楽曲を通して、一人ひとりの愛や恋を全肯定をしていきたい――斉藤朱夏が“キミ”に送る、純度100%の夏のラブソング。3rdミニアルバム『愛してしまえば』に込められた、さまざまな愛の形、今の思いを明かす【超ロングインタビュー】
心の中には常に“ラブ&ピース”がある
──『愛してしまえば』には、そんなキミへの愛がたくさん込められていて。
斉藤:そうですね。
──朱夏さんのアニバーサリーでもある8月に、この“愛”をテーマにした作品を出すことになった理由についても、ぜひ伺いたいなと。
斉藤:他にもいろいろなテーマ案があったんです。でも初心を忘れちゃいけないよねって。自分の中でいちばん大切にしているものは“愛”であり、心の中には常に“ラブ&ピース”がある。そういう人間なので。声出しができるタイミングということもあるんですけど、愛というものを改めて一緒に考えたいなと。
それと、最近初めて知って応援してくれている方もたくさんいるんです。また、自分と同じ世代のファンの方からの、「結婚しました」「妊娠しました」って報告がめちゃくちゃ多いんですよ。それがすっごく幸せで!
──素敵な報告。
斉藤:だから「今妊娠◯ヶ月目です」って子には、毎回「生まれたらDMをして!」ってお願いしているんです。その子の生んだ赤ちゃんの写真が見たいんですよ(笑)。この間のサイン会でもそんな会話をしました。あと、子どもの名前を朱夏にしてくれた子もいて。「いいの~!?」ってすごく幸せな気持ちになります。
自分の身近にも、最近結婚した友だちがいたんです。今年27歳になるから多いんですよ、多分。そうした出来事があったことも含めて、今回は愛や恋をテーマにしました。
──ところで、朱夏さんはファンの方からのDMに対してどのような反応をするんですか?
斉藤:お返事はできないんですけども、見て「きゃっ!」となっています。中には子どもを連れて(イベントに)遊びに来てくれる人もいて。みんなの幸せが自分のもとに届いていて、それを受けて、自分自身もみんなに愛を伝えたいなって。今(7月中旬)現在は「愛してしまえば」だけが先行配信されている状態なので、早くみんなに届いてほしいなと思っています。
──さっきおっしゃっていた「初心を忘れちゃいけないな」というのは、どこかで感じていたんですか?
斉藤:いや、常に思っているんですよね。とにかく初心は忘れちゃいけないなって。応援してもらっていることを当たり前だと思ってはいけない、とか、ステージに立っていることを当たり前に思ってはいけない、とか。芸能界に入ってから8年目になるんですよ。もうあっという間に8年。ソロデビュー4年目。コロナ禍ということもありましたけど、改めてその初心を、作品の中で押さえるのが自分にとっても示しになるのかなって思っています。
──初志貫徹をされている。
斉藤:変わらないんですよね。頑固な性格(笑)。多分、3、4年前にされた質問に対しても同じ答えをしていると思うんです。中学時代の友だちにも「学生時代から変わってない」って言われます。「良い意味で」と(笑)。
ただ、変わりたい気持ちもあるんですけどね。いつまで経ってもガキンチョです。ただ変わらない芯も大切にしていきたいなと思っています。
ファンの方を見つけたら自分から話しかけちゃうんです
──“変わらないまま進化する”ってすごいことだと思います。それこそライフステージの変化やコロナ禍でライブに来られなくなってしまった人も、朱夏さんのライブに戻ると、実家のような安心感を得られるというか……。朱夏さんのライブはひとつの居場所になっているのではないでしょうか。
斉藤:第二のホームにしてほしいなとはいつも思っているんです。第一じゃなくてよくて。もちろん、第一が良いんですけども、そこは欲張りません(笑)。ふらっと戻ってきて「この場所、やっぱり楽しいな」って思えるような……そういう場所にしたいなって思っています。
ちょっと元気出したいなって時に来てほしいです。私自身もふらっと、友だちみたいに話してるから。「今日暇だったら来なよ」って。
──お互いにそうなっているのが良いですね。
斉藤:そうですね。だからみんなの顔も覚えていきますし。たまに道端で会うことがあるんです。私は覚えているので、話しかけちゃうんですよ。
──え、朱夏さんから!?
斉藤:はい。名前も覚えているので話しかけちゃう。見かけたら「ねえねえ、こっち来て」って呼んで、話を直接聞いて。つい先日もそんなことがありましたよ。
──気を使って「プライベートな時間だし……」とちょっと距離を置く人もいるのでは?
斉藤:そう、みんな気を使って離れていくんですよ! どうして!(笑)「来てよ、なんで来ないの!?」って。喋りたいんですよ。みんなビックリしますけど、リアルにその人の話を聞くことってとても大事だと思っているから。
SNSを通して声を聞くことも大事だと思いますが、思っていることを直接言ってくれたほうがこっちも気が楽なんですよね。それに、DMやファンレターの内容も覚えているので、いつも気になってるんですよ。「あの時って何があったの? 大丈夫だった?」「今は仕事どう?」とか。悩みや今抱えている問題とか、みんな書いてくれるんですよね。その行方が気になるんです。
多分、私はちょっとおかしいんですよ(笑)。距離感が完全にバグってる。でもそれくらいのほうが楽しいなって。
──ファンの方も嬉しいでしょうね。
斉藤:嬉しいかはわからないです(笑)。でも、純粋に話したいし、今思っていることを聞きたい。DMで直接やり取りするのはちょっと違うのかなと思うから、直接会ったときに話しています。あと、インスタの質問箱とかで。なるべくみんなの悩みを拾っていきたい。
──どれだけ良きプロデューサーなんですか。
斉藤:(笑)。親や友だちにも言えないことってたくさんあるじゃないですか。自分ひとりでしか抱えきれない問題ってたくさんある。それってどこかに投げないと、いずれ壊れてしまうので。だから私のDMがそういう場所になればいいなと思って。
──朱夏さん自身はどうしてるんです? 以前、仲のいいお母様にもあまり相談はしないって話をされていましたが。
斉藤:私の場合は唯一なんでも喋れる友だちがいるので、その子に言うことが多いんです。悩みじゃなくても、他愛もない話を、話して、話して。でも、あまり相談しないんですよ。とにかく自問自答しています。落ち込む瞬間もあるんですけど、落ち込んだら深海まで行って、そこから上っていきます。
──「セカイノハテ」には<大丈夫深くしゃがんだら 高く跳ぶよ>とありますが、深く沈んだらそこから這い上がってくる大変さもあると思うんです。
斉藤:めちゃくちゃ大変。でもそれすら楽しんでしまっているんですよ。だからとんでもないです(笑)。
──キミたちもすごいけど、朱夏さんの生命力が一番すごい。
斉藤:よく言われますね、ファンの方に。イベントに呼ばれたときに「最前の人を全員ファンにするぞって目がすごい」とか。ちょっと笑ってしまいました。そんな目をしてるんだ、って。確かに自分のライブに来ていただけたら嬉しいなとは思っているんですけど、それがバレてるのが恥ずかしい(笑)。嘘をつけないから、全部表情に出ちゃうんです。