『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』SHOBON役・斉藤壮馬さんインタビュー|ザ・悪役感のある“声優になったら一度は言ってみたい台詞”を言えて満足!?【連載第8回】
気鋭のクリエイター・JUN INAGAWAさん原案による愛と狂気と破壊の物語。オリジナルTVアニメーション『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』が放送中!
本作は、若き革命者・オタクヒーローと、彼を慕う3人の魔法少女・アナーキー、ブルー、ピンク、そしてさまざまなオタクたちが、あらゆるオタク文化が排除された世界で、謎の勢力に戦いを挑む作品です。
アニメイトタイムズでは、出演者の放送後インタビューを掲載! 第8回は、オタクヒーローたちの前に立ちはだかる、オタク文化弾圧を推し進める「SSC」のリーダー・SHOBONを演じる斉藤壮馬さん。四天王戦のあとに本格参戦すると見込まれるので、物語後半の活躍も楽しみです!
SHOBONのキーワードは「上から目線」。前半は得体の知れなさを楽しんでほしい
ーー原案のJUN INAGAWAさんはご存知でしたか?
SHOBON役・斉藤壮馬さん(以下、斉藤):名前は存じ上げていたのですが、作品でお世話になることを知ってから、改めていろいろと調べさせていただきました。そこで、これまでにいろいろな形で作品や絵を目にしていたんだなぁということに気付かされました。あと、お好きなものが結構自分と近い感じがしたので、フィーリングが合いそうなアーティストさんの原案作品に携わることができて嬉しいなというのが、率直な意見です。
ーー音楽の好みが、30代40代がもろに直撃していたアーティストでしたし、斉藤さんと合いそうだなと思っていました。
斉藤:ですよね。インタビューなども拝読したんですが、どうやってそこに辿り着いたんだろうと思いました。
ーーいわゆるサブカル好きにはたまらない作品にはなりそうだなという期待感がありましたよね。
斉藤:JUNさんの想像力の中での世界が、どうやってアニメーションになるのかというところは、アフレコ段階ではあまり見られていないので、めちゃくちゃ動くアニメになったらすごくカッコいいだろうなって、アニメオタクの気持ち的には震えていました。(※アフレコ期間中にインタビューを実施)
ーー世界観のどんなところに魅力を感じましたか?
斉藤:同時発生的に、こういう作品が生まれてきている感じがするんです。エンターテインメントが輝ききれなくなっている世界の物語をフィクションで作りたい!という気持ちを持った方々が出てきているのかなと感じました。
この作品はSHOBONがリーダーの「SSC」がオタクカルチャーを規制しているという物語なんですが、僕が10代の頃って、アニメが好きと言ったら「アニメなんて見るんだ」みたいに言われることもあったんです。特に地方に住んでいたこともあるんでしょうけど。
そういう、好きなものを素直に好きと言えないような、抑圧される状況って、いろいろなシチュエーションでもあるのかなと思っていて。いわゆるオタクカルチャーを入り口にしていますが、間口はかなり広い作品なのではないかなと感じますし、そこがいいですよね。尖っているけど、ちゃんと開かれてもいるというか。
ーー確かにアニメに限らず、「そんなの好きなの?」って言われることで、自分の好きなものを言えなくなってしまったりしますよね。特に今は同調圧力が強い時代でもありますし。個人的には昔から、自分が好きなものは好きと言うタイプではありましたが……。
斉藤:僕もどちらかというとそのタイプです(笑)。でも誰だって、好きなものを否定されたくはないでしょうからね。
ーー斉藤さんが演じているSHOBONですが、すごくいいキャラクターですよね。
斉藤:ここまでは「Cパートの人」みたいになっていますが、楽しいですね(笑)。最近、こういう黒幕のような立ち位置のキャラクターを振っていただくことが増えてきていて、非常に嬉しいです。なので、黒幕には黒幕の説得力というのを身に付けていかないとな、と思っています。もともとオタクヒーローをオーディションで受けていて、それがSHOBONさんになったという流れではあるんですけど。
ーーオタクヒーローで受けていたのですね!
斉藤:受けるときに、最初から諦めてしまうことってあまりないんですが、「オタクヒーローはおそらく自分ではないだろうな」と思って受けたんですよ(笑)。でも、資料を拝見した段階からピンとくるものがあって、どんな立ち位置でもいいから、なんとかして拘れないだろうかと考えていました。
この現場では、作品やキャラクターがどうとか、どういう経緯でSHOBONに決めてくださって、こうしてくださいというのもあまりなかったんです。まず台本を読んだときの、素直なフィーリングを大切にしてくださるというか。唯一、音響監督の本山哲さんからは、「終始上から目線でしゃべってください」というディレクションをいただいて、それ以外はほぼわからない状態だったんですが、結果的に役者としてやりがいのあるキャラクターに出会えたので、自分も特に終盤はより魂を込めて、いろいろな表情を見せられるようにしました。SHOBONがいることで、主人公たちがより魅力的に映ればいいなと思いながら演じていました。
あと、オタクヒーロー役の古川慎さんとは、分散収録のため一度も掛け合いで録れず、僕は一人で録ることが多かったので、わりとしょぼん……と、していました。
ーー(笑)。
斉藤:ただ、収録済みの音声は聴かせていただけて。ストーリー終盤の古川さんのオタクヒーローは本当に痺れたので、早くオンエアを見たいなと思っています。
ーーなぜSHOBON役になったのかというところですが。
斉藤:(スタッフさんに)何か決め手とかはあったのですか?
プロデューサー・亀井博司氏(MBS):SHOBONって、上から目線というところから、いろんな表情を見せていくんです。そこの演じ分けができて、しかもそれに説得力がある。あと声にボス感もあるというのを考えたときに、斉藤さんがいいのではないかという話になりました。
斉藤:ありがとうございます! 詳しくは言えないんですが、第11話で、「これが選ばれた理由かな?」と思うシーンがあったんですが、そこではなかったんですね(笑)。
プロデューサー・亀井博司氏(MBS):それは偶然です(笑)。
斉藤:第7話まで見ていただいた方ならわかると思うんですが、SHOBONさんの本心とか、彼自身の感情については、まだまだわからない部分が多いですよね。それは僕も同じでした(笑)。ちょっと焦らされるような感じも味わわせてくれるし、結果的に、やっていてすごく楽しかったです。
ーー毎回、これから演じる1話分の台本だけをヒントに演じていたのですね。
斉藤:そうなんです。それが結果的に、芝居を複雑にしすぎなくて良かったのかもしれないですね。頭でごちゃごちゃ考えるというより、クライマックスもシンプルに演じることができたので。そのあたりでSHOBONの気持ちもわかると思うので、第8話以降が本格参戦だと思っておいてください。
ーーそうなると、第7話時点でSHOBONの魅力を語るのは難しいですか?
斉藤:やっぱり見た目ですかね。「あの、あれじゃん!」と思いました(笑)。そういえば、年齢感はどのくらいなのかと思ったのですが、そこまで大人っぽい、いかにも敵役ですというような声にしすぎていないんです。それはこの先にわかることになるかもしれません。とにかくキャラ絵のインパクトがすごいですよね。
一番ありがたかったのは、ピンク(CV.黒沢ともよ)と同じくSHOBONに関しても、ボールドはあまり気にしなくて良かったんです(笑)。口パクを気にしなくていいから、ちょっと尺からこぼれちゃうけどたっぷり目にやりたいシーンなどは、ワガママにやらせていただきました。
あと、要所要所にちょっとだけ出てきて意味深なことを言っていくキャラクターって、いろいろな作品に出てくるじゃないですか。そういうポジションのキャラクターがオタクとして大好きなので、毎週ワクワクしながら演じていました。なので、第7話までは得体の知れなさを楽しんでいただけたらいいのかなって思います。
ーー本当に思わせぶりなことを言っていますよね。でも斉藤さんもその先を知らずに演じていたと思うと面白いです。
斉藤:(先の展開を)聞いても良かったんですけどね(笑)。もし大幅に違っていたら、その場で修正できますし、自分も毎週物語を追っていく楽しみを味わいたいという思いもあったので、結果的にそれは良かったなと思います。
ーー上から目線というのはどうでした?
斉藤:それは、あまり悩みませんでした(笑)。嫌味なキャラとか、論理的にくどくどいうキャラクターと出会う機会も多いので、そういう点で呼んでいただけたのかなと個人的には思っていたんです。むしろ最初の段階で「上から目線で」というシンプルなディレクションをいただけたことが指針になりました。
ただ、上からだとキーが少し高くなってしまうときがあるので、SHOBON感がありつつも幼くなりすぎないように、という塩梅は考えました。見てくれる方が、なんだかわからないけど腹が立つ人だなと思ってくれたら、それは作品に貢献できたのかなと思います。
ーー何だかこの顔も腹が立つ気がしてきました(笑)。
斉藤:刺さる方には刺さるかもしれないですが、万人に好かれるようなキャラではないですからね(笑)。
ーー斉藤さん的に気になるキャラクターはいましたか?
斉藤:ブルーが結構好きです。愛美さんとは以前、長期作品でご一緒したことがあるのですが、現場でご一緒するのは久しぶりで。関西のご出身なので、関西弁がとても素敵だなと。お芝居は、魔法少女の3人もまだ断片的にしか聞けていないんですが、今のところはブルー推しかなぁ。作品全体を通して、「大丈夫かな?」っていう攻めた台詞も多かったので、そのあたりがどうなっているのかも気になります(笑)。
あとはニック(CV.興津和幸)も好きですね。いろんなオタクのキャラクターたちが濃くて、キャストも錚々たる方々がやっていますが、ゲーオタ役の子安武人さんと一緒に収録ができたんです。そのときは、やっぱりすごいな!と思いました。