今度の『ヒプマイ』はフェスだ!『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』最新EP「The Block Party -HOMIEs-」「The Block Party -HOODs-」を全曲お祭りレビュー!
この人はラップで来ると思ってた!「HIPHOPPIA」山田 一郎
ありがとう、山田 一郎。やっぱお前はかっこいいよ……。
これまで紹介してきた楽曲はどれもラップ曲ではありませんが、山田 一郎が選んだのはラップでした。やっぱりこの人のラップが聞きたいですよね! 木村昴さんも気合が入っていてGOOD。
とにかくメッセージが強いのがこの曲の特徴で、「HIPHOPPIA」とは「HIPHOP」と「UTOPIA(理想郷)」を合わせた造語のことでしょう。つまり、HIPHOPによる理想郷に込めた思いの丈をぶちまけています。
トラックは重厚で攻撃的、リリックも一見攻撃的に聞こえますが、それは夢に向かって前進するためのパワーであることが曲を聞き進めていくとわかっていきます。
「夢がなきゃねえ 生きてる意味なんか」「頂上に辿り着くいつの日か 目指す未だ見ぬ HIPHOPPIA」「ラップって楽しい!がここじゃ共通語」とラップでみんなが楽しめる世界を作る夢を語っています。壮大な夢を語る男……いいじゃねぇか……!
しかも、韻も踏みまくりです。ぜひ歌詞カードとにらめっこしてほしいのですが、1バース目から「Beat(be-to)」→「きっと(kitto)」→「進路(shinro)」と畳み掛けています。さらにこの1バース目には「Beat」→「進路」の間に「心音(shinon)」→「爆音(bakuon)」→「振動(shindo)」→「進路(shinro)」という韻も被せられており、「Beat」と「心音」が重なって「進路」が決まるというなんともおしゃれな構成。座布団一枚! ラップを語るならしっかりラップをしなきゃな! という意気込みを感じます。
まだまだこういったポイントが隠されているので割愛。ぜひ山田 一郎の言葉遊びはその耳でお確かめください。
また、曲全体からは「HIPHOPPIA」に向かうための旅路を航路に例えており、「まだ間に合う 飛び乗った Beat」「舵取った進路」「荒波砕き幻想の彼方に」「追い風が海原導く羅針盤」など、冒険心溢れるリリックが散見されます。
特に個人的に気に入っているのは、「乗り込め同士 HIPHOP の方舟 踏み出さなきゃ何も変わんねえ」というリリック。船旅なので普通は「漕ぎ出す」ところを「踏み出す」という表現を使っています。これはラップは韻を踏むものだからなのかも……? と思ってみたり。
どちらにせよ全体的にかなりこだわって作った曲だなと思いました。フェスだからといって気を抜かない山田 一郎はかっこいいですね!
ついに来た! 世界が認める“KING OF DIGGIN'”
※MUROさんの登場は4分25秒あたり
日本が世界に誇るKing Of Diggin'ことMUROさんも『ヒプマイ』に! この方もすごい人なんです。日本のラップ黎明期からラッパー、DJとして活動を始め、1996年7月7日に日比谷野外音楽堂で開催されたヒップホップイベント「さんぴんキャンプ」にも参加。
現在では、世界中でDJをしながら、様々なアーティストや作品に楽曲を提供するプロデューサーを担当したり、レーベルオフィシャルMIXを多数手掛けるなど、精力的に活躍中です。
特にDJの活動ではファンクを中心としたプレイに定評があり、様々なMIX CDをリリースしています。
日本の歌謡曲から昔のアニソンまで、幅広い楽曲に精通するMUROさん。レコードコレクターとしても有名で、あまりにも膨大なライブラリーの量は世界クラスとなっています。DJなら知らない人はいないほどの有名な方!『ヒプマイ』に参加してくださってありがとうございます!
言の葉党も負けてない!「おままごと」邪答院 仄仄 作詞・作曲:薔薇園アヴ
ついについについに! 邪答院 仄仄が登場です! 聞いてください、この圧倒的で純粋な“悪役”を。
曲全体から漂うダークな雰囲気がなんとも恐ろしいですね……。しかもタイトルは「おまままごと」。幼さを残したまま成長して、常人の感覚を得られないまま頭のネジがぶっとんだモンスターのような臭気がぷんぷんと漂ってきます。
サビ部分では「おままごと おままごと ほらたのしいから続けてよ」「おままごと おままごと ほらたのしいでしょ?」と歌っていますが、「The Block Party -HOMIEs-」のボーナストラックでこれを持ってくるあたりが恐ろしい。これまでのフェスがまるでお遊びだと言わんばかりです。それまで楽しかった雰囲気なのに、一気にいつもの『ヒプマイ』に引き戻されました。どうしてくれる!
しかし、曲が良いのは間違いありません。なにより邪答院 仄仄(ファイルーズあいさん)のラップが凄まじいったらありゃしない。こんなにも毒を帯びながらラップができるなんて……。やはり言の葉党、層が厚すぎます。強い、強すぎる。
歌詞の端々に棘のある物言いで、「サークル活動おつかれさまです」「「正しさ」とか大好き! 揺らぐ度に堪んない」「人間ごっこはどうだった?」「ねぇ 絆とやらを見せて頂戴よ」と、人間扱いしていない様子がたまりません。どうやったらこんな歌詞が書けるんだ……? と思ったら!
飛ぶ鳥を落とす勢いを見せるあの女王が!
女王蜂のアヴちゃんだーーー!!!
こんな歌詞書けるのはなかなかいないなと思ったら女王蜂のアヴちゃんでした。女王蜂は2009年から活動するバンドで、ボーカルのアヴちゃんを中心にゴシックで妖艶な雰囲気を感じさせる楽曲で人気を博しています。TVアニメ『東京喰種:re』、TVアニメ『どろろ』、TVアニメ『後宮の烏』、TVアニメ『チェンソーマン』、そしてTVアニメ『【推しの子】』など数多のアニメ作品にも参加しているとあって、ご存じの方も多いかと思います。
その世界観は唯一無二。それはMVやライブの様子を見てもらえればわかるはず。私の一番好きな曲『Serenade』のライブ映像をどうぞ!
どうでしょうか。「なんだか最近よく見かけるな」くらいに女王蜂を知っていた方も、この圧倒的なカリスマ性にはなにか感じるものが有るのではないかと思っています。
今後の活動が注目されるバンドのひとつですね! お見逃しなく!