声優・茜屋日海夏さんが30歳を前にして思うこと|群像劇映画『30S(サーティーズ)』出演キャストインタビュー
素晴らしい映画だった。
登場人物の生き方、心理描写、歩んできた軌跡がとにかくリアル。
生々しすぎるほどにリアルだからか、言葉にできない何かが詰まっているのか。
見ていて自然と目を奪われる。心に響く。伝わってくる何かがある。
派手なアクションシーンや分かりやすく刺激的な演出はない。
現代を舞台にしたリアルな日常を描いた作品。言葉にするのが仕事の私でも、パッと魅力を言語化するのが非常に難しい。
ただ、この映画を見ることができてよかったと心からそう思わせる確かな何かがある。
今日はそんな素晴らしい映画のお話。
2023年8月11日からシネ・リーブル池袋 などで上映となる映画『30S(サーティーズ)』。
あらすじはこんな感じ。
30歳の誕生日を数日後に控えた向井タケルのもとに、大学時代の同級生だった、御手洗甲からメッセージが届く。
それをきっかけに、タケルは大学時代の"ある言葉"を思い出す。
「俺達3人が生まれた日はガリレオガリレイが嘘つきじゃなくなった日だ!死後350年後に、地球が太陽の周りを回ってる真実を1992年10月31日にローマの教皇に認められたんだ。いいか、これは凄いことなんだよ!30歳になる時も集まろうな…」
それから10年。
タケルに御手洗の妹・御手洗薫から電話が入る。
「兄が失踪したんですが、居場所に心当たりはありませんか?」
御手洗甲の失踪を合図に、それぞれの人生の歯車が動き出す...というもの。
そんな青春群像劇映画『30S』が生まれることになった裏側にもこんな青い春を感じさせるエピソードがある。
大学で映像芸術を学んでいた『30S』の原案・プロデューサーを務める真田佑馬さんは、成人した際に「20代のうちにやりたい事リスト」をノートに書いていた。
そこには「映画をつくる」という目標があった。
その目標を叶えるため、30歳(三十路)をテーマに同世代のキャスト、スタッフが集い映画製作を実現させたのだ。
スタッフの中には真田さんと共に映像芸術を学んだ方々も多数参加している。この時点でエモい。
彼ら彼女らの生きてきた時間。役者、クリエイターとして培ってきた経験。なによりもこの一本のフィルムにかけた気持ちが、作品を通じてビンビンに伝わってくる。
そんな「熱」が入った作品に声優の茜屋日海夏さんが出演するということで、インタビューを行った。
茜屋さんは、主人公である向井タケルと結婚を控えたヒロイン・安西夕美を好演している。
インタビュー本文の前に恐縮だが、茜屋さんのファンは絶対に『30S』を見た方がいい。茜屋さん演じる安西夕美がメチャクチャ可愛いのだ。
イチズで優しい(それでいて幸が薄い雰囲気がある)女性で、本当に茜屋さんにハマっている役だと感じた。
さて、そろそろインタビュー本文に入ろう。
茜屋さんは『i☆Ris』でのデビューから約10年が経ち2023年7月で29歳を迎えた。
映画出演やソロアーティストデビューなど、様々なことに挑戦している茜屋さんに映画『30S』の魅力について聞いた。
ウェディングドレス姿は必見
――「30S」を拝見させていただいたのですが、凄く面白かったです。茜屋さんの演じる安西夕美が本当に可愛くて。
茜屋日海夏(以下、茜屋):ありがとうございます(笑)。
――今回は、オーディションで決まったんですよね。
茜屋:そうですね。
――茜屋さんと言えば明るい陽のイメージを持つ方が多いと思いますが、今回の安西夕美は、ちょっと幸が薄そうな印象に映りました。キャラクターや脚本への最初の印象はいかがでしたか?
茜屋:ファンタジーなのですがリアリティもある作品ですよね。特に私のキャラクターはリアル。大人しくて優しい印象でした。主人公を包み込んであげるようなイメージで。
▲場面写真
――今回、役作りや演じる前の準備、考えていたことなどありますか?
茜屋:そうですね....。日常会話のシーンもあったので、楽しい雰囲気の時とそうじゃないシーンで落差が出て良いなと思ったので、シーンによって緩急をつけたいなと。
――実際に演じていて印象的だったエピソードなどは?
茜屋:ネタバレになるので本編の話は止めときましょう(笑)。うーん。映像になってないんですけど、ちょっとアドリブで安西夕美と向井タケルの出会いのシーンをやってみようっていう流れになって(笑)。
その時に小野さん(小野匠さん)が恥ずかしがり屋過ぎて全然会話が弾まなかったんですよ。その時、私がリードしたんですけど(笑)。 それが後々、役柄的にもマッチして、実際の演技にも活きましたね。
――機会があれば、そのシーンも見てみたいです。映画の中には、茜屋さんファンの方が観たらドキッとするシーンもいくつかありましたよね。
茜屋:一番出た写真がウェディングドレスでしたから。驚きましたね。『i☆Ris』の話で申し訳ないんですが、ウェディングドレスを着るのは早紀様(山北早紀さん)だけだと思ってたんですよ。
彼女はギャグでウェディングドレスを着るので(笑)。でもインパクトは強かったかなと思います。
▲オフショット
――個人的には茜屋さんは『i☆Ris』の衣装でも肌をあまり出さないイメージだったので、寝起きのシーンはビックリしました。あれ?これ服を着てないように見えるぞ....と。
茜屋:あー!確かに、そこですね。それは攻めてますよね!
――見てはいけないものを見てしまった……可愛いけど。という感じ(笑)。絵面的な驚きや新鮮さがありました。
茜屋:確かにファンの方は驚くかもしれないんですけど、あれもタケルくんとの幸せな普通の日常として見ていくと、途中の落ちる部分がよりグッとくるかな〜と。
――共演者の方とのエピソードはありますか?
茜屋:私は数日で撮り終わることができたので、ご一緒した方があまりいなくて。お父さんとか、中古車屋さんに来たギャルとイケ男ふたり(笑)。宮城大樹さん(江田役
は舞台でも共演したことがあって、「久しぶり〜!大人になったね〜」みたいな感じで話しましたね。
――お父さん(安西浩)はいかかでしたか?
茜屋:凄い優しい方でしたね。休憩中も話しかけてくださったり。私も、これが私のお父さんか……って(笑)。お父さんがタケルくんと話しているシーンを見ていても、お父さん何話してるのかな〜って思いましたね。