『君たちはどう生きるか』が本日公開!映画『コクリコ坂から』が「金ロー」にて放送決定!|見どころ紹介、制作現場を収めたドキュメンタリー「ふたり」とは?【ネタバレあり】
海の見える下宿屋・コクリコ荘を切り盛りする父を亡くした少女・海と、「カルチェラタン」と呼ばれる古い部室棟の取り壊しを防ぐべく運動を起こす少年・俊の恋愛模様を描いた作品『コクリコ坂から』。
オリンピック前夜、高度経済成長へ向けて動き出そうとする日本を舞台としており、ふたりの甘酸っぱく、辛い恋の物語と「カルチェラタン」を巡った学園紛争をノスタルジーたっぷりに描いた人気作品です。
そんな本作が、7月14日「金曜ロードショー」にて地上波放送決定! 「金ロー」では最新映画『君たちはどう生きるか』の公開を記念したジブリ映画特集が組まれており、本作は記念するべき公開日に放送されます。宮崎駿監督の10年ぶりの新作長編公開の日に、その息子である宮崎吾朗監督の作品を地上波放送されるなんてなんだかニクいですよね。
本稿では映画『コクリコ坂から』のあらすじ、見どころをネタバレ解説! また、NHKにて放送された『コクリコ坂から』の制作現場、そして宮崎親子の様子をカメラに収めたドキュメンタリー『ふたり/コクリコ坂・父と子の300日戦争~宮崎駿×宮崎吾朗~』についてもご紹介させていただきます。
目次
『コクリコ坂から』作品情報・あらすじ
あらすじ
キャスト
(C) 2011 高橋千鶴・佐山哲郎・GNDHDDT
『コクリコ坂から』の見どころ・名シーンまとめ!
衝撃的な出会いから始まる海と俊の物語
物語の主題となる海と俊の恋の物語は、衝撃的な出会いから始まります。ある日、外で昼食を取っていた海の目の前に俊が落ちてくるのです。
俊はカルチェラタン取り壊し反対のアピールのために、カルチェラタンの屋根の上から防火水槽へとダイブするパフォーマンスを決行。飛び降りの直後に、海は水槽へと慌てて駆け寄り俊の手を取ります。それがふたりの出会いでした。
俊の無鉄砲で真っ直ぐな様子が伝わるシーンになっており、そこからふたりの距離が縮まります。また、俊が編集長を務める学内新聞の記事の執筆を海が手伝うなど、徐々にお互いのことを理解していきます。
🌈スタジオジブリ最新作公開記念🌈#コクリコ坂から
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) July 12, 2023
金曜よる9時
【特別動画①】
屋根から飛び降りた俊が手を差し出すと
思わずしっかりと握ってしまう海🤝のシーン✨ pic.twitter.com/krAjUvP8dP
しかし、ここでふたりに試練が訪れます。実は、ふたりの父親が同じ人物であることが明かされるのです。互いに惹かれているのに、結ばれることのないふたり。
そして、カルチェラタンの取り壊しも遂に決まってしまいます。ふたりは大事な場所と、大事な人を守ることができるのでしょうか。
希望を抱く学生たちの戦い
本作のもうひとつの見どころはやはり、カルチェラタンを巡った学生たちの様子です。公式サイトでも読むことができる、脚本を務めた宮崎駿氏の企画書には「学園闘争はノスタルジーの中に溶け込んでいる。ちょっと昔の物語として作ることができる。」と書かれており、経験していない世代にとってはどこか魅力的に思えるのは事実です。
特に印象的なのは、カルチェラタンの取り壊しに反対するべく声をあげる俊のシーン。
🎉スタジオジブリ最新作公開記念🎉#コクリコ坂から
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) July 13, 2023
明日よる9時
【特別動画②】
風間俊(声:#岡田准一)の名セリフ🗣️
「古いものをこわすことは
過去の記憶をすてることと同じじゃないのか⁉️」 pic.twitter.com/E8eiXd4drV
これから成長を迎える社会を表したような、ドキドキ感と希望や情熱を持った様子にこちらも興奮してしまいます。
また、海と俊を結びつける場所でもあります。上記動画にも映っていましたが、取り壊し賛成派の理由として「不衛生である」という意見が多いということがわかった海は、カルチェラタンの改装と大掃除を提案し、俊らと協力しながら取り組んでいきます。その様子が、コミカルに情熱的に描かれていて、彼らの青春を共に味わうことができます。
しかし、大掃除も虚しく理事会によって取り壊しが決定してしまうカルチェラタン。海と俊は自分たちの運命に心を乱されながらも東京にいる理事長に直談判をすることに。彼らの熱い闘いの結末をぜひ、見届けてください!
『ふたり/コクリコ坂・父と子の300日戦争~宮崎駿×宮崎吾朗~』とは?
本作の劇場公開と併せて制作され、2011年8月にNHKにて放送されたドキュメンタリー『ふたり/コクリコ坂・父と子の300日戦争~宮崎駿×宮崎吾朗~』。この映像はドキュメンタリーとしても非常に面白く、『コクリコ坂から』の制作の裏側も撮影されているので、本映像を見ておくと更に放送が楽しめること間違いなしです!
本ドキュメンタリーはタイトル通り、宮崎駿・吾朗のふたりの親と子、そしてクリエイターが映画を作っていく姿を中心撮っています。制作を通して、創作することの苦しみや、親子のぶつかり合い、最後には映画というものの存在意義まで伝わってくるものに。
筆者が印象に残っているシーンは、吾朗監督が海の設定を定められずに葛藤しているシーンです。父親を亡くした彼女を描く際にどうしても影のある暗いキャラクターになってしまい、物語にいまいち勢いが付きません。その様子を見ていた駿さんが一枚の絵を現場に届けます。それは主人公の海が登校している風景でした。
街の中にポツンと、小さく後ろ姿のみ描かれているのですが、拳をギュッと握って髪を揺らしながら大股に歩いている海。その絵をきっかけに吾朗監督の顔つきが変わりみるみるうちに作品が出来上がっていくのでした。
キャラクターの明るさ、溌剌さを顔や表情のデザインではなく、歩いている姿だけで表現してしまったのです。吾朗監督もアニメの表現の真髄を目の当たりにしてどんどん変わっていきました。彼の変化を父親に伝えると「僕の知恵を使えってことですよ」と一言。たった一枚の絵で技術を継承する駿さんのアニメーター・演出家としての凄さと、いがみ合いながらも父を認め、吸収し貪欲に成長しようとする吾朗監督の姿を見ることができた貴重なシーンです。
また、制作中に起こってしまった東日本大震災の影響で作業を中断することになった際に、駿さんが怒り、映画を届けようとするシーンなど見どころ満載なドキュメンタリーとなっています。
『コクリコ坂から』を見逃すな!
本作は、宮崎吾朗監督の2作目となる監督作品です。一作目である『ゲド戦記』は、興行的には成功したものの一部の評論家やクリエイターからは厳しい意見も寄せられました。それを乗り越え、貪欲に作品を作り続けた吾朗監督。
監督が、意地やプライドを捨てて、クリエイターとしての誇りを持って完成させた作品をぜひお楽しみください!
99年生まれ、沖縄県出身。コロナ禍で大学に通えなかったので、「100日間毎日映画レビュー」を個人ブログで行い、ライターに舵をきりました。面白いコンテンツを発掘して、壁に向かってプレゼンするか記事にしています。アニメ、お笑い、音楽、格闘ゲーム、読書など余暇を楽しませてくれるエンタメや可愛い女の子の絵が好きです。なんでもやります!