音楽
麻倉ももが「シュワワ!」に閉じ込めたフレッシュな思い

「青空の下でみんなで踊っているイメージがバッと広がって。ライブでみんなで踊れる曲にしたいなと思いました」“特別な季節さそう”扉が爽やかに開く 麻倉ももさんニューシングル「シュワワ!」インタビュー

「嫌いになれない。」のレコーディング準備は「シュワワ!」とは正反対

――一方で「嫌いになれない。」の主人公って麻倉さんの中ではどういうイメージでしたか。

麻倉:部屋でひとりで考え事をしながらポツリとつぶやくようなイメージで歌っていました。「シュワワ!」の女の子とは対照的なヒロインなのかな、と思っていて。あまりみんなでワイワイ群れるのも好きじゃないような……少数の、自分のテリトリーの中に入った人にめちゃくちゃ愛を注ぐタイプなんだろうなぁ、と。でも年齢感的には「シュワワ!」の主人公と変わらないくらいの……同じクラスだったとしたら、めちゃくちゃ陽気で窓側にいる子と、はじのほうで一人で読書をしたり図書室に行ったりするタイプなのかなと思いましたね。

――分かりやすく言うと陽と陰というか。それでいて、大人っぽさと隠せない子どもっぽさの、そのグラデーションがすごくエモーショナルだなって。

麻倉:私も絶妙なバランスだなと思っていました。確かに一見大人っぽい歌詞やサウンドではあるんですけど、その中で<リボンで可愛く閉じ込めた><ヤキモチは秘密でしょ?>とかっていうかわいらしい言い回しがあって。だからそこまで年齢感も高くなく感じるんですよね。若さも感じるというか。

――そう、そうなんですよね!(笑)もしかしたらビターな恋愛なのかもしれないけど<何度でも恋をしちゃうよ 運命を信じてる>とかって、大人になってしまうと少し忘れてしまうような気持ちだなって。その絶妙さを曲の中で演じられているのが本当にすごいなと思いました。

麻倉:ありがとうございます。どういう距離感で歌おうかとても悩みました。いつもの歌とは少し違うというか。

例えば「シュワワ!」は好きに楽しく、気持ちよく歌うというだけだったのですが、準備に関しても正反対だったんです。わりと細かく「ここはこうやって歌おう」などと事前に書き込んでいて。例えば1Aにある<ねえ 誰にでも言ってる?><全部キミのせいなんだよ?>とかも、相手に対する甘えが出るような歌い方をしたいなとか。また、<それでも嫌いにはなれない>はタイトルにもある言葉なので、印象付けたいなって。Aメロはラップで正確にリズムを刻んでいったので、サビはわりとまったりねっとり(笑)、この曲のちょっと重めな感じが出るように歌いたいなと思っていました。そういうところを計画しつつ、テストで何度も歌わせていただき、声の音量を調整していきました。

――バッチリ印象づいていました。表情も絶妙で。

麻倉:セリフっぽいところはかわいく歌えたらと思っていたのですが、リズムとかも意識しなければいけなくて、大変でしたね。いつもの歌の感じとはまた違うなと思っていました。最後の言葉は、特に自分に言い聞かせているイメージで臨みました。

――<子供じゃ無い>とかも、きっと言い聞かせているんだろうなって。また、今お話にあった最後の言葉<最終回はまだ 最終章の途中 結末はまだまだ描き直せるそうでしょ?>の部分で、今後はどうなるのかな……と想像が膨らみました。

麻倉:まだ終わりたくないというか。好きだから、まだ大丈夫だよね、って言い聞かせている感じで。このあとどうなるんだろう?って少し心配しちゃう関係性ですよね(笑)。エスカレートしたらいつか爆発しちゃうんじゃないかなと。

――麻倉さんの表現力豊かな声だからこそ、物語に引き込まれるものがありました。

麻倉:ありがとうございます。うれしいです。

日差しが眩しい爽やかなMV でも実は当日……

――MVもすごく爽やかですよね。衣装も2パターンあって、色合いも含めてどちらもかわいくて!

麻倉:ありがとうございます。私の中で「みんなで踊りたい」というテーマがあったので踊ることは決まっていたんです。夏なので肌は見せつつ、せっかくだからパキッとした色がいいよね、って話になって、自分のテーマカラーであるピンク系の衣装を集めてもらって。何着も着た上で、最終的に踊りやすいような衣装を選びました。

――撮影は楽しかったですか?

