夏アニメ『AIの遺電子』連載インタビュー第1回:OPテーマアーティスト/Aile The Shota|「境界線に愛はない」は、現代を生きる僕たちにとっても大事な言葉
医者が主人公であることも愛に繋がる大きな要素だった
――Aile The Shotaさんはご自身の楽曲でもさまざまな側面から愛を描かれています。それは今回の楽曲にも入れたいと考えられていたのですか?
Aile The Shota:最初から「こういう愛を描こう」という考えはなくて。それこそ『AIの遺電子』は答えのない物語が続いていって、不確かな答えと向き合わないといけない作品ですよね。そこで僕はいったい何を言えるのか。そう考えたときに、ヒューマノイドでもヒトでも愛を軸に進んでいることは間違いないと感じたんですね。その愛を正解だと信じて進むこと。それがこの作品の唯一無二性であり、アイデンティティであり、楽曲を通じて伝えられるメッセージなのかなって。
それから、医者が主人公であることも愛に繋がる大きな要素でしたね。これもまた愛に帰結するものだと思って、そこでまた愛が描けるなと曲の全体像が明確になりました。
――確かに、「その愛が正解かどうか」よりも「その愛を正解だと信じるかどうか」が重要な作品だと感じます。
Aile The Shota:そうなんです。それもキーワードの1つになりました。
――アニメの制作サイドからは、何かリクエストはあったのでしょうか?
Aile The Shota:「不安定さ」や「ディストピア」といったキーワードをいくつかいただきました。作品と僕の感覚を結びつけていくやり方になるので、そういったキーワードをいただけたのはとてもありがたかったですね。
――そのキーワードはすんなりと落とし込めました?
Aile The Shota:そうですね。最初にお話をいただいたタイミングでキーワードも添えられていて。それを元に原作を読み進められたので、読んでいてそのキーワードをいただいた理由がわかってくるというか。例えば「“ディストピア”と言っていたのはこういうことか、だったら僕はそれを“汚れなきユートピア”にしよう」といった感じですね。
――先ほどサウンドのお話もありましたが、サウンドや作曲については、プロデューサーのRyosuke“Dr.R”Sakaiさんとどのような話し合いをされたのでしょう?
Aile The Shota:まずDr.Rとは「こういう作品の主題歌を作りたい」「制作チームからこういうキーワードをいただいている」と、1つ1つ情報を共有して、「じゃあこういう音かな」とゼロから音作りをしていきました。制作サイドからいただいたキーワードと僕の解釈、Dr.Rの解釈を合わせていくようなアプローチですね。その場に(音楽事務所・レーベルのBMSG)SKY-HIがいてくれたのも心強かったです。
――というと?
Aile The Shota:彼がもともと原作の大ファンなんですよ。いろいろなタイミングで「その方向で間違ってない」と言ってくれて。そのおかげで迷いなく進められました。
――サウンドもメロディも力強くて、冒頭からざわっとなりました。
Aile The Shota:ありがとうございます。セッションしながら仮のトラックができて、ビートができたときに、歌詞もないメロディをフリースタイルで宇宙語のような感じで乗せていったんです。なかにはサビのメロディとして作ったものの1つがAメロに使われていたりするので、それが主題歌としてのポテンシャルに繋がったのかなと思います。ある意味、全部サビのような力の入れ方でした。
――オープニング映像をご覧になった感想はいかがでしたか?
Aile The Shota:完成前の映像を一度見せていただいたときは、もう衝撃的でしたね(笑)。オープニングの映像に自分の声が乗っていて、ちゃんとハマっている。驚きとともに、よかったなという安心感がありました。
歌詞に関しても一発OKだったんです。制作スタッフさんからいただいたテーマを自分なりに回収できたことが嬉しくて。オープニング主題歌の発表があったときに、原作の山田胡瓜先生からの嬉しいツイートもあって、改めて大正解を出せてよかったなと(笑)。
――ところで、Aile The Shotaさんは本作に出てくるようなヒューマノイドとの共生は可能だと思いますか?
Aile The Shota:第1話のように最初からヒューマノイドと共生している世界、すでにヒューマノイドが馴染んでいる世界に生まれていれば違和感はないと思いますね。ヒューマノイドがこれから現実になるとしても、共生できるようなマインドではありたいです。
――最近は、あらゆるものにAIが取り入れられるようになりましたが、そのあたりはどのようにとらえていますか?
Aile The Shota:音楽でも、あるアーティストの曲を他のアーティストの声で再現するAIもありますけど、面白い技術だなと思う反面、やっぱりクリエイター側の立場からすると難しい問題だなと思いますね。重要なのはAIを活用する人間の愛やリスペクトだと思うので、そのバランスがうまく取れれば、希望的観測ですがお互いにいい影響を与えられるんじゃないかな、と。
――確かに、愛やリスペクトが大切になってくるのかもしれません。
Aile The Shota:もはやAIは無視できない存在ですし、その存在のことを誰もが考えていかないといけない時代だと思います。大きな助っ人とも取れるし、敵ともなり得る存在ですから。まさにこの作品の答えのなさのように、答えを1つ1つ、1人1人が考えていかないといけない問題なんだと思います。
オープニングテーマ:「No Frontier」/Aile The Shota
2023年7月5日(水)配信リリース
関連リンク
TVアニメ『AIの遺電子』作品情報
放送・配信情報
2023年7月7日よりMBS・TBS・BS-TBS ”アニメイズム”枠ほかにて放送中!
■放送情報
MBS:毎週金曜日 25:53~
TBS:毎週金曜日 25:53~
BS-TBS:毎週金曜日 26:30~
AT-X:毎週日曜日 23:30~
【リピート放送】毎週木曜日 29:30~ / 毎週日曜日 8:30~
RKK:毎週金曜日 26:23~
■配信情報
U-NEXT、アニメ放題、dアニメストアほか、各配信サイトでも配信中!
・7月7日より 毎週金曜日26:25~ 配信開始
U-NEXT・アニメ放題
・7月11日より 毎週火曜日24:00~ 配信開始
dアニメストア
・7月14日より 毎週金曜日22:00以降 順次配信開始
ABEMA・Amazon Prime Video・DMM TV・Hulu・FOD
バンダイチャンネル・ニコニコチャンネル・MBS動画イズム
TVer・Lemino・WOWOWオンデマンド・クランクイン!ビデオ
Google Play・J:COMオンデマンド・auスマートパスプレミアム
TELASA・milplus(みるプラス)・HAPPY!動画
イントロダクション
これは、私たちの未来の物語――。
21世紀に始まったAIの圧倒的な進歩は、社会の発展に寄与する一方、高い知性を持つ機械を道具として使う是非を、人類に突きつけた。
そして22世紀後半。
人々は「産業AI」とは別格の存在として、人権を持った「ヒューマノイド」を当たり前に受け入れ、共に暮らしている。
須堂光は、ヒューマノイドを治す新医科の医者として、ヒトとAIの共存がもたらす「新たな病」に向き合っていく。
時に、裏の顔も使いながら……。
キャスト
須堂 光:大塚剛央
樋口リサ:宮本侑芽
ジェイ:岩中睦樹
カオル:高森奈津美
スタッフ
原作:山田胡瓜(秋田書店「少年チャンピオン・コミックス」刊)
監督:佐藤雄三
シリーズ構成・脚本:金月龍之介
キャラクターデザイン・総作画監督:土屋 圭
サブキャラクターデザイン:尾崎智美
色彩設計:中内照美
美術設定監修:矢内京子
美術設定:田中 涼
美術ボード:河野 羚
撮影監督:畑中宏信(グラフィニカ)
モニターグラフィックス:加藤道哉(サイクロングラフィックス)
編集:塚常真理子
音楽:大間々 昂、田渕夏海
音響監督:小泉紀介
音響効果:山谷尚人(サウンドボックス)
音楽プロデューサー:水田大介
音楽制作:日音
音響制作:Bit grooove promotion
アニメーション制作:マッドハウス
製作:AIの遺電子製作委員会2023
主題歌情報
オープニングテーマ:「No Frontier」/Aile The Shota
エンディングテーマ:「勿忘草」/GReeeeN