
――でも前の方の意見に流されない力も大事なのかも知れないですね。
一同:大事!
大久保:(同じく最終選考に残った)西山宏太朗くんの話もすごく面白かったんですよ。
――西山さんは特別賞を受賞されてますものね。
駒田:ふたりともそのバイタリティが今もバリバリ活きてますよ。普通の人だったらトラウマになってしまうようなことすら、笑い話にできてしまう。
大久保:結果として何もなかったから笑える話ですけどね(笑)。
――駒田さんがオーディション当時、印象に残っていることというと?
駒田:内容自体の記憶は薄いんですが、めちゃくちゃ覚えていることがあって。結果発表のあと、ある審査委員の方が「ナレーションができていた方はこの中に今日1人もいませんでした」と。自分の中でやりたいものがあの時間で全部出せたかと言えば、そうではないんです。でも明言されると衝撃が大きくて。
個人的には、吹き替えやアニメ、ゲームに興味を持っていたのですが、その言葉を受けてから「この人を驚かせるためにナレーションで最強になってやる!」って思ったんです。
大久保:素敵なエピソード。
駒田:だから「今どの仕事が一番したいですか」と問われたら、僕はナレーションが一番したいです。「今後できる仕事のジャンルをひとつだけ決めてください」と言われても、同様にナレーションを選びます。それだけ、その人につけられた火が強かったんです。
複雑じゃないですか。優秀賞(グランプリ)はいただけましたけど……「君も含めて誰もナレーションできてないよ」って言われたわけで。それ以降、ナレーションを披露する場も修練する場もなかなかなかった中で、ずっとその火を燃やし続けてきました。だから良いきっかけをもらいました。
――結果的にそれがモチベーションになったんですね。
駒田:そうですね。演技然り、何をもって上手いというか、正直基準はないと思うんです。でもひとりでも多くの人に「良い」と思わせるためには何が必要なんだろうと、ずっと模索してきました。その痛烈な一言で「くやしい!」と思いつつも、「いつかは必ず見返してやる!」という気持ちにはなれたのは良かったですね。
――白田さんがさきほどからずっと授業を受けているかのようにずっと小声で「はい!」とお返事されていて(笑)。
白田:なかなかお聞きできないお話ばかりなので、私自身も勉強になります。私が鮮明に覚えていることは、さきほどお話したトークくらいで。練習してきたセリフを直前に変えたことや、休憩中にご飯を食べていたら彩佐(後藤彩佐さん/特別賞・文化放送賞も受賞)から「私、何も持ってきていないんだよね」と話しかけられたので、パンをあげました(笑)。私の時はちょっと変わった方が多かったような気もします。中には、ジャージで「クラウチングスタートします!」という方もいて。
駒田:へえ! その人の結果は?
白田:特別賞を取りました(JOYSOUND賞・スタジオディーン・文化放送賞も同時受賞)。齋藤 峻です。
駒田:えーっ!!! 彼が!? クラウチングスタート!?
大久保:どんな人なんだろう?
駒田:すごく良い子で、良い声をしてるんですよ。好青年です。ただ、めちゃくちゃ大人びてます。(受賞した写真を見ながら)あれ、当時18歳!? てっきり僕らの1、2歳下なんじゃないかなと思ってました。
白田:オーディションでは確か「宇宙戦艦ヤマト」を歌っていたと思います(笑)。配信では杉田(智和)さんに似てるというコメントがたくさん寄せられていました。杉田さんもラジオでそのお話をされていたそうです。
駒田:普通、ジャージだと奇をてらったような感じになってしまいそうですけど、彼の場合は出すもの出したんでしょうね。
白田:会場全体を巻き込んでいて、皆さん笑っていましたね。空気を一番掴んでいたのは彼だと思います。真顔で淡々と面白いことを言っていくんです。
大久保:うちは正統派な人も多いから「違う方向の人も欲しい」と思ったのかも知れませんね。これからオーディションを受けられる方は過去の受賞者や動画を見て「こういうタイプの人が受かりやすいのかな」と研究されているかもしれないのですが、去年受かった人と似ていたら、去年の人がいるからきっと要らないんです。だからそれまでの受賞者とは似せずに、別方向で攻めたほうが良いのかな、と私は思いますね。
――駒田さんは受賞者の分析もされていたのでしょうか。
駒田:僕の時は情報が少なかったので。データが残っていたのがギリギリ所属されたばかりの瑠美さんと、瑠美さんの同期の宏太朗くん(西山宏太朗さん)のボイスサンプルくらいだったんですよね。
大久保:あったんだ!
駒田:ホームページにボイスサンプルが出ていたので、それを聞きました。同世代のボイスサンプルを聞いたときに、声質感やキャラクター性はそこまで自分と被っていない印象でした。なんにしても、個性を出そうと小細工したところでうまくできる人でもないので、自分はそのままやってみるしかないかなという気持ちでした。
――では次回はオーディションを受ける方たちへの具体的なアドバイスも伺えればと思います。
★次回は5月4日(木)19時に掲載予定です。
インタビュー・逆井マリ
撮影・鳥谷部宏平
オーディション概要
【名称】
第17回81オーディション<エイティワンオーディション>
【主催】
株式会社81プロデュース
【開催日(予定)】
応募期間 2023年4月1日(土)0:00~2023年5月15日(月)23:59エントリー完了
2次審査 東日本(東京)会場:2023年6月10日(土)・6月11日(日)
西日本(大阪)会場:2023年6月17日(土)・6月18日(日)
*2次審査は上記日程のうち、いずれかの日で1時間程度の拘束を予定しております。
最終選考 2023年8月1日(火)
*主催者の都合や天災等の事情により、日程は変更される場合もございます。
【会場】
東京都内を予定
【応募受付期間】
2023年4月1日(土)0:00~2023年5月15日(月)23:59エントリー完了
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