『シークレット・インベージョン』ニック・フューリー役・竹中直人さんインタビュー|「声優の仕事ができるのは、とても嬉しい」
「Disney+(ディズニープラス)」にて現在配信中のマーベル・スタジオドラマ最新シリーズ『シークレット・インベージョン』。
現代のマーベル・シネマティック・ユニバース(通称:MCU)を舞台に、“アベンジャーズの創設者”であるニック・フューリーが主人公となる本作。あらゆる人物に姿を変えられる“スクラル人”の一派が企てる「地球侵略計画=シークレット・インベージョン」を阻止すべく、ニック・フューリーが挑むサスペンス・スリラーだ。
今回は、そんな本作でニック・フューリーの日本版声優を務める竹中直人にインタビューを実施した。2012年公開の映画『アベンジャーズ』から10年以上もニック・フューリーを演じてきた竹中。『シークレット・インベージョン』の話はもちろん、キャラクターの印象についても改めて聞いた。
サミュエル・L・ジャクソンの造形が、ニック・フューリーを生んでいる
ーー2012年公開の『アベンジャーズ』から10年以上、ニック・フューリーの日本版声優を務めている竹中さん。どのようにニック・フューリーを捉えていますか?
竹中直人(以下、竹中):MCUにはさまざまなキャラクターが登場しますが、その中でも全く埋もれることがないほど、造形物としての揺るぎないスタイルを感じています。そもそもサミュエル・L・ジャクソンがめちゃくちゃカッコいいんですよ。彼の造形がニックというキャラクターを生み出しているのだと感じます。
全身真っ黒なコスチュームにアイパッチ、大きな体格。一目見ただけで「来た……!」となってしまう。『アベンジャーズ/エンドゲーム』でも最後の最後にニックが登場した時は、「うわー!来たかー!」と、震えました。
ーー俳優としてご活躍されている竹中さんから見た、サミュエルの俳優としての印象についてもお聞かせください。
竹中:幅の広さを感じます。日本では時代劇以外で俳優がカツラを被ることはあまりないけど、海外では普通にカツラを被ってキャラクターを変えることがある。そういう見た目的な側面を含め、いろんな役をこなしていて、毎回違うサミュエルを感じます。でも、サミュエルなんですけどね(笑)
彼自身、とても存在感があるんですよね。ロサンゼルスで開催された『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のワールドプレミア(2019年)に参加した時、『アベンジャーズ』のジャパン・プレミア(2012年)ぶりにサミュエルと再会したのですが、会った時にすぐに気づいてくれて。まさか自分のことを覚えてくれてるなんて思ってもいなかったから、すごく嬉しかったです。そんな方の声優を務められるなんて…。あまりにも光栄な事です。
ーーニックとサミュエルに対する深い愛を感じますが、そんな中で『シークレット・インベージョン』の日本版声優を務めると決まった時の率直な心境はいかがでしたか?
竹中:今回はどなたが吹き替えを務めるのだろうと気になっていました。たぶん自分ではないだろうとも思っていたので、オファーをいただいた時は驚きました!オーディションに受かったような気持ちでしたね。とても嬉しかったです。
ニック・フューリーの毛糸帽子姿にショック…
ーー『シークレット・インベージョン』のニックを竹中さんはどう感じましたか?
竹中:ニックといえば黒いコートにアイパッチの印象が強かった。でも今回はアイパッチもつけず、毛糸の帽子を被って普通の恰好をしているニックを見てショックでした(笑)。僕の声で大丈夫なのか心配になりました。『キャプテン・マーベル』で若かりし頃のニックを演じる時と同じような衝撃でしたね。あの時も、どの辺の音色が良いのかすごくむずかしかった。少し張りのあるトーンで演じてみると「それで行きましょう」となったので、そこからは揺るがず進んでいきました。今回はディレクターから「つくらずいきましょう」と言っていただき、その思いで声を当てました。
ーー今までの強いイメージのニックとは異なり、「老いぼれ」のような扱いをされていたのにはドキドキしました。
竹中:ちょっと息が切れるような歩き方をしていたり、年齢を感じさせるニックでしたね。残酷な描写も多く、ベースに流れる空気が重いので、これまでとは違う緊張感はありました。でも奥さん(プリシラ)と触れ合うロマンチックなシーンもある。ニックのあんな柔らかい表情を見たのは初めてです。
ただやっぱり、あの真っ黒なコスチュームとアイパッチ姿が早く見たいという思いはありました(笑)。