麻倉:実は結構たいへんなスケジュールで(苦笑)。まず、ジャケット撮影のときは歌をまだ録ってなかったんですよ。先に撮らないと間に合わない!って状態で。で、そのジャケット撮影とMV撮影の間にレコーディングをしていて。だからレコーディング自体も、MV撮影の何日か前という状態でした。ダンスの振り付けも前日に振りを入れていただき……。

――その状態で覚えられるというのがさすがというか……。

麻倉:いやいや……でも頑張りました(笑)。笑顔で踊ってはいるんですけど、「次はなんだっけ?」ってめちゃくちゃ考えていました。それと、実は撮影当日は雨が降っていて。雨とくもり。

――ええ!? まったく気づかなかったです。

麻倉:調整していただきました(笑)。だから傘をさして、雨が弱まったタイミングで撮影して。「間違えられないぞ」ってプレッシャーもあって、そういう意味では大変でしたけど、夏の明るい曲ですし、いつもライブで踊ってくれているダンサーさんも来てくれて。監督さんも「スマッシュ・ドロップ」や「Agapanthus」など今まで私の曲を撮ってくださっていた方だったので、すごく楽しく撮影することができました。

――リップシンクもあって、表情管理もあって、踊るだけではない部分も細かく表現されていたので、今お話を聞きながらさすがプロだなぁと。

麻倉:いやぁ……(笑)。口と顔とダンスと、ギリギリまで身体に落とし込んでいました。

――お話をうかがっていると曲もダンスもかなり最近できたものなんです?

麻倉:比較的最近になるかと思います。MV撮影のときはラフの状態のものをかけていたので少し恥ずかしいなと思っていたので……完成したのは最近です。

次のアルバムに向けて

――そういう意味では、本当に最新のモードの麻倉さんを楽しむことができるということですね。ある意味、真逆の2曲だと思うんです。本作の制作を経て、麻倉さんが次にチャレンジしたいことというとどうでしょうか。

麻倉:繰り返しになってしまうのですが、ライブを経て「ライブでこういう曲が欲しいな」と考えるようになって。この「シュワワ!」から次のアルバムに入るようになると思うんです。シングルで出しつつも、これはアルバムに入る曲っていう意識がどこかにありました。

それこそ“Piacere!”のライブをしていたときは、声出しができなかったんですけど、次私がライブをやるとなったら声出しができると思うので、声を出してみんなで楽しめる曲っていうのは、次のアルバムに向けて作っていきたいなと思っています。

――どちらの曲もライブで聴いてみたいです。

麻倉:確かに「嫌いになれない。」は演出とかも考える余地がありそうなので、私も楽しみですね。

――せっかく夏のシングルなので、最後に、今年の夏にチャレンジしてみたいことなどありましたら……あ、来年でも、いつかでも……。

麻倉:(笑)。夏にやってみたいこと……なんだろう? 何年か前からマリンスポーツをやりたい、と言っていたんですけど叶えられていなくて。なんなら叶いそうにないなとも思ってて……。

――なんと言っても、苦手な夏ですもんね……。

麻倉:夏を過ぎるとやってみたいなと思うんですけど、夏の暑さを目の当たりにすると「あ、無理かも」と思うのが毎年続いていて。でもせっかくなら……少し涼しくなったタイミングで、沖縄かどこかに行って海に行ってやってみたいです。でもちょっと勇気がいりますね(笑)。

[インタビュー/逆井マリ]

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麻倉もも プロフィール

ミュージックレイン所属。 6月25日生まれ。福岡県出身。2011年に「第2回ミュージックレインスーパー声優オーディション」で合格。雨宮天、夏川椎菜と共に声優ユニット・TrySail を結成。2016年11月2日、「明日は君と。」をリリースし、ソロデビューを果たす。2021 年にリリースした「ピンキーフック」では令和 3 年アニソン大賞にて「声優ソング賞」を受賞。

■出演作品
「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」環いろは役
「IDOLY PRIDE」鈴村優役、「ホリミヤ」沢田ほのか役
「荒ぶる季節の乙女どもよ。」須藤百々子役
「好きになるその瞬間を。~告白実行委員会~」瀬戸口雛役
など

麻倉もも Official HP
麻倉もも Official Twitter(@Asakura_Staff)
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