人の内側と外側がリンクしていないということを改めて気づかされた│アニメ『スキップとローファー』村重結月役・内田真礼さんインタビュー【リレー連載:第4回】
4月より好評放送中のTVアニメ『スキップとローファー』。多難の入学式からスタートした主人公・みつみの高校生活も3ヶ月が過ぎ、周囲の人間関係も少しずつ変化してきました。クラスでも一目置かれる美人で、ちょっと近寄りがたい雰囲気の結月でしたが、みつみたちとカラオケや映画に行くうちに、印象が変わってきて……?
十人十色、だけど、きっとあなたとの共通点が見つかる、魅力的なキャラクターたちを深掘りするべく、アニメイトタイムズではキャスト陣のリレー連載をお届けします。第4回は村重結月役の内田真礼さんです! 美人で少しとっつきにくかった結月がどんどん可愛くなっていく、その過程には不思議なリンクがありました。
自分も純粋になれるような気がしました
――初めて本作に触れたときの印象をお聞かせください。
内田真礼さん(以下、内田):原作をオーディションのときに読ませていただいて、読めば読むほど心が洗われるというか……みつみがあまりにも素直に気持ちを明かしてくれるので、こんなに真っ直ぐに進んでいくことができるんだなと思いました。彼女からキラキラを受け取って、自分も純粋になれるような気がしました。
――みつみの魅力にまず惹かれたんですね。
内田:一番普通っぽいというか……プレーンな空気を放っているんですけど、意外といないんですよね、こういう子って。本当に純粋で、真っ直ぐ夢に向かって進んでいる。なんかヒーローっぽいなと思うときもあります。彼女のパワーに当てられて、周囲も少しずつ前に進めたり、影響を受けて変わっていくんですよね。本人はたいしたことをしてるつもりはないんだろうけど、太陽のような人だなあと思っています。いなくなると困っちゃうみたいな、そんな感じ。私は東京生まれなので、彼女の純朴さは自分にはないものだなと思います。
――結月に対してはどんな印象を持たれましたか?
内田:怖いみたいなとっつきにくさが、みつみから見た東京の人のイメージなのかなと思いました。美人であればあるほどとっつきにくさって出ちゃうじゃないですか。見た目で判断されちゃうから、なおさら構えてしまう。でも、そんな彼女も読んでいくとどんどん可愛くなっていくんですよね。子供っぽい顔も見せてくれるようになって、本質は違うことがわかっていく。人の内側と外側ってリンクしてないんだなと、私自身も気づかされた気がして、演じているときはその辺をすごく意識しました。
――内面と外側の違いを意識されたとのことですが、演じられていて難しかったことはありますか?
内田:見え方、でしょうか。こういうセリフを言っていて、こんな表情をしているけれど、内心はどんなことを考えているのかなと想像しながら演じていました。最初の頃、彼女は周囲との間に一本の線を張って、それで自分を保っているようなところがあったと思うんですよ。ただ、そこを強調しすぎても違う気もしたんです。まだ高校生だし、上手にできなくて当たり前ですよね。だから、現場で柔軟に決められるように、あまり固めすぎずに挑みました。相手から来たお芝居に対して素直に反応することを心がけて演じれば、それで溶けていくものだったり、変わっていくものもあるかなって思ったので。
初めての現場って緊張するんですよね。自分が芝居することへのドキドキもあるし、どんな空気だろうって不安もあって。その周りを探る自分の気持ちと、結月のクラスメイトたちへの気持ちがリンクして、いい塩梅で壁を作れた感じがしています。でも、(黒沢)ともよとかが壁を壊してバンバン入ってくるんですよね(笑)。そこもキャラクターとリンクしている気がして不思議でした。
――学校みたいで、大変楽しい現場だったと伺いました。
内田:久しぶりに皆で収録できた現場だった気がします。頭からちゃんとできたし、時間も長めにとってもらって……何より登場人物同士でセリフの掛け合いができたのが大きかったですね。シーンごとに録ってはいるんですが、出番のない人も外で待っていて、その存在を感じながらできましたし。こういう作品だからこそ、ちゃんと喋りたいなと思っていたので、掛け合いを大事にしてもらって、この作品に関してはすごく恵まれていたなという風に思いますね。ワンクールという時間ではあるんですけど、皆とめっちゃ仲良くなれたし、それはそういう現場作りをしていただいたからというのが大きかったと思います。
――音響監督さんからはどういったディレクションがありましたか?
内田:オーディションのときのままでやってくださいと言われたのが印象的でした。そんな言葉をいただいて嬉しくて、オーディションで正解だったんだと安心した記憶があります。ただ、あまり強くなりすぎないでください、というようなことは言われました。仲良くなりたい気持ちもあるので、心を閉ざしているわけではないんですよね。外側から見えてる面と内側で葛藤してる部分の表現が難しくて。拾い落としがないように台本を読み込んだり、表情などは原作も細かく描かれているので、そちらを参考にしたりしました。
――馴染めたと感じたのは具体的に何話ぐらいからなんでしょうか。
内田:わりと最初……みんなでポップコーン食べたときはもう楽しかったですね。それからクラスマッチがあって、夏休みに入って……この辺から、作品でも収録でも心の距離が縮まっていった感じですね。女の子たちや(志摩役の)江越くんなんかとわちゃわちゃしてた感じで、不思議でした。明るい人が多かったんですよ、現場に。柔らかい空気の陽だまり系の人が多かったみたいで、浮いた人がいなくて、現場もふわーっと暖かい感じがしました。もちろん、現場としての厳しさや緊張感はあるんですけどね。役に入り込んで一人で集中するというより、休憩時間はみんなでお喋りして、収録ブースに入ったらビリッと締まる、みたいな。みんななんとなく、テンションが揃っている感じでした。