『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』公開記念! これまでのシリーズ6作品のストーリーを一気に振り返る!
『劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~』
テレビアニメ第2期で描いた全国大会までの流れをなぞった総集編。いろいろな角度からキャラクターや関係性を深掘りしていったテレビシリーズとは異なり、久美子とあすか先輩の物語に重きをおいた構成になっています。
『劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~』の見どころ
第1期総集編よりもおそらく新規カットが多い『届けたいメロディ』。冒頭に登場するあすかの小学生時代のシーンや回想シーンは新規カットです。部内で見せる大人びた立ち居振る舞いとは全く違う、キラキラした愛らしいあすか。その姿はその後展開するほろ苦い青春劇と対照的で、出た瞬間だけでなく、作品を観終わって振り返ったときにも再び感動できるシーンです。
あすか先輩に関する重要なシーンでは多くの新規カットが使われていて、久美子との絆がより深く鮮明に描き出されています。
その他、コンクールの演奏シーンにも多くの新規カットが追加されています。このおかげで、久美子とあすか先輩の絆の物語だけではなく、吹奏楽部を描いた物語としても楽しむことができます。
『リズと青い鳥』
『リズと青い鳥』は『響け!ユーフォニアム』シリーズのスピンオフ作品です。学年がひとつ上がり、気持ち新たに今年のコンクールに向けて練習に励む北宇治高校吹奏楽部。本作は、地方大会の自由曲「リズと青い鳥」で掛け合いの二重奏を演奏することになった3年生でオーボエ担当の鎧塚みぞれと、同じく3年生でフルート担当の傘木希美の物語です。
『リズと青い鳥』の見どころ
『リズと青い鳥』は、テレビシリーズとはキャラクターデザインも監督も変えて制作されています。作品の空気感は、キラキラした熱い青春というより静かに燃える青春、といった印象です。
希美とみぞれそれぞれの心の揺らぎを丁寧になぞりながら物語は進みます。絵本パートと現実パートが交互にくることで希美とみぞれの関係性を象徴するさまざまな対比を浮き彫りにしていく本作。『響け!ユーフォニアム』シリーズのリアルな青春を描く魅力はそのままに、さらにじんわりと深い感動が押し寄せてくる感じです。
本作の中枢である希美とみぞれの関係性については、友情、恋心、依存心、劣等感、競争心などさまざまな解釈ができるオープンな描き方になっていて、観るたびに違う発見にハッとさせられます。
個人的には、テレビシリーズ第1期と同じプールにいくというエピソードがあったところが、作品を超えて久美子と麗奈、希美とみぞれという対比を作っているようで密かに感銘を受けました。『響け!ユーフォニアム』を少し違う角度から楽しむ、あるいは淡く強いメッセージ性のある青春映画を楽しむ、どちらの視点で観ても満足できる作品です。
『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』
劇場版4作品目は完全新作の続編です。『リズと青い鳥』と同じ年を舞台に、改めて北宇治高校吹奏楽部の挑戦と葛藤の日々を描きます。本作で久美子も2年生。新入生指導係となり、新たに入部した1年生たちとも交流していきます。吹奏楽部は今年も無事全国大会にすすむことができるのでしょうか。
『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』の見どころ
2年生になった久美子は同級生でトロンボーン担当の秀一と両思いになったり、部の新入生指導係に抜擢されたりと春から大忙し。中でも久美子はユーフォニアム希望で入部した1年生、久石 奏の言動が気になり、それは最終的にある事件へと発展します。
『誓いのフィナーレ』が今までと一番違う点は久美子の描写ではないでしょうか。1年生の久石奏を説得する時も、秀一にプレゼントを返す時も、久美子は自分自身の意思で行動します。
今まで周りに巻き込まれた結果の行動が多かった久美子でしたが、本作は彼女の決断や行動で物語が展開していきます。過去作品を観てきた人にとっては見ていて新鮮ですし、初めての人も自然と応援したくなる作りです。
ただし、久美子を中心に据えても本作のテーマはあくまで吹奏楽部の軌跡を追うこと。そしてその期待を裏切ることなく演奏シーンは臨場感と迫力で溢れています。マーチングとコンクールの演奏シーンがあるのですが、それぞれの環境での音の響きや光の当たり方など、抜かりなく細やかに描かれています。これは、『響け!ユーフォニアム』シリーズ全てにいえることですが、演奏シーンだけでも何度も見返したくなってしまいます。
おわりに
部活動を通して得たものや経験したものが卒業後も何かしらの糧になっている人は、少なくないのではないでしょうか。例えば努力と成果の間で悩んだり、将来への漠然とした焦りを感じたり。
『響け!ユーフォニアム』シリーズでは、吹奏楽部に入っていた人はもちろん、何かに打ち込んだ経験のある人なら誰しも共感できる感情や行動が描かれています。そこに生命力のある作画と丁寧なアニメーションが加わることで、久美子たちの青春の一瞬一瞬がよりリアルに感じられるのです。
8月4日に公開される『響け!ユーフォニアム 〜アンサンブルコンテスト〜』では、黄前久美子を部長に据え、新たにスタートを切った北宇治高校吹奏楽部が舞台。今回のチャレンジは少人数で演奏するアンサンブルコンテストです。
久美子たちにどんな試練が待ち受けていて、彼女たちはどのように立ち向かっていくのか。またハンカチ片手に応援しましょう!