いつまでも忘する事無かれ――約束の日『ReoNa ONE-MAN Concert 2023「ピルグリム」at日本武道館 ~3.6 day 逃げて逢おうね~』が映像化 “HUMAN”ツアー、5周年アニバーサリーイヤーに向けての話題も ReoNaロングインタビュー
ライブの日に雨が降るのは「言霊なのかも」
――MCでおっしゃっていましたが“HUMANツアー”は全公演雨だったんですね(笑)。
ReoNa:(笑)。雨でしたね。晴れている日のはずなのに、会場を出ると「本番中に雨降ったんだなぁ」という地面になっていて。
――サウジアラビアでも降ったんですもんね(笑)。
ReoNa:先日のドイツでも降りました。3日間それぞれ、私の本番の時間帯に降っていました。楽しみな日はいつも雨。これは言霊のせいなのかな、と最近思いはじめています(笑)。
――ドイツと言えば荒幡さんが撮られていたReoNaさんの写真がすごかったですね。異国のようでした。
schloss heidelberg
— ReoNa (@xoxleoxox) August 10, 2023
Photo by @Ryohey0401 pic.twitter.com/IASs5kNAU8
ReoNa:本当に異国のようでした。良いシチュエーションを見つけると「ちょっとReoNa、そこに立って」と。
――ドイツ公演は振り返ってみるといかがでしたか。
ReoNa:ありがたいことに2年連続でドイツに行かせていただいていて。連続で行かせてもらったからこそ、お呼びくださった方々ともコミュニケーションが密に取れますし、「ただいま」も言える。飛行機で十何時間も掛かる国で「ただいま」を言わせてもらえることのありがたさもすごく感じました。そこに荒幡さんがいてくださる心強さも。
アニソンを歌っていなかったら行けなかった場所かもしれない。改めて感じたのが『シャドーハウス』のヨーロッパ人気がすごいなと。MC中に『シャドーハウス』、「ないない」という単語を言うと、わっとレスポンスが返ってきて。あの世界観がヨーロッパで人気なんだなと思いました。
ReoNaとサクラの運命的なつながり
――“HUMANツアー”の話に戻りますが、ラストを飾ったのは「SACRA」でした。日本武道館の時、こえにっき風のオープニングムービーで桜について言及する場面がありました。それはこの「SACRA」を示唆していたところもあったのかなと。
ReoNa:サクラというものに不思議なご縁を感じているんです。人生ではじめてアーティストとしてデビューさせていただいたのもSACRA MUSICですし……桜って咲き誇る姿も、散りゆく姿も美しい。どこをとっても美しいって羨ましいなと。そして、毎年必ず咲くのに惜しまれながら散っていく。季節を超えても何度も咲き誇る姿のようなものに憧れます。
――ReoNaさんと不思議な縁のあるサクラですが、「SACRA」については、モチーフは事前に決まっていたんですか?
ReoNa:『HUMAN』がリリースされる時期が春であるということから「出会いと別れをテーマにしよう」と、楽曲制作が始まっていって。その中で桜というテーマが決まったときに、ReoNaと澤野弘之さんにしか作れない桜ってなんだろう?という話になり、それでこの「SACRA」という表記になりました。
私の中で、春は「否応なく新学期がはじまってしまう時期」という印象がありました。環境がまた変わっていくんだなって。どんな未練を残していようと、どれだけ清々しく終わろうと、新たに芽吹いていく力強さも、残酷さもあって。
私自身、学生生活の中で人生の大きなものを残してきてはいなかったのですが、「シャル・ウィ・ダンス?」のMV撮影をきっかけに、学生の皆さんと触れ合うタイミングがすごく増えて。彼女たち、彼らって、あまり人と触れ合えない時期に学生時代を過ごしているんです。音楽の学校に高校生として入って、本来であれば、学校の課外授業などでいろいろな現場で経験を積むことができたと思うんです。でもどうしようもないご時世で潰えてしまって。だからReoNaのMVの現場が初めての課外授業という学生さんも結構多かったんです。
それもあって、撮影に命を燃やして取り組んでくださって。その学生さんたちの姿を思い出して、改めて出会いと別れの、門出の季節に寄り添いながら「SACRA」を紡ぎたいなと思いました。「シャル・ウィ・ダンス?」に参加してくれた学生さんの中には、この春に卒業した子もいました。
――
ReoNa:「FRIENDS」にも言えることなのですが、学生の間に仲が良かったり、近しい関係だったりという友だちでも、当たり前にあったものでも、季節が過ぎていくと当たり前じゃなくなっていく。今生の別れではなかったとしても、自然と別の道に歩んでいくことってあると思うんです。その時間の美しさと残酷さと……そういうものを感じていました。
――それもあって日本武道館公演のステージにも学生を招かれたのですか?
ReoNa:一緒にステージに立ちたいな、とすごく思っていました。「ReoNaは(日本武道館公演で)何をしたい?」と聞かれた時に。「携わってくれたみんなとステージに立ちたいです」と。
――学生にとっても大きな経験になったでしょうね。
ReoNa:彼女、彼らがこれからどんな未来を選択していくかは分からないですけども……一緒に同じステージに立てたことを誇れるような、そんな場所になれたら良いなと思っています